報道発表資料

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1997年03月28日

環境庁地球温暖化防止対策推進本部第5回会合について

本日午後4時30分から、標記本部の第5回会合が開かれました。
 今回の会合では、{1}ドイツ(ドレスデン)にて主要国環境大臣会合が開かれ、地球温暖化防止京都会議に向けた国際交渉の論点や進め方に関する認識の交換・共有化等が図られたこと、{2}環境庁がイニシアチブをとっていた政府ベースの地球温暖化防止京都会議関係省庁実行委員会(関係6大臣がメンバー)を早急に発足させることが決まったこと及び本日付けで関係大臣連名により地元京都府・京都市等に対し、協力要請が行われたこと、{3}地方公共団体の講ずる施策において地球温暖化対策の進展が見られ、その一層の推進を図るべく全地方公共団体に対する要請を行ったこと(記者発表済)、といった内外の進展が報告されました。また、環境庁の取組の強化として、「環境庁の行う地球温暖化防止施策の当面の強化について」(別添のとおり)を審議し、決定しました。

(別添)     環境庁の行う地球温暖化防止施策の当面の強化について

                       平成9年3月28日
                       環境庁地球温暖化防止対策推進本部

 環境庁においては、地球温暖化防止京都会議(COP3)の成功を期するための当面の対策に関して、既に本年1月末、国民参加の対策を強化することを決定し、実行しつつあるが、これに加え、以下のとおり、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出削減及び吸収を直接的に実現することに資する施策についてもその強化を図ることとする。 なお、現段階では具体的な対応策が決定していないが、環境庁所管行政の範囲内においても何らかの施策の実施が可能な分野がなお多数あり、これらについては、今後各施策の特質や成熟度等を勘案して具体化のための検討を進め、その成果を逐次施策に活かしていく。

1.全体的な対策

{1} 地球温暖化対策モデル事業費補助による波及効果の大きい対策の推進
 本補助事業は、効果に優れ、他への波及を図るべき対策事業を対象とする新規の補助金であり、もっぱら地球温暖化対策を主眼とするものである。予算成立後、直ちに執行ができるよう、優良事業の発掘、地方公共団体との相談などの準備を進める。また、引き続き地方公共団体における地球温暖化対策推進計画の策定を促進する。

{2} 条約事務局への通報作成作業等を通じた関係省庁の施策の進捗把握の強化及び施策の強化に向けた各省庁への働きかけ
 気候変動枠組み条約に基づく通報については、来る4月15日の提出が奨励されているが、この期限を極力尊重しつつ作成作業を進めることとし、その作成過程で、施策の進捗指標づくりや地球温暖化防止効果の定量化、今後の見通し等を明確にするよう各省庁に要請することにより、施策の進捗状況の把握に努める。また、有望な施策については、これを特定し、各省庁に対して、適切な機会を捉え、その強化を働きかける。さらに、通報の提出に先立って、国民の意見を求め、有効な提案については、政府部内で検討の上、通報の内容に反映していく。

{3} 環境基本計画推進事業費補助を通じた先進的、独自施策の推進
 環境基本計画を推進するため、地方公共団体が自主的積極的に行う先駆的な環境保全に関する事業及び地域環境計画の策定等に対して補助を行う。この中で、地球温暖化防止にも資する事業を積極的に対象とする。

{4} 率先実行計画を通じたエネルギー使用量削減などの環境負荷削減
 数量を伴った11の目標を含む多くの取組を定めた率先実行計画に基づき、庁舎で使用する電気使用量やそのエネルギー供給設備等で使用する燃料の量を概ね10%削減するなどに向けて、国自らが環境保全に関する行動を率先して実行する。この計画の実効ある推進を図るため、平成9年度末までに霞が関等における共用自転車の導入可能性等を検討するとともに、実績、技術の進歩を踏まえ、計画の見直しを行う。

{5} 東京地域等の大都市の公害防止計画の改定を通じた地方公共団体での対策推進
 平成9年には、社会経済活動等の集積により産業、民生、運輸の各部門とも二酸化炭素排出量の多い地域となっている東京地域等の大都市圏の公害防止計画が改定時期を迎える。改定することとなった際には、温室効果ガスの排出抑制に資する公害防止対策等を適切に位置づけ、施策のより一層効果的な実施を促進する。

2.二酸化炭素排出抑制対策

 各省庁に対し、省エネルギー施策や新エネルギー導入施策の実施を働きかけ、政府一体となった二酸化炭素排出抑制対策の強化をリードすることに加え、地球温暖化防止行動計画に掲げられた施策の事項ごとに以下のように対策を進める。

(1)二酸化炭素排出の少ない都市・地域構造の形成

{1} 環境事業団による地域冷暖房施設等の整備の促進
 環境事業団による融資や建設譲渡事業の案件の採択において、地球温暖化防止に資するものを積極的に対象とするよう図る。このため、地域冷暖房施設への融資に加え、低公害車活用型の流通合理化施設(トラックターミナル)の建設譲渡事業新規1カ所を採択する。

{2} 地下水涵養施設整備による健全な水循環の確保
 健全な水循環を確保し、物質・エネルギー循環を含む水環境の保全を図るため、雨水浸透ますの設置等により地下水の涵養を促進するとともに、枯渇又は水量が減少している湧水や井戸の復活整備を実施する事業に平成9年度から新たに補助を開始する。本事業は、都市気候の緩和を通じ、地球温暖化防止に貢献するものであるとの趣旨を踏まえて、広く関係方面に訴えるとともに、補助制度の運用を行う。

(2)二酸化炭素排出の少ない交通体系等の形成

{1} 低公害車の集中導入等の促進
 以下の取組により、自動車走行に起因する窒素酸化物汚染等の改善のほか、二酸化炭素の排出削減に有効な低公害車の導入促進のため、次の取組を行う。
・地方公共団体による低公害車の集中導入事業や公害パトロール車として、新たに150台以上の低公害車の導入を支援するとともに、燃料供給施設の設置を引き続き支援する。
また、公害健康被害補償予防協会事業として、公健法の旧第一種地域等の地方公共団体及び民間事業者が行う低公害車等の導入を引き続き支援する。これらにより、低公害車の導入実績を累積的に高める。
・新たに、低公害車集中導入マニュアルを策定し、これを活用して全国的な普及を促進する。
・その他、税制優遇の拡充、低公害車ガイドブック '97等による情報提供、低公害車フェア等の施策を推進する。

{2} 本庁舎及び国民公園への低公害車の導入
 官用自動車の新規購入に伴い、電気自動車等を導入する。具体的には、平成8年度末の導入済み3台に加え、新たに2台の導入を計画する。

(3)二酸化炭素排出の少ない生産構造の形成

{1} 産業界の自主的取組の評価と必要に応じた助言
 昨年末に産業界(経団連)が公表した自主的取組について、ドイツ等の先行事例と比較しつつ、その内容を精査し、優れた取組についてはこれを顕彰するとともに、必要な助言を行う等により、その円滑な実行や将来における充実強化を支援する。

(4)二酸化炭素排出の少ないエネルギー供給構造の形成

{1} 新エネルギー、コージェネレーション等の地方公共団体への導入マニュアルの整備
 主に地方公共団体を対象に、地球温暖化防止技術として有用な新エネルギー、コージェネレーション等の技術を導入するに際し必要な情報を整理し、マニュアルの形で提供し、これら技術の一層の普及を図る。

{2} 自然公園における施設整備での太陽エネルギーの利用
 国立・国定公園等の自然公園等において、園地等の利用施設整備を行う際、ソーラー街灯等により、クリーンエネルギーである太陽エネルギーの利用に努める。

(5)二酸化炭素排出の少ないライフスタイルの実現

{1} 家電製品等の環境負荷削減の長期目標の策定
 製品に起因する環境負荷の段階的な削減を図るため、各種製品製造及び使用における環境への負荷の実測調査、国内外の環境負荷低減のための技術開発状況等の調査を行い、製品の製造・使用段階における二酸化炭素等の削減の長期目標を製品ごとに設定することとし、平成9年度中には、テレビ等5品目程度の製品について目標設定を目指す。

{2} 光害対策指針の策定
 適切な照明利用の考え方を啓発するとともに、環境影響が小さく効率の高い照明機器の普及を促進するため、照明の効率化が二酸化炭素排出の抑制に与える寄与度を試算した上で、平成9年中に、「夜空の明るさの推奨値」や「屋外照明のあり方に関する指針」等を設ける。

{3} 太陽電池の普及、促進
 設置台数が多く、消費電力の大きい民生用機器である清涼飲料自動販売機へ太陽電池を大規模に導入する方策の技術的、経済的な検討の一環として、平成9年春から大規模なフィールドテストを実施し(100台に導入)、太陽電池の初期需要を創出することにより低価格化を促し、一層の普及に弾みをつける。

3.メタンその他の温室効果ガス排出抑制対策

(1)HFC等の排出抑制対策の推進
 非常に大きな温室効果を有するHFC、PFC、SF6は、近年、CFCの代替用途をはじめとして様々な用途への使用が拡大しつつある。これらのガスの大気中への放出を極力防ぐため、
 1)CFC代替用途として不可欠な分野等へのこれらのガスの用途の限定、
 2)閉鎖系を前提とした使用と回収-リサイクルあるいは回収-破壊の促進、
の二つを基本方針として、平成9年度内に政府としての排出抑制対策の方針を確立し、事業者による早急な自主的対応を促進する。
 また、メタン等については、環境事業団の融資を活用した廃棄物処分施設等の整備を促進すること等により、排出の抑制を図る。

(2)使用済みフロン等の回収・破壊の推進
 フロンも非常に大きな温室効果を有するガスであるが、既に平成7年末をもって生産が全廃されており、過去に生産されたがカーエアコン等の機器の中に存在しているフロンの回収・破壊の促進が重要な課題となっていることから、・平成9年度においては、フロン破壊モデル事業を拡充し、破壊処理の実証実験を行うことにより、使用済みフロンの破壊処理の確立を図る。・関係18省庁からなる「オゾン層保護対策推進会議」において、フロン等の回収・破壊の一層の促進方策について平成9年前半を目途に取りまとめ、関係省庁と連携しつつ、実効ある施策の展開を図る。

(3)自動車排出ガス規制の強化
 自動車排出ガス中の窒素酸化物や炭化水素は、光化学反応で生成される対流圏オゾンの原因物質であり、対流圏オゾンは温室効果ガスである。光化学オキシダントによる大気汚染の改善は、対流圏オゾンの低減による温室効果の抑制にも資することに鑑み、窒素酸化物等の自動車排出ガス規制の一層の強化を図るとともに、更なる新たな低減目標について中央環境審議会で審議していただく。

4.二酸化炭素の吸収源対策

 {1} 国内の森林・都市等の緑の保全整備
 環境事業団事業により、共同福利施設(緩衝緑地、継続2カ所)及び大気汚染対策緑地(継続5カ所)並びに産業廃棄物処理一体緑地(継続1カ所)の建設譲渡事業を推進することとし、優良案件の発掘、事業化を積極的に図る。このため、新たに大気汚染対策緑地2カ所の整備に着手する。

5.技術開発及び普及

{1} 技術評価等の検討会の成果の実現に向けた産業界等への働きかけ
 これまで数次にわたり、地球温暖化防止に寄与する対策技術について評価を行ってきた(平成7年度:2000年までに実施可能と考えられる効果を期待できるような技術。平成8年度(進行中):2030年程度までの対策を視野においた中長期的に有望な技術。)が、この成果を収めた報告書の頒布、発表等により積極的に産業界等関係各界各層に最新の技術開発状況を周知し、優れた技術の積極的な採用を働きかける。

6.国際協力の推進

{1} 共同実施活動の枠組みの確立と更なる対象事業の発掘
 国際的な議論を踏まえつつ共同実施活動プロジェクトの確実な実施を図るとともに、共同実施活動の一層の普及啓発を図るため、平成9年内に、官民が参加する共同実施活動推進フォーラムを設立し、政府と関係団体等との意見交換や、定期的な情報提供等を行うこと等により、幅広い事業者や地方公共団体、NGO等の参加を促す。また、平成9年内に、新規の共同実施活動プロジェクトの追加認定を行うよう努める。

連絡先
環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課
課長:小林  光 内線6740
 補佐:石飛博之 内線6737
 担当:大森友也 内線6739