報道発表資料

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2003年11月10日
  • 地球環境

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第21回総会の結果について

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第21回総会が、第1~3作業部会の会合も含めて、11月3日から7日にかけて、オーストリア・ウィーンにおいて開催されました。
 今回の会合においては、2007年の公表を予定している第四次評価報告書の作成に向けた骨子が承認されました。今後は、11月中にIPCC事務局より各国政府に対して執筆者の推薦の要請がなされ、来年4月を目処に執筆者を決定し、今回承認された骨子に基づき執筆作業が開始される予定です。
 また第7回気候変動枠組条約締約国会議の要請に基づき、平成14年より作成が開始された「土地利用、土地利用変化及び林業に関するグッドプラクティスガイダンス(以下、LULUCF-GPG)」の採択が行われました。LULUCF-GPGは来月イタリア・ミラノで開催される第9回気候変動枠組条約締約国会議において報告される予定となっています。
 さらに、2006年に改訂版としての公表を予定している国別温室効果ガス排出目録に関するガイドラインの骨子が総会において承認されました。
  1. 今次会合の概要
    開催月日:
     ・ 第21回総会 11月3日(月)、6日(木)~7日(金)
     ・ 第1作業部会第9回会合 11月4日(火)
     ・ 第2作業部会第7回会合 11月4日(火)~5日(水)
     ・ 第3作業部会第7回会合 11月4日(火)~5日(水)
    開催場所 ウィーン(オーストリア)
    出席者 パチャウリIPCC議長、平石インベントリタスクフォース共同議長を始め、IPCC関係者、各国政府代表などが出席し、我が国からは、竹本大臣官房審議官、高橋地球環境局研究調査室長、関経済産業省大臣官房参事官、藤谷気象庁気象研究所長をはじめ、計21名が出席した。
     
  2. 今次会合の主な成果
    [1]. 第四次評価報告書
       IPCCでは1990年以降、世界の第一線の科学者の参加のもと、ほぼ5年毎に気候変動に関する最新の知見をまとめた評価報告書の作成を行ってきた。今次会合では、2007年に公表予定の第四次評価報告書の作成に向け、報告書の構成を決める骨子について、11月4日(火)~5日(水)の第1(科学的根拠)、第2(影響、適応及び脆弱性)、第3(緩和対策)の各作業部会ごとに議論・合意され、翌日の総会において承認された。
     骨子は、2001年に公表された第三次評価報告書と比べて、観測された地球環境の変化や地域レベルでの予測評価に関する記述を充実するとともに、持続可能な開発との関係、適応と緩和の統合、不確実性とリスク、主要な脆弱性(条約の究極目標との関係)、技術、水といった複数の作業部会に関係する横断的事項により焦点が当てられていることが特 徴であり、今後の国際・国内的温暖化対策の推進に貴重な知見を提供することが期待される。
     今回の骨子決定を踏まえ、各国から執筆者の推薦を行い、来年4月までにIPCCビューローが執筆者を決定することとなっており、日本としてもできるだけ多くの執筆者が参加するよう、積極的に推薦を行っていくこととしている。
    [2]. 土地利用、土地利用変化及び林業に関するグッドプラクティスガイダンス(LULUCF-GPG)
       IPCCでは、COP7の要請を受け、平成14年4月の第19回総会において、LULUCF-GPGを作成することを決定し、約1年半の執筆作業を経て、今次総会において承認された。作成過程では、我が国の専門家が執筆者等として積極的に参加するとともに、我が国(環境省)が(財)地球環境戦略研究機関(IGES)に誘致したIPCC国別温室効果ガスインベントリープログラムの技術支援ユニットがとりまとめにあたった。
     このLULUCF-GPGは、「土地利用、土地利用変化及び林業」セクターの温室効果ガス吸収・排出量算定に関わる報告・検証について模範的手法を示したもので、来月イタリア・ミラノで開催されるCOP9にて報告され、枠組条約及び京都議定書に基づく森林吸収量の算定報告手法の指針となる予定。
    [3]. 国別温室効果ガス排出目録に関するガイドライン(以下、ガイドライン)の改訂
       IPCCでは、1996年に国毎の温室効果ガスの排出・吸収量を算定するための改訂ガイドラインを作成しているが、SBSTA17での要請を踏まえ、2006年までに更なるガイドラインの改訂を行うこととなっている。今回、この改訂ガイドラインの骨子及び作業計画が合意され、今後、各国から専門家を募り、本格的な作成作業が開始される予定である。作成される2006年版改訂ガイドラインは、京都議定書第2約束期間以降の温室効果ガス算定手法として適用されることが見込まれる。
連絡先
環境省地球環境局総務課研究調査室
室長:高橋康夫(内線:6730)
 補佐:竹本明生(内線:6731)
 担当:奈良 税(内線:6733)