報道発表資料

この記事を印刷
2003年10月14日
  • 総合政策

「地域における環境研究・技術開発の推進に関する調査報告書」について

環境省においては、平成15年4月に「地域における環境研究・技術開発の推進に関する検討会」(座長:土屋隆夫 前東京都環境科学研究所長)を設置し、地方環境研究所69機関を対象に現状等を調査するとともに、抱えている課題やその解決事例及び今後必要な施策等について検討を進め、今般、その結果を報告書として取りまとめた(請負先:社団法人 国際環境研究協会)。
 今後は、各地方環境研究所において、課題解決事例等を参考に、環境研究、技術開発への取り組みが一層推進されるよう期待するとともに、環境省としては、これを支援する施策に取り組むこととしている。

(報告書の概要)

1.地方環境研究所の現状(平成14年度現在)

  • 人員
     地方環境研究所(以下「地環研」という。)の職員総数は約2000人
    うち、技術系職員は約1600人
     大気質・水質等の環境分野(1100人)、廃棄物・リサイクル分野(120人)、地球環境分野(70人)、自然環境分野(60人)他
    各地環研の技術系職員の人員数は5~62人、平均は23人、平均年齢は36~53歳
     
  • 予算
     地環研の事業予算の総額は約110億円
    うち、研究費は約11億円
     大気質・水質等の環境分野(6億円)、
     廃棄物・リサイクル、地球環境、自然環境の分野(各1億円)他
    各地環研(52機関)の研究費は200万円~1億6千万円(平均は2千万円)
     
  • 業務内容
    環境モニタリング、研究
     大気質・水質等の環境分野(68機関)、廃棄物・リサイクル分野(43機関)、自然環境分野(20機関)、地球環境分野(53機関)
     各分野ともモニタリングに係る業務割合が高く、全般的に研究業務の割合は30%未満
     学校・外部のセミナー等への講師派遣、セミナーの開催、大学からの学生受け入れ(各約40機関)、JICA研修生の受け入れ、海外への人材派遣等(各約20機関)

2.地方環境研究所の課題および必要な施策

  • 望ましい姿
    ・ 組織... 行政を科学的・技術的に支援する中核組織
    緊急事態に迅速に対応できる機関
    県民・市民に開かれた研究所 等
    ・ 業務... 調査研究業務の充実
    環境行政に直結する研究へ専念 等
     
  • 課題と必要な施策
    [1]  人材の確保
       職員の高齢化、頻繁な人事異動、多いルーチン業務により技術の蓄積・継承、研究時間の確保が困難
       人材の確保・養成、長期的展望に立った人事、技術のマニュアル化等の実施
    [2]  資金の確保
       研究資金が少なく、機器の更新・導入が困難
       外部資金の積極的な導入、機器の共同利用システムの構築等の実施
    [3]  業務の充実
       試験検査業務の強化、分野横断的な研究の遂行等を図るべき
       測定データの精度管理の研修、行政・他機関との連携、地域ニーズの把握等の実施
     
  • 取り組み事例
     各地環研の課題を解決して調査研究等を遂行することができた事例について、108事例を収集し、事例集(第II部)として整理
     主な事例
      [1]  人材の確保
         県の科学技術振興センターが進めている産学官の共同研究に参画することにより、地場産業の施設を利用したフロン分解技術を企業と共同開発し、実用化した。(プロジェクト研究の企画を行う人材の確保)
         大学との共同研究として研究生を受け入れ、マンパワーを確保したことにより、実験設備の管理・調整が円滑に進み、高い研究成果が得られた。この成果は、県の「ふるさとの川再生事業」に反映された。(研究を担う人材の確保)
         長年積み上げた分析の経験を水質分析マニュアルにまとめ、業務の標準化を行った。(ノウハウの継承)
      [2]  資金の確保
         財団法人の研究助成金等を活用し、山小屋で利用できるし尿処理法、排水経路に水生植物を利用した水質浄化システムを開発した。(外部資金の導入)
      [3]  業務の充実
         食品分析の部門と連携し、環境の分析法に食品の分析法を取り込むことにより、ゴルフ場農薬の分析法を簡便・迅速で精度の高い方法に改善できた。(試験検査業務の強化)
         ヒートアイランド現象の解明について、研究所が現象の把握について、大学がメカニズムの解明について分担し、その実態を明らかにした。(他機関との連携)
     
  • 環境研究、技術開発のための施策
     地域における環境研究、技術開発を推進するためには、地環研、行政、その他の研究機関、国等により適切に役割分担されるべき。
     国は地環研の研究レベルを高め、地域の環境問題の解決に資するよう、[1]人材の育成、[2]研究開発基盤の強化、[3]研究開発活動の支援などの施策が求められる。

総合環境政策局 報告書
平成15年度 地域における環境研究・技術開発の推進に関する調査 報告書

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局総務課環境研究技術室
室長:齊藤 眞  (内6241)
 補佐:谷口 靖彦(内6245)