報道発表資料
環境省は、沖縄本島周辺海域に生息するジュゴンの全般的な保護方策を検討するため、平成13年度から「ジュゴンと藻場の広域的調査」を実施しています。
本調査に関し、本日、平成15年度第1回「ジュゴンと藻場の広域的調査手法検討会」が開催され、平成14年度の報告書の最終取りまとめ方針について専門家に意見を伺うとともに、平成15年度の調査手法の検討を行いましたので、その結果の概要をお知らせします。
本調査に関し、本日、平成15年度第1回「ジュゴンと藻場の広域的調査手法検討会」が開催され、平成14年度の報告書の最終取りまとめ方針について専門家に意見を伺うとともに、平成15年度の調査手法の検討を行いましたので、その結果の概要をお知らせします。
I.「ジュゴンと藻場の広域的調査」について
1. 調査の目的
本調査は、沖縄本島周辺海域に生息するジュゴンの全般的な保護方策の検討に必要な情報やデータを収集することを目的に、平成13年度から概ね3カ年の予定で実施しているものです。
2. 検討会の構成メンバー
検討会は、平成13年度、平成14年度に引き続き、以下の6名の委員で構成されています。
相生 啓子 | 青山学院女子短期大学講師 (海草) | |
井田 齊 | 北里大学水産学部教授 (沿岸生態系) | |
内田 詮三 | 沖縄美ら海水族館館長 (海棲哺乳類) | |
粕谷 俊雄 | 帝京科学大学理工学部教授 (海棲哺乳類) | |
香村 眞徳 | 財団法人沖縄県環境科学センター副会長 (藻類) | |
山田 格 | 国立科学博物館第一研究室長(海棲哺乳類) |
II.平成14年度調査結果概要
III.平成15年度の調査手法の検討
平成15年度は、今回の検討会で専門家の意見を聞き、以下のような手法で調査を進めることとなりました。
なお、平成15年度は、「ジュゴンと藻場の広域的調査」の最終年度にあたるため、平成13年度及び平成14年度に実施した調査結果とあわせて、整理・取りまとめを行う予定です。
なお、平成15年度は、「ジュゴンと藻場の広域的調査」の最終年度にあたるため、平成13年度及び平成14年度に実施した調査結果とあわせて、整理・取りまとめを行う予定です。
1. 海草藻場の調査
(1) | 浅場の海草藻場の調査 | |
平成13年度に作成した「沖縄本島浅場藻場分布図」をベースに、以下の調査を実施します。 |
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[1] | 浅場の食跡調査 | |
平成15年度は、リーフ内に形成されていない外洋に開けた浅場の海草藻場を対象にして、水中観察によるジュゴンの食跡調査を実施します。 |
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[2] | 浅場藻場の食跡モニタリング調査 | |
ジュゴンにより摂餌された海草の植生の回復状況や、ジュゴンの藻場の利用頻度を把握するため、食跡が確認された藻場でモニタリングを行います。 | ||
[3] | ジュゴンが好む海草群落の構造調査 | |
浅場の海草藻場とジュゴンの摂餌の関係を把握するため、ジュゴンが摂餌する藻場と摂餌されない藻場の海草群落の構造等を比較分析します。 |
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(2) | 深場の海草藻場調査 | |
水中カメラを搭載した機械を使用する等、潜水によらない方法により水中を観察し、これまでの調査よりも調査の範囲を広げ、沖縄本島周辺の深場の藻場の分布の傾向を把握します。 |
2. ジュゴンの分布及び行動調査
(1) | 航空機による分布調査 |
沖縄本島周辺海域において、セスナ機によるジュゴンの目視調査を、季節を変えて複数回実施します。 |
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(2) | 24時間行動観察調査 |
ジュゴンに遭遇する可能性が高い浅場の藻場において、観測に適した箇所(1地点)で定点観測を行い、ジュゴンの日周行動に関するデータを収集します。 |
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(3) | 地元住民や関係団体等からの目撃情報の収集 |
平成13年度及び平成14年度に引き続き、地元住民や、NGOなどから、ジュゴンの目撃情報を収集するとともに、ポスターやホームページを通じ、情報の提供を呼びかけます。 |
3. ジュゴンの食性調査
死亡個体の胃及び腸の内容物の定性的分析を行い、これまでの調査結果とあわせて、ジュゴンの食性に関する知見を集積します。
4. ジュゴンの遺伝学的特性調査
平成13年度に整理したDNAの分析手法を用い、沖縄本島で得られたサンプル及び海外で得られたサンプルを分析し、沖縄個体群の遺伝学的特性を分析するとともに、沖縄の個体群と海外の個体群との遺伝学的特性を比較・考察します。
5. その他:ジュゴンのレスキュー技術の普及
魚網に混獲されたり海岸に漂着したジュゴンのレスキュー体制について、沖縄県(文化環境部局、水産部局及び教育庁)、関係行政機関、関係市町村、学識経験者(ジュゴン、水産業等)、地元関係者、NGOから構成される検討会により平成14年度に作成されたマニュアルに関し、実施訓練等を実施し、マニュアルの技術の普及を図るとともに、改善すべき点を抽出しマニュアルをより確かなものにします。
なお、本事業は、沖縄県への施行委任により実施します。
- 連絡先
- 環境省自然環境局野生生物課
課長 黒田 大三郎 (内線6460)
専門官 清野 達男 (内線6464)