報道発表資料

この記事を印刷
2003年09月19日
  • 保健対策

平成13年度大気汚染に係る環境保健サーベイランス調査結果について

 環境省では、長期的かつ予見的観点をもって、地域人口集団の健康状態と大気汚染との関係を定期的・継続的に観察し、必要に応じて所要の措置を講ずるために、大気汚染に係る環境保健サーベイランス調査を、平成8年度から毎年実施している。

 平成13年度においては、全国34地域の約8万2千人の3歳児を対象(回答者は約6万9千人)に調査を実施し、今般、その結果を取りまとめるとともに、平成8年度~平成13年度調査結果の経年解析を行った。

 地域人口集団の健康状態と大気汚染との関係については、長期にわたる変動傾向からの判断が必要となるため、環境省では、引き続き本調査を実施し、継続的なデータの収集を行い、必要な評価・解析を行うこととしている。



【平成13年度調査結果の概要】

  1. 調査票に記載された住所から個々の対象児ごとに推定した大気汚染物質濃度(対象者別背景濃度)と呼吸器症状(ぜん息、ぜん鳴等)有症率との間には、全濃度区分を通して一定の傾向はみられなかった。

  2. 呼吸器症状有症率の地域間に係る比較検討では、すべての呼吸器症状有症率において、大気汚染物質濃度の低い地域と高い地域で比較した場合、大気汚染物質濃度の高い地域のほうが有症率が高くなる傾向はみられなかった。

  3. 大気汚染物質(NO、NOx、SO及びSPM)濃度と呼吸器症状有症率との関係をオッズ比でみると、大気汚染物質濃度が高いほど有症率が高くなることを示す結果は得られなかった。

  4. 他方、大気汚染物質以外の要因と呼吸器症状有症率との関係をオッズ比でみると、本人のアレルギー疾患既往及び親のアレルギー疾患既往で比較的大きなオッズ比が観察された。



【平成8年度~平成13年度調査結果の経年解析】

 ぜん息有症率と大気汚染濃度について経年的な解析を行った結果、ぜん息有症率の変化と大気汚染濃度との変化に関連性はみられなかった。


*オッズ比 : 二つの群におけるリスクの比を表す。例えば、ある疾患の発症率について、男児と女児のリスクの比をみた場合、女児に対する男児のオッズ比が1より大きければ、その疾患の有症率は男児が女児に比べて大きいことを示す。

平成13年度大気汚染に係る環境保健サーベイランス調査報告
詳しくはこちら


連絡先
環境省総合環境政策局環境保健部環境保健企画管理課保健業務室
室長   松田  勉(6320)
 室長補佐 中山 智紀(6322)
 主査   池上 良一(6326)