報道発表資料

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1997年03月07日

「北東アジア地域湿地・水鳥保全ワークショップ」の開催結果及び「北東アジア地域ツル類重要生息地ネットワーク」の構築について

3月7日(金)、中国・北戴河(ベイダイヘイ)において開催されていた「北東アジア地域湿地水鳥ワークショップ」(環境庁、中国林業部及びウェットランド・インターナショナル主催)において、「北東アジア地域ツル類重要生息地ネットワーク」が5カ国16地域の参加を得て構築された。
日本からは、釧路湿原、厚岸湖・別寒辺牛湿原、霧多布湿原(以上北海道)、八代(山口県)及び荒崎(鹿児島県)の5地域が登録された。   

1. 概要
 「北東アジア地域湿地・水鳥ワークショップ」は,日本、中国、ロシア、韓国及びモンゴルの5カ国から約100人の参加者を得て3月4~7日、中国・北戴河において開催された。
 ワークショップ参加国は、ウェットランド・インターナショナル(国際湿地保全連合)日本委員会及び(財)日本野鳥の会により提案された「北東アジア地域ツル類重要生息地ネットワーク(以下「ネットワーク」という。)」の趣旨に賛同し、それぞれの国のツル類にとっての重要な生息地を推薦し、ネットワークを構築した。
 ネットワークは、北東アジア地域のツル類の渡りのルートにある各国が、それぞれの国にあるツル類の重要生息地を選定し、生息地間の情報交換、地域住民の啓発活動等を通じ湿地の効果的な保全を図っていこうとするものである。

 2. 経緯
 本ネットワーク構想は、昨年3月に国際湿地保全連合アジア太平洋支部及び同日本委員会により策定された「アジア太平洋地域水鳥保全戦略」において位置づけられ、ラムサール条約第6回締約国会議における勧告(ブリズベン・イニシアチブ)においても支持されている。なお、昨年3月には、同戦略に基づいて、「東アジア~オーストラリア地域におけるシギ・チドリ類に関する重要生息地ネットワーク」が、10カ国24湿地の参加を得て構築されている。

3. ネットワークの詳細
 詳細については、別紙1の通り。

4. 参加国及び参加地域
 ネットワークには、日本、中国、ロシア、韓国及びモンゴルの5カ国から、16地域が登録されたほか、北朝鮮からもワークショップ参加の意向が伝えられた(北朝鮮の2カ所は準備中)。
日本からは釧路湿原、厚岸湖・別寒辺牛湿原、霧多布湿原(北海道)、八代(山口県)及び荒崎(鹿児島県)の5地域が登録された。
 登録地域は別紙2のとおり。

別紙1

北東アジア地域ツル類重要生息地ネットワーク提案概要

1. 目的
  ツル類の渡りにとって国際的に重要な湿地についての認識を高め、連携して適切な管理を促進することによって、北東アジアにおけるツル類とその生息地の長期的な保全を確実にする。

2. ネットワークの性格
ツル類とその生息地保護のための国際協力活動である。 地域において、湿地所有者、湿地の管理に責任のある者(湿地管理者)及び保全活動に参加している人々を支援する。 個別の湿地とその保全活動についての国際的な認識を高める。

3. 活動内容
湿地管理者は、湿地管理計画を策定し適切に管理を行うとともに、当該湿地に関する情報をワーキンググループに提供する。
ネットワーク担当官(フライウェイ・オフィサー)は、各湿地から集まった情報のデータベースを作成し、ネットワーク間の情報交換を促進する。各湿地のツル類保全に関する活動を支援する。

4. ネットワークへの参加手続
湿地管理者は、参加に必要な情報を準備し、当該国の政府機関がネットワークに登録する。

5. ネットワーク参加のためのクライテリア
ネットワークへ参加する湿地は、下記要件の少なくとも1つを満たすものとする。また、全ての参加湿地は、法制度により保護されているか、もしくは土地所有者が保護に協力的でなければならない。
{1} ラムサール条約の量的基準 (1%) を満たす。
{2} 湿地へのツル類の渡来数が、種数に関わらず25羽以上。
{3} ツル類ワーキンググループが、ツル類にとって重要と認める。

6. 運営機構
ネットワークの運営及び活動内容について責任を有するツル類ワーキンググループを、アジア太平洋地域渡り性水鳥保全委員会(国際湿地保全連合の委員会の1つ)の下に設ける。ワーキンググループは、参加国の政府機関及び専門家で構成される予定。
ワークショップでは、暫定ワーキンググループを設立した。
ネットワーク担当官は、国際湿地保全連合日本委員会及び(財)日本野鳥の会により支援を受けて活動を行う

別紙2
ネットワーク登録地域一覧
List of Network Sites

China 中国
      Xingkai Lake  シンカイ湖
      Yellow River Delta  黄河三角州
      Poyang Lake  ポーヤン湖
      Yancheng  ヤンチェン

Japan 日本
      Kushiro Marsh  釧路湿原
      Kiritappu Marsh  霧多布湿原
      Akkeshi Lake and Bekanbeushi Marsh 厚岸湖・別寒辺牛湿原
      Yashiro   八代
      Arasaki   荒崎

Mongolia モンゴル
      Daguur Strictly Protected Area ダグール保護区

Republic of Korea 韓国
      Han River Estuary  漢江河口
      Choelwon  鉄原

Russian Federation ロシア
      Khingansky  ヒンガンスキー
      Khanka Lake  ハンカ湖
      Daursky   ダウルスキー
      Kytalyk   クタルク

   全16地域

連絡先
環境庁自然保護局野生生物課
課 長:小林 光  (6460)
 担 当:小山、山本 (6465)