報道発表資料
2月9日~20日(うち18~19日は閣僚級会合)にマレーシアのクアラルンプールにおいて生物多様性に関する条約(Convention on Biological Diversity :CBD)第7回締約国会議(COP7)が開催され、160ヶ国以上から2,300人以上が参加した。 締約国会議では、主要議題である、[1]山岳の生物多様性、[2]保護地域、[3]技術移転と技術協力等に関する決議が採択された。
閣僚級会合では、科学的評価の役割等を含む「閣僚宣言」が採択された。
閣僚級会合では、科学的評価の役割等を含む「閣僚宣言」が採択された。
1 これまでの経緯
○ | 生物多様性条約(1992年の地球サミットにあわせて採択。現在までの締約国数は188カ国)が1993年に発効して以来、今回を含めて7回の締約国会議を開催。 |
○ | 第6回までの締約国会議においては、海洋・沿岸といった主題別の生物多様性に関する作業計画や、外来種、エコシステム・アプローチ、世界植物保全戦略など、分野横断的な課題に関する決議を採択。さらに、締約国が提出する国別報告書により、条約の実施状況を把握。 |
2 第7回締約国会議の結果
(1) | 開催地 | : | クアラルンプール(マレーシア) |
開催期間 | : | 平成16年2月9日(月)~20日(金) (閣僚級会合(ハイレベルセグメント)を18~19日に開催) |
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代表団の構成 | : | 浜中地球環境審議官が閣僚級会合に出席した他、締約国会議には外務省、環境省、農林水産省及び経済産業省から出席 |
(2) | 締約国会議の主な結果 | |
○ | 保護地域 | |
保護地域の設定、管理、モニタリング等の各国及び条約事務局等が取り組むべき活動等を示した作業計画が採択された。同作業計画は保護地域の世界的なネットワークシステムの構築を支援し、結果として生物多様性の損失の減少に資することを目的としたもの。このほか、条約の目的や、2010年までに生物多様性の損失速度を減少させるという目標の達成に必要な事項、保護地域の作業計画の実施をサポート・レビューするアドホック会合の設置等について採択された。我が国が推進している生態系ネットワークについては、その設定に関する決議及び考え方が盛り込まれた。 |
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○ | 山岳生態系 | |
2010年までに山岳の生物多様性の損失を減少させることを最終的な目標とし、その達成のために各国、条約事務局等が取り組むべき作業の要素、目標、行動等を示した作業計画等が採択された。 |
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○ | 遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS) | |
遺伝資源の適切な利用と、それに伴って生じる利益の公正かつ衡平な配分を確保する国際的枠組み(International regime)のあり方について議論が行われた。その結果、次回締約国会議(COP8、2006年開催)までの間、法的拘束力の有無も含め、その具体的な内容について本問題に関する作業部会において議論を行い、COP8にその結果を報告することとなった。 |
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○ | 世界分類学イニシアティブ(GTI:Global Taxonomy Initiative) | |
第6回締約国会議において、作業計画が採択された。今般会合では、それ以降の進捗状況につき報告され、今後、一層のGTIを推進するのに必要な方策につき採択された。なお、我が国が中心となってマレーシア及び日本にて開催したGTIワークショップにつき報告したところ、高い評価を受けた。 |
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○ | エコシステム・アプローチ | |
第5回締約国会議において合意されたエコシステム・アプローチの原則と考え方に実施のためのガイドラインが付加され、それを考慮してエコシステム・アプローチを実施すること等が決議された。 |
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○ | 持続可能な利用 | |
条約の目的のひとつである、生物多様性の構成要素を持続可能に利用するための14の原則及び実施上のガイドラインにつき協議し、採択された。 |
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○ | 生物多様性とツーリズム | |
脆弱な陸域及び海域や生物多様性にとって重要な生息域、保護地域等における持続可能なツーリズムに関連する行動のための国際的かつ自発的なガイドラインである、生物多様性とツーリズムの開発に関するガイドラインが採択された。 |
3.閣僚級会合の結果
○ | マレーシアの科学技術環境大臣を議長として、約80の大臣・副大臣を含む120ヶ国以上からの参加を得て開催された。「科学的評価の役割」、「遺伝資源へのアクセスと利益配分」及び「技術協力・技術移転」を主要議題とし、2日間の意見交換を経て、最終的に「クアラルンプール宣言(別紙)」がとりまとめられた。同宣言には、保護地域のネットワークの創設、ABSにかかる国際的体制の構築等が含まれる。 |
○ | 我が国からは、[1]科学的評価は条約の実施には不可欠であること、[2]技術移転と技術協力を今後も推進していくこと、[3]ABSにかかる国際的体制については、現状に関する理解を相互に深めた上で、遺伝資源の効果的利用とその利用から生じる公正かつ衡平な利益の配分を確保するための措置の具体的内容の検討が必要であること等を中心に、生物多様性条約の実施に積極的に貢献していく考えを表明した。 |
4.その他
次回の第8回締約国会議は2006年にブラジルにて開催されることが決まった。主要議題は島嶼生態系となる見込み。
添付資料
- 連絡先
- 環境省自然環境局自然環境計画課
課長: 黒田大三郎(内線:6430)
補佐: 奥田 直久 (内線:6480)
担当: 平井さおり (内線:6437)