報道発表資料

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1997年03月06日

気候変動枠組条約ベルリンマンデート・アドホックグループ第6回会合の第3日目の状況について

AGBM第6回会合では、現地(ボン)3月5日(水)、午前中、議題3(a)「第4条2項(a)及び(b)の約束の強化」に関する事項のうち、温室効果ガスの排出抑制及び削減に関する数量目的(QELROS)について、事務局の作成した枠組み文書に基づき討議が行われ、議定書案文作成に向けた条文の整理・分類作業が比較的順調に進められた。
 また、午後は、非公式の作業グループ会合に充てられ、公開の席での議論は行われなかった。
  1. 議題3(a)「第4条2項(a)及び(b)の約束の強化」のうち、QELROSについて
     
     昨日エストラーダ議長が示した作業方針(事務局が作成した2つの枠組み文書の中には、既に条文の形式をとっているものがある一方で記述的な提案もあり、これらは、条文化する必要があること、また、異なった提案は各提案内容に該当する項目に分類を行っていくこと等)に沿って、提案の重複の整理が行われた。
     昨日、差異化に関する非公式会合を開催し、差異化のアプローチ等に関する各国の考え方が既に議論されていること、また、EUの環境相理事会の合意についても、同会合で既に明らかにされていたこともあり、これらの考え方や合意を含む最新の状況を反映した「枠組み文書」の整理作業が比較的順調に進められた。
     なお、昨日の差異化に関する非公式会合の議長を務めたチョー氏(マレーシア)より、同会合について報告があり、{1}削減目標の設定に当たっては、各国間の公平性が担保されることが望ましいという点で共通の認識があること、また、{2}EU環境相理事会の合意を見ても明らかなように、削減目標の差異化は一層挑戦的な目標の設定に道を開く可能性があること、他方で、{3}京都会議までに各国が差異化目標に合意できるか疑問であること、{4}差異化を支持する国は、差異化のための具体的な数値を明らかにして検討作業を進めていく必要があること等が各国の意見として紹介された。これを受けて、ノルウェーは、2010年までに10%~15%削減との数値を提示し、また、類似の提案を行っているアイスランドとの提案の一本化に向け努力したい旨発言した。
     
  2. 非公式作業グループ
     
     なお、午後には、第4条1項の約束(途上国を含む既存の義務)の履行の推進に関する議定書案文を整理するための非公式作業グループと、「枠組み文書」の第1章(前文及び定義)、第6章(組織及び手続)及び第7章(最終条項)の部分について整理をするための非公式作業グループ(議長:我が国柴田公使)が開かれ、条文の整理作業が行われた。
     
  3. 国際環境NGOと日本政府代表団との意見交換
     
     昼休みの時間を用い、国際環境NGOと日本政府代表団との懇談の機会が持たれ、NGO側から、我が国の目標達成の見込み、EU提案に対する我が国の考え方等について質問があった。(概要は参考のとおり。)

(参考)

気候変動行動計画(CAN:国際的なNGOのネットワーク)との意見交換


 3月5日午後、日本政府代表団は、CANと非公式の意見交換を行った。(日本政府側は、田邊地球環境大使、外務省古屋審議官、環境庁浜中地球環境部長、通商産業省石海審議官他が出席。)
 その主なやりとりは、以下のとおりである。(文責:環境庁)

NGOからの質問 日本政府代表団からの回答
日本が法的拘束力のある措置に反対するのではないかとの噂があるがどうか。 日本が法的拘束力のある措置に反対することはあり得ない。
日本の国としての目標は、いつまでにどのレベルにすることとしているのか。 1990年に策定した温暖化防止行動計画に基づき、2000年CO2安定化に向けて努力しているが、これまでのCO2排出量の推移から見て達成が容易でないので、対策を強化することとし、国民的運動の推進や再生可能エネルギーの導入促進のための新規立法などの措置をとりつつある。
EUは2000年に15%削減を提案する決定をしたが、2005年の目標を設定しなかった。日本はいつ、どのような目標を決めるつもりか。 日本が目標を決定すれば、他国に対し多大な影響を及ぼすことになるので、その時期、内容については今は言えない。適切な時期に公表する方針である。
日本はどのような目標を決めるつもりか。 抑制及び相当の削減(limitation and significant overall reduction)を図りたい。
日本はどのタイミングで具体的な数値目標案を公表するのが適当と考えているのか。 幾つかの節目が考えられるが、外交上の問題でもあり、答えられない。
EUの例を適用しようとするのであれば、日本は韓国とバブルとなり、安定化すら達成する見込みのない韓国を含めて、この2国で15%削減することを検討してはどうか。 まずQELROSを差異化したものとすることが先決であり、仮定に基づく議論をするのは時期尚早。
NGOからの質問 日本政府代表団からの回答
米国提案に対する日本の評価如何。 米国提案についてはなお不明な点もあり、詳細に検討・評価作業中である。
排出の借入を含め、柔軟性には制限があってしかるべきと考えるがどうか。 本来の目的を損ねない範囲でできる限り柔軟性を確保することが重要と考える。
QELROSに関し、EUの15%という目標をどう考えるか。 今その評価について検討中であるため、直ちにコメンとすることはできない。いずれにせよ、技術的には可能としても大変難しいものである。
EUと米国の政策措置に関する見解如何。 日本の提案は、EUと米国の提案の間をいくものであり、両者の妥協を模索するもの。
中長期的な方向性について、産業界へ明確なメッセージを示すべきではないか。 3月に国際戦略世界会議を開催する予定であり、早期の行動が必要と考えている。
また、日本提案の前文や地球再生計画にも記されているように、長期的な取組を進めていくことが重要と考えている。
連絡先
環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課
課 長:小林   光(6740)
 温暖化国際対策推進室
 補 佐:西田 主税(6758)
 担 当:奥山 祐矢(6738)