報道発表資料

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1997年03月24日

伊勢湾の富栄養化対策としての窒素・燐の水質管理目標値の設定について

伊勢湾流域の3県1市(岐阜県、愛知県及び三重県並びに名古屋市)は、平成8年12月の伊勢湾富栄養化対策連絡会(環境庁及び3県1市で構成)の合意に基づき、伊勢湾について第4次の富栄養化対策を実施しているところであるが、それらの対策の一環として、今般、初めて工場・事業場の排水に関する窒素・燐の水質管理目標値を岐阜県、愛知県及び三重県が設定し、4月1日から具体的指導に着手することとなった。

1. 水質管理目標値に関する平成8年12月の伊勢湾富栄養化対策連絡会の合意事項
  特定事業場対策として、工場・事業場から排出される窒素及び燐を効果的に削減するため、岐阜県、愛知県及び三重県は水質管理目標値を定め、削減指導を行うものとする。

2. 岐阜県、愛知県及び三重県が今般設定した水質管理目標値について
(1)水質管理目標値の基本的な考え方
  水質管理目標値は、伊勢湾の富栄養化対策の推進に当たり、公共用水域に排出される工場・事業場からの排水について、窒素及び燐の水質として目標年度(平成11年度)までに達成することが望ましい値とする。

(2)水質管理目標値の設定方法
 {1} 新設に対する水質管理目標値は、各県で同一の値とする。
 {2} 既設に対する水質管理目標値は、各県の工場・事業場の排水の特性等を考慮して定める。
 {3} 水質管理目標値が適用される排水は、伊勢湾の富栄養化に関係ある地域の特定事業場で排水量が1日当たり50立方メートル以上のものから公共用水域に排水される排水とする。

(3)今後の指導方法等   各県市は、今後各県が策定した水質管理目標値に基づき、平成9年4月1日から、新設・既設の工場・事業場に対して理解と協力を得つつ具体的な指導を行う。

(4)具体的な水質管理目標値
  別紙のとおり。

(参考1)伊勢湾富栄養化対策の経緯等
(参考2)平成8年12月の伊勢湾富栄養化対策連絡会の合意事項(抄)

(2)削減の方途
  次の方途を、生活系、産業系等の均衡を図りつつ、実施可能性にも配慮し、総合的に講ずるものとする。
 1)生活系に係る方途
 2)産業系に係る方途
 3)その他系に係る方途
 4)特定事業場対策
   水質汚濁防止法の窒素及び燐の排水基準の遵守及び暫定排水基準適用業種の一般排水基準への円滑な移行のための指導を行うとともに、工場・事業場から排出される窒素及び燐を効果的に削減するため、水質管理目標値を定め、削減指導を行うものとする。
   また、窒素及び燐の上乗せ排水基準の設定については、環境基準の達成状況、排水処理技術の実態及び動向等を勘案し、検討を進めることとする。

 5)直接浄化対策等
 6)普及啓発等
 7)負荷量の把握

(参考3)水質汚濁防止法の窒素・燐の一律排水基準の値(mg/l)

窒素 最大値  120 (日間平均値 60)
最大値   16 (日間平均値  8)

(別 紙)  全 窒 素 及 び 全 燐 に 係 る 水 質 管 理 目 標 値

(mg/l)
 業種区分等 排水量の区分
(1日当たりの
 平均的な排出水量)  
新設の事業場 既 設 の 事 業 場
全窒素 全燐 全窒素 全燐
岐阜県 愛知県 三重県 岐阜県 愛知県 三重県
製造業 食料品製造業 50m3以上400m3未満
400m3以上
15
10
3.0
1.0
15
10
25
15
25
25
4.0
3.0
6.0
4.0
6.0
4.0
水産食品、飼料・
有機質肥料製造業
50m3以上400m3未満
400m3以上
15
10
3.0
1.0
  60
15
    8.0
4.0
 
繊維工業 50m3以上400m3未満
400m3以上
15
10
3.0
1.0
15
10
25
20
15
10
3.0
2.5
6.0
5.0
3.5
1.5
化学工業 50m3以上400m3未満
400m3以上
20
10
2.0
1.0
20
20
20
20
20
20
2.0
2.0
2.0
2.0
3.0
2.0
鉄鋼業 50m3以上400m3未満
400m3以上
15
10
1.0
0.5
15
10
20
20
20
10
1.0
0.5
2.0
0.5
2.0
1.0
金属製品製造業 50m3以上400m3未満
400m3以上
15
10
2.0
1.0
20
15
40
15
35
15
2.0
1.5
3.0
2.0
2.5
2.5
その他の製造業 50m3以上400m3未満
400m3以上
10
10
2.0
1.0
15
10
15
10
25
15
2.0
1.0
2.0
1.0
2.0
1.5
その他の業種等 畜産農業 50m3以上400m3未満
400m3以上
60
40
8.0
5.0
60
60
60
60
60
60
8.0
8.0
8.0
8.0
8.0
8.0
下水道終末処理場 50m3以上30000m3未満
30000m3以上
15
10
1.0
1.0
20
15
25
20
20
20
1.5
1.2
2.0
1.5
2.0
2.0
し 尿 処 理 場 50m3以上400m3未満
400m3以上
20
10
1.0
1.0
60
60
60
60
60
60
4.0
4.0
2.0
2.0
3.0
3.0
合併処理浄化槽
(201人槽以上)
50m3以上400m3未満
400m3以上
20
20
3.0
3.0
30
30
40
40
35
25
3.0
3.0
4.0
4.0
4.0
3.0
単独処理浄化槽
(201人槽以上)
50m3以上 60 8.0 60 60 60 8.0 8.0 8.0
その他事業場 50m3以上400m3未満
400m3以上
20
10
3.0
1.0
20
20
25
20
25
20
3.5
3.5
6.0
3.0
4.5
3.0
(備考)
  1. 水質管理目標値は、日間平均値とする。
  2. 新設の事業場とは、平成10年4月1日以降に新たに設置される水質汚濁防止法の特定事業場をいう。
  3. 既設の事業場とは、新設の事業場以外の特定事業場をいう。
  4. 岐阜県及び三重県の水産食料品製造業、飼料・有機質肥料製造業に係る水質管理目標値は、食料品製造業の値とする。
  5. 単独処理浄化槽の新設事業場に係る水質管理目標値は、岐阜県及び三重県では設定しない。
連絡先
環境庁水質保全局水質規制課
課長:畑野  浩 (内線6640)
 室長:望月 時男(内線6641)
 主査:高梨 秀一(内線6645)