報道発表資料

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2002年09月20日
  • 水・土壌

「土壌汚染対策法に係る技術的事項について」中央環境審議会答申について

平成14年6月18日に環境大臣から中央環境審議会会長(森嶌昭夫(財)地球環境戦略研究機関理事長)に対し諮問がなされた「土壌汚染対策法に係る技術的事項について」は、本日の中央環境審議会土壌農薬部会(部会長:松本聰秋田県立大学生物資源科学部教授)において報告が取りまとめられ、同日、中央環境審議会会長から環境大臣に対して答申がなされました。
 環境省としては、本答申を踏まえ、土壌汚染対策法に基づく政省令の策定作業等を進めることとしています。
  1. 背景及び経緯

     平成14年1月の中央環境審議会答申「今後の土壌環境保全対策の在り方について」を踏まえ取りまとめられた土壌汚染対策法案が第154回国会において成立し、同年5月に公布されました。
     同答申では、今後の課題として、今回の制度の実施に向けてはその円滑な施行が図られるよう、今後、更に、[1]対象とする土壌汚染に係る基準のうち、汚染土壌の直接摂取に係る基準の具体的な数値、[2]国の定める調査の方法(分析方法を含む)、[3]リスク低減措置に係る国の技術的基準(当該土地の周辺の地域での地下水の飲用利用の有無等の考慮の考え方等を含む。)、[4]土地の改変等に伴う新たな環境リスクの発生の防止に係る国の技術的基準、[5]その他、の技術的事項について、中央環境審議会において関係する専門家の参加を得て審議する必要があるとされました。
     このため、平成14年6月18日、環境大臣から中央環境審議会会長に対して「土壌汚染対策法に係る技術的事項について」の諮問がなされ、同審議会では土壌農薬部会及び同部会に設置された土壌汚染技術基準等専門委員会(委員長:村岡浩爾大阪産業大学人間環境学部教授)における3回にわたる調査審議の後、8月7日から9月3日までパブリックコメント手続きを行いました。パブリックコメント手続きで寄せられた意見等を踏まえて9月11日に開催された第4回専門委員会において調査審議が行われ、専門委員会としての報告が取りまとめられました。
     同報告については、本日9月20日に開催された土壌農薬部会において部会報告として了承され、これを受けて、同日、中央環境審議会会長から環境大臣に対して答申がなされました。
     
     
  2. 答申の概要
     
     特定有害物質【土壌汚染対策法(以下「法」という。)第2条第1項関係】
     
    [1]  直接摂取によるリスクの観点からは、人が直接摂取する可能性のある表層土壌中に高濃度の状態で蓄積し得ると考えられる重金属等
      [2]  地下水等の摂取によるリスクの観点からは、現行の土壌環境基準(溶出基準)項目
     
     土壌汚染状況調査の方法【法第3条第1項関係】
     
      2-1 土壌汚染状況調査の対象となる土地の範囲について
       土壌汚染状況調査を行う土地の範囲については、原則として、使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る「工場又は事業場の敷地であった土地の全ての区域」。
     
      2-2 特定有害物質ごとに行うべき調査について
      (1) 土壌汚染状況調査の対象となる物質
        [1]  法第3条の調査の場合は有害物質使用特定施設において使用等していた物質
        [2]  法第4条の調査の場合は都道府県知事が人の健康に係る被害が生ずるおそれのあるものとして特定した物質
      (2) 特定有害物質ごとに行うべき調査(特定有害物質となっている分解生成物含む)
        [1]  重金属等については、土壌含有量調査及び土壌溶出量調査
        [2]  揮発性有機化合物については、土壌ガス調査及び土壌溶出量調査
        [3]  農薬等については、土壌溶出量調査
     
      2-3 具体的な調査方法について
         調査試料の採取地点の選定方法については、一定の方法により一義的に採取地点が定まるよう策定。
     調査試料の採取地点の密度については、
        [1]  基本的には100m2に1地点。
        [2]  資料等調査等により汚染が存在する可能性が低いと考えられる部分については、都道府県知事が確認の上、900m2に1地点(土壌ガス調査以外は5点均等混合)。
        [3]  資料等調査等により汚染が存在する可能性がないと考えられる部分については、都道府県知事が確認の上、不要。
     
     指定区域の指定に係る基準【法第5条第1項関係】
     
    [1]  直接摂取によるリスクに係る基準(土壌含有基準)は、「要措置レベル」(平成13年8月「土壌の含有量リスク評価検討会報告書」参照)を基に「暴露される時期及びその期間」等の考え方に基づき個別物質毎に検討して設定。
      [2]  地下水等の摂取によるリスクに係る基準(土壌溶出基準)は、現行の土壌環境基準(溶出基準)。
     
     指定区域台帳に記載する調査結果に関する事項【法第6条第2項関係】
       調査結果については、各試料採取地点の調査対象となった特定有害物質の測定結果、試料採取及び分析の日時並びに方法等を帳簿の別紙として添付するとともに、調査対象地における試料採取地点を明示した図面を添付。
     
     汚染の除去等の措置の実施に関する技術的基準【法第7条第4項関係】
    (1) 直接摂取によるリスクの観点から必要な措置
     指定基準のうち土壌含有基準を超える指定区域について措置を命ずる場合にあっては、次に掲げる措置のいずれか又はこれらの措置を組み合わせて実施。
    [1]立入禁止措置、[2]舗装措置、[3]覆土(盛土)措置、[4]その他の覆い措置、[5]指定区域外土壌入れ換え措置、[6]指定区域内土壌入れ換え措置、[7]原位置封じ込め措置、[8]遮水工封じ込め措置、[9]遮断工封じ込め措置、[10]掘削除去措置、[11]原位置浄化措置
    (2) 地下水等の摂取によるリスクの観点から必要な措置
    1) 指定基準のうち土壌溶出基準を超える指定区域について措置を命ずる場合にあっては、まず、指定区域内において地下水の水質のモニタリングを実施。
    2) 地下水モニタリングの結果、水質汚濁防止法の地下水浄化基準を超過した際には、次に掲げる措置のいずれか又はこれらの措置を組み合わせて実施。
    [12]原位置不溶化措置(重金属等に限る)、[13]不溶化埋め戻し措置(重金属等に限る)、[14]原位置封じ込め措置、[15]遮水工封じ込め措置、[16]遮断工封じ込め措置(揮発性有機化合物を除く)、[17]掘削除去措置、[18]原位置浄化措置
     
     土地の形質の変更の施行方法に係る基準【法第9条第4項関係】
       土地の形質の変更の際に遵守すべき事項及び土地の形質の変更の際の土壌の搬出の方法を規定。
     
     その他
    7-1  土壌の特定有害物質による汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがある土地の考え方【法第4条第1項関係】
     
     「[1]土壌汚染又は地下水汚染が判明しているか、土壌汚染が存在する蓋然性の高い土地」であり、かつ、「[2]暴露の可能性がある場合」。
     
    7-2  土壌の特定有害物質による汚染により、人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがある土地の考え方【法第7条第1項関係】
     
     指定区域内の土地が「暴露の可能性がある場合」。
     
     
  3. 今後の予定

     環境省としては、本答申を踏まえ、土壌汚染対策法の施行に向け、同法に基づく政省令の策定作業等を進めたいと考えております。


 別添 「土壌汚染対策法に係る技術的事項について(答申)」
(注:本答申のp36,38,40,50,66,70は空白ページのため、このファイルには入っていません。)

添付資料

連絡先
環境省中央環境審議会土壌農薬部会事務局
環境省環境管理局水環境部土壌環境課
課   長:由田 秀人(6650)
 課長補佐:荒木 真一(6652)
 課長補佐:長坂 雄一(6655)

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