報道発表資料

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2002年12月16日
  • 再生循環

バーゼル条約第6回締約国会議(COP6)の概要

平成14年12月9日(月)から13日(金)まで、スイスのジュネーブにおいて、バーゼル条約第6回締約国会議が開催された。会議には、デンマーク、スイス、マレーシアなどの閣僚を含む100カ国以上の代表者が出席し、有害廃棄物の国境を越える移動についての環境上適正な管理に関する議論などが行われ、戦略計画(2000年~2010年)の採択、遵守メカニズム(条約上の義務の実施及び遵守を促進する制度)の設立等について合意に至った。
開催日、場所
 開催日:平成14年12月9日(月)~13日(金)
 開催場所:スイス、ジュネーブ(国連欧州本部)
  
主な参加者
 デンマーク、スイス、マレーシア、バングラデシュ、ウガンダなどの閣僚を含む100カ国以上の代表(締約国は、151カ国)。
 日本からは、多賀公使(寿府代表部)、環境省山田審議官、適正処理推進室田村補佐他が参加。
 なお、議長は、ルーマニア環境大臣(イオアン・ジェレブ)。
  
主要な合意
(1) 戦略計画(2000年~2010年)の採択
    環境上適切な管理(ESM)のためのバーゼル宣言(1999年のCOP5において採択され、重要9分野を明示)を実効的に実施するもの。途上国の能力向上と貿易措置による廃棄物越境移動削減の両面が協調された内容。
  
(2) 訓練及び技術移転のための(条約)地域センターの強化と新設
    地域センターの業務に途上国向け能力向上を明確化するため、ホスト国と条約事務局の間で枠組み協定を締結し、また、条約として予算措置を行う。
 西アフリカの新たな地域センターとして、セネガルのダカールに設置。次回のCOP7において、イランのセンター新設を検討。
 なお、インドも設置希望を表明。現在、アジアには、北京とジャカルタに設置されている。
  
(3) 遵守メカニズム(条約上の義務の実施及び遵守を促進する制度)の設立
    15人で構成する遵守委員会の設置を決定。主な目的として、義務の履行支援と監視・遵守確保の両面を併記。人選は、国連の5地域グループから各々3カ国ずつ推薦する者をCOPが決定(具体的な国、人は、今後WGで進める)。この遵守委員会に問題を提起できるのは、当該案件の当事国、影響を受ける締約国(一定範囲で、いわゆるparty to party triggerを認める)、条約事務局の3者(NGOなど独立機関を含まない)。遵守委員会からCOPへの勧告には、警告と将来の遵守に関する助言を含む。
  
(4)その他
 技術的ガイドライン、条約上の対象品目の見直し、予算(3百万ドル)等を決定。新しい国連分担方式の適用について、予算決定は14日未明に決着。
 OECD諸国から非OECD諸国に対する有害廃棄物輸出の原則禁止を定めたバン アメンドメント(1995年のCOP3で採択)の早期発効(発効のためには62カ国の批准が必要。現在の批准国数は33カ国)に関する分析作業が現在継続中であり、COP6までに完成させることとされていたが、統計データ不足、重要事項の未検討などから作業が未完であり、2004年のCOP7までに分析作業を継続し、終了させることとなった。
  
COP6における議題以外の事項(サイド・イベント)
(1)Eウエイスト(電気電子廃棄物)に関する閣僚級ラウンドテーブル
   本年11月に中国で開催されたEウエイストに関するワークショップの紹介(中国の李精華大学助教授)など産業界も含む専門家のプレゼンテーションを中心に、出席閣僚や高官が簡単なコメントを行った。
 Eウエイストが、バーゼル条約として対処すべき優先的課題のひとつであると認識し、かつ収集、処理、リサイクル推進にとって、マルチステイクホルダーの参加と具体的行動の重要性を強調し、特に発展途上国のニーズに特別の注意が払わなければならない旨の事務局ノートがCOPに報告された。
 
(2)携帯電話に関するパートナーシップ
    使用済み携帯電話の回収と再利用を、メーカー10社(このうち、松下、ソニー、NEC、セイコーエプソンの4社は日系)と条約事務局及びUNEPの主導で、ネットワークプロバイダー、地方政府、NGO等の協力を得つつ、システム構築を検討していくプログラム。スイスのロシ環境大臣の提案。企業の代表、UNEP事務局長テプファー、桑原バーゼル条約事務局長、ロシ大臣による署名が行われた。
 世界中の携帯電話は、3億8千万台使用されているが、重金属など有害廃棄物は40トンに過ぎず、危険な状態にあることから取り組むというより、便益普及とリスク管理を先駆的に進めるためのもの。
  
 (3) 都市部における有害廃棄物の環境上適正な管理のパートナーシップ
   世界6都市(サンサルバドル、クリチバ、ヨハネスブルグ、デニッカ、ベオグラード、北九州市)の市長などからプレゼンテーションが行われ、国際的ネットワーク、マルチステイクホルダーの参加、パイロット調査プロジェクトの3点が重要であるとの事務局長ノートがとりまとめられた(北九州市からは、中薗環境局総務部長が参加)。
連絡先
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課適正処理推進室
室   長 粕谷 明博(内線6881)
 室長補佐 田村 省二(内線6882)