報道発表資料

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2003年03月26日
  • 保健対策

内分泌攪乱作用に関する魚類を用いたスクリーニング試験の国際的検証試験の開始について

内分泌攪乱作用に関する経済協力開発機構(OECD)のスクリーニング・試験法開発の一環として、魚類を用いたスクリーニング試験(ビテロジェニン産生試験注))に関する国際的検証試験が、本年3月から開始されることとなり、日本の3試験機関も参加することとなりましたので、お知らせします。
  
 注)ビテロジェニンとは肝臓で合成される卵黄タンパク前駆体。通常は、繁殖期の雌成魚で特に産生されるが、女性ホルモンに曝露された雄の肝臓でも産生されるため、雌化の指標として用いられる。
(1)  内分泌攪乱化学物質は、科学的には未解明な点が多く、国際的にはその作用を検出するための試験法すら確立されていない状況であり、経済協力開発機構(OECD)を中心にスクリーニング・試験法開発が進められています。
  
(2)  具体的には、人健康への内分泌攪乱作用を検出するための哺乳類を用いた試験法開発及び生態系への内分泌攪乱作用を検出するための魚類、鳥類、両生類、無脊椎動物を用いた試験法開発が進められています。
  
(3)  通常、こうした試験法が確立されるためには、複数の機関において、同一試験を同一条件で実施し、その試験法の有効性や妥当性等について検証することが必要で、その検証のための試験(国際的検証試験)をリングテストといいますが、今回、魚類を用いたビテロジェニン産生試験に関するリングテストの第一段階が開始されることとなりました。
  
(4)  今回のリングテスト(第一段階)に参加する試験機関は、(財)化学物質評価研究機構、国立環境研究所、国土環境株式会社、バイエルの4機関であり、(財)化学物質評価研究機構が今回のリングテストのとりまとめを行う予定です。
  
(5)  今回、使用される魚種は、メダカ、ファットヘッドミノー、ゼブラフィッシュの3魚種で、いずれも内分泌攪乱化学物質の生態影響に関する試験魚としてOECDにおいて推奨されており、環境省では、これまでもメダカを用いた内分泌攪乱化学物質の生態影響に関する試験法の開発を進め、OECDの取組に貢献するとともに、それらの試験法を用いて有害性評価を行っているところです。
  
(6)  また、本年2月には岡崎国立共同研究機構において、第3回メダカ国際シンポジウムが開催され、実務者による今回のリングテスト(第一段階)に関する詳細なプロトコールの打ち合わせが行われました。
  
(7)  今回のリングテスト(第一段階)の試験結果については、5月に開催されるOECDの生態系試験法検証管理グループ(VMG-eco)の会議に提出され、次の段階の試験実施に関する方針について議論される予定です。
連絡先
環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課
課長  安達 一彦   (内6350)
 専門官 鷲見(すみ) 学(内6352)
 担当  堀  裕行    (内6354)