報道発表資料

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2003年09月10日
  • 地球環境

国連砂漠化対処条約第6回締約国会議(COP6)の結果について

国連砂漠化対処条約第6回締約国会議(COP6)が、8月25日から9月5日にかけて、約170の締約国と、国連諸機関、NGO等の参加を得て、キューバのハバナで開催された。我が国からは、外務省、環境省、農林水産省等が出席した。
 また、開発途上国の首脳級17人の参加の下、首脳級会合が開催され、ハバナ宣言が採択された。
 今回の会議の主な成果は、2004~2005年の予算が決定されたこと、条約履行の更なるステップが決議されたこと、地球環境ファシリティ(GEF)を新たに本条約の資金供与の仕組みとすることが承認されたこと、地域連携の強化に係る検討手続きが決定されたこと、科学技術委員会の下に設けられた専門家グループの今後2年間の活動計画が承認されたこと等である。
  1. 期間
     平成15年8月25日(月)~9月5日(金)
     
  2. 場所
     ハバナ(キューバ)
     
  3. 参加者
     約170の締約国、国連諸機関、NGO等
     
  4. 我が国政府からの出席者
     我が国政府代表団として、外務省地球環境課伊藤課長を団長に、東京大学大学院農学生命科学研究科武内教授のほか、外務省、環境省、農林水産省より出席した。環境省からは、地球環境局環境保全対策課松本補佐が出席した。
     
  5. 首脳級会合
     開発途上国の首脳17人(代理を含む。)の参加の下、首脳級会合が開催された。9月2日、砂漠化の影響を受ける地域の人々の暮らしが砂漠化及び干ばつに対処する際の中心的課題となるべきであり、これらの地域の貧困層の経済、社会及び環境面での改善を促すこと等を内容とするハバナ宣言が採択された。
     
  6. 補助機関会合
     本条約の下には補助機関として科学技術委員会及び条約実施レビュー委員会が設けられている。今回の締約国会議本会合と並行して、8月26日から29日まで、第6回科学技術委員会及び第2回条約実施レビュー委員会が開催された。これらの委員会での検討結果は、締約国会議本会合に報告され、決議に反映された。
     
  7. 主な成果
    (1) 2004~2005年の予算の決定
       2002~2003年予算と比較して5%増の予算(17,049千米ドル)で合意した。事務局のスタッフ数(43人)については据え置きとした。
     
    (2) 条約履行の更なるステップの決議
       締約国等に、資金の調達、劣化した土地の回復の取組、住民参加を含む能力強化、砂漠化問題に関する啓発等を促す内容の決議を採択した。
     
    (3) 地球環境ファシリティ(GEF)を新たに本条約の資金供与の仕組みとすることの承認
       持続可能な土地管理を対象分野に加えるという地球環境ファシリティ(Global Environment Facility; GEF)の決定を受けて、GEFを新たに本条約の資金供与の仕組みとすることを承認した。そして、本条約の事務局長に、GEFの事務局と協力実施のための覚書を締結することを要請することを決議した。
     
    (4) 地域連携強化に係る検討手続きの決定
       既存の3地域事務所(アフリカ、アジア、ラテンアメリカ)の役割も含め地域連携強化の在り方を次回締約国会議(COP7、2005年10月開催予定)で検討するため、各締約国からの意見提出、フィージビリティスタディの実施、各地域グループ会合の場での検討という手続きを進めることを合意した。
     
    (5) 条約実施レビュー委員会の見直し基準の決定
       条約実施レビュー委員会は、前回締約国会議(COP5、2001年10月)の決議により設立されたものであるが、次回締約国会議(COP7)においてその役割等が見直されることになっている。今回の締約国会議では、次回締約国会議での見直しを、締約国の期待との関連性、条約の達成状況への寄与度、費用対効果等の観点から行うことを決定した。
     
    (6) 科学技術委員会の下に設けられた専門家グループの今後2年間の活動計画の承認
       専門家グループは、科学技術委員会の効率化のため、前回締約国会議(COP5)の決議により設立されたものである。今回の締約国会議では、専門家グループから提案された活動計画について、優先順位を付けること及びその優先順位付けされた活動計画に基づいて今後2年間活動することを専門家グループに要請することを決議した。
     
    (7) 砂漠化・干ばつの早期警戒体制について
       各締約国で早期警戒体制のパイロットスタディを行い、次回締約国会議までに進捗状況を提出することを推奨することを決定した。
     
    (8) 伝統的知識の活用について
       砂漠化・干ばつへの対処のための伝統的知識をどのように活用するかについて、各締約国で意見をまとめるとともに、活用事例を取りまとめて次回締約国会議までに提出することを推奨することを決定した。
     
  8. 我が国の取組の紹介
     環境省では、アジア地域における知見の蓄積を踏まえ、基準・指標、モニタリング・評価、早期警戒体制等の議論を体系化することを目的に、今年度、専門家グループのアジア地域メンバー会合を我が国で開催する予定であることを、科学技術委員会で紹介した。これは、科学技術委員会議長により締約国会議本会合でも紹介された。

(以上)

連絡先
環境省地球環境局(旧)環境保全対策課
課長:荒井 真一(6740)
 補佐:松本 康裕(6744)
 担当:岸   秀蔵(6747)