報道発表資料

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2003年11月17日
  • 地球環境

モントリオール議定書第15回締約国会合の結果について

 11月10日~14日の5日間にわたり、ケニアのナイロビにおいて、「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書第15回締約国会合」が開催されました。議定書の実施に関し、オゾン層破壊物質への適切な対応を更に推進するための措置に合意しました。なお、臭化メチルに関する規制措置の修正等についての議論を継続するため、来年、臨時締約国会合を開催することが決定されました。

1.会合の概要

 ・ 場所 国際連合環境計画(UNEP)本部(ケニア・ナイロビ)
日程 11月10~14日  議定書締約国会合  準備セグメント
      11月15~16日  ハイレベルセグメント
出席者 締約国124か国の代表約370名、NGO100名
 
  (日本政府からは、猪又忠徳在コスタ・リカ大使を代表団長に、環境省(宇仁菅フロン等対策推進室室長他)、経済産業省、外務省及び農林水産省から関係者が出席。)

2.結果の概要

 (1) 議定書に基づく措置の履行を促す決定について
  [1]  モントリオール議定書北京改正の批准を促す措置
   ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)の生産量規制、貿易規制等を定め、1999年に採択されたモントリオール議定書の北京改正は、2004年当初から未批准国との貿易規制措置が発動されるのにもかかわらず、批准国は57カ国にとどまっている(我が国は既に批准済み)。各国の批准を促進するため、2004年から北京改正に基づく規制が適用される先進国を対象に、北京改正批准国が貿易を行うことができる相手国について、今後2年間は北京改正を批准していなくても実質的に北京改正の内容を担保している国も含むこととする暫定的措置をとることとし、それ以降は北京改正の批准国のみを対象とすることが決定された。併せて未批准国に対して可能な限り早急に批准するよう要請された。
[2]  規制の適用除外措置の縮小を促す措置(クロロフルオロカーボン(CFC)をぜんそく用吸入薬(MDI)に使用するための不可欠用途除外措置)
   先進国において1996年に消費・生産が全廃されたCFCは、MDIへの使用についてはそれ以降も除外措置が認められている。しかしながら、全廃後かなりの年月が経過したにもかかわらず、依然として除外措置の適用を求める申請が提出され続けている。このことから、CFCのMDI用途除外措置の全廃に向けて、除外措置適用の申請を行っている国は、MDIに使用するCFCを全廃する予定日とそのための具体的な措置を明らかにした計画を提出することが決定された。
  なお、我が国では既にCFCのMDIへの使用は全廃されている。
 
 (2) 臭化メチルに関する規制措置について
   今回の締約国会合では、臭化メチルに関し、主に以下のような議論がなされた。
[1]  途上国に対する臭化メチルの生産・消費量の削減スケジュール
   途上国では今後、2005年に基準年の20%、2015年に同100%の削減を行うスケジュールが定められているが、今回途上国に対する臭化メチルの生産・消費量の削減スケジュールを前倒しする議定書調整案が提出された。しかし、途上国側の反対により合意には至らなかった。
[2]  先進国における不可欠用途の承認申請について
   先進国においては臭化メチルの生産・消費を2005年以降全廃しなければならないが、技術的・経済的に適切な代替手段がなく、かつ、臭化メチルを使用できなくなることにより著しい損害がある場合は、不可欠用途として、議定書の技術・経済評価パネル(TEAP)の評価を踏まえ、使用が認められることとされている。今回の締約国会議において、2005年分の各国の不可欠用途申請が決定されることとなっていたが、米国が申請した臭化メチルの消費量が非常に多かった(2004年までの消費量基準である、基準年の消費量の30%を超えていた)ことについて、各国から懸念が示され、当該量の削減を求める提案が出されたが、合意には至らなかった。
[3]  途上国における不可欠用途の承認について
   臭化メチルの全廃を前倒しして達成した途上国について、先進国と同様の不可欠用途手続きを設けることが提案されたが、合意には至らなかった。
 これらをはじめ、今回の締約国会合において議論がまとまらなかった臭化メチルに関する議論を進めるため、来年3月に臨時締約国会合を開催することが決定された。
 
 (3) その他の主な決定について
[1]  オゾン層破壊物質の破壊技術
   各国においてオゾン層破壊物質を破壊処理する際に求められる、破壊技術に関する基準及び破壊を実際に行う場合の適切な運用方法について決定された。
[2]  断熱材の廃棄時の措置
   TEAPに対し、オゾン層破壊物質を含んでいる断熱材の廃棄時の措置について、技術的・経済的な手法の検討を行い、2005年4月に作成する報告書に盛り込むことを求めることが決定された。
[3]  科学パネル、環境影響パネル及びTEAPの業務指示書
   2002年に科学パネル、環境影響パネル及びTEAPの3つのパネルで作成された各報告書の統合報告書が説明され、モントリオール議定書が完全に遵守されたとしても、今後10年間成層圏オゾン層は脆弱なままであること等が説明された。
 また各パネルに対し、2006年末までに2002年の報告書を見直した新たな報告書を作成し提出するよう要請され、オゾン層回復の見込み、気候変動がオゾン層に与える影響等、その際に盛り込むべき項目が決定された。

3.今後の開催予定

 モントリオール議定書第16回締約国会合は、プラハ(チェコ)で、平成16年11月22~26日に開催される。
 

4.今後の対応

 我が国では、今般の締約国会合の結果を受け、引き続き所要の対策に取り組むこととなる。

添付資料

連絡先
環境省地球環境局(旧)環境保全対策課フロン等対策推進室
室長  宇仁菅伸介(内6750)
 専門官 新田 晃 (内6755)
 主査  早野 晶子(内6753)