報道発表資料

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1997年03月06日

地方分権委員会の環境庁ヒアリングについて

本日、第111回地方分権推進委員会・第45回地域づくり部会・第40回くらしづくり部会・第6回地方行政体制検討グループ合同会議が開催され「必置規制及び地方出先機関について」の意見聴取が行われ、当庁では別紙資料により説明を行った。
 なお、当庁提出資料及び会議の概要については、地方分権推進委員会からも公表されている。     
○必置規制について
都道府県環境審議会について

1.概 要
 
{1} 設置根拠
 環境基本法(平成5年法律第91号)第43条に基づき全都道府県に設置されている。
 
{2} 構 成
 都道府県環境審議会の組織及び運営に必要な事項は、条例で定めることとされている(環境基本法第43条第2項)。
9割強の都道府県環境審議会において、企画関係、大気関係、水質関係、廃棄物関係等調査審議事項ごとの部会、専門委員会等が設置されている。
 
委員数は平均33人。
県議会議員、医学・工学・化学・法学・経済学等の学者、地元産業界、住民団体・環境NGO、国の地方支分部局の長等で構成されている。
 
{3} 所掌事務
環境基本法に基づく所掌事務(環境基本法第43条第1項)
都道府県の区域における環境の保全に関する基本的事項の調査審議等(例えば、環境基本条例の策定、環境基本計画の策定、環境影響評価制度の在り方、県の環境の現状と 課題等)
 
その他の法定審議事項
各法律に基づき、都道府県知事は以下の場合に審議会の意見を聴くこととされている。
指定ばい煙総量削減計画の策定・変更(大気汚染防止法第5条の3第2項、第7項)
 指定地域の特定工場等から排出される硫黄酸化物及び窒素酸化物の総量の削減目標量、達成方途等を定める計画の策定・変更
 
公害防止事業に係る費用負担計画の策定・変更(公害防止事業費事業者負担法第6条第1項、第8条)
 知事が公害防止事業を実施するときの事業の種類・事業費の額、費用を負担させる事業者を定める基準等を定める計画の策定・変更
 
産業廃棄物処理計画の策定(廃棄物の処理及び清掃に関する法律第11条第3項) 
  産業廃棄物の処理に関し、その発生量及び処理量の見込み、その適正な処理に関する基本的事項等について定める計画の策定
 
農用地土壌汚染対策地域の指定等(農用地の土壌の汚染防止等に関する法律第3条第3項等)
 人の健康を損なうおそれがある農作物が生産され又は農作物の育成が阻害されると認められれる地域等の指定・解除等
 
水質保全計画の策定・変更(特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法第5条第7項、第12項)
 指定水域の水質の保全に関し実施すべき施策に関する計画の策定・変更
 
{4} 開催状況(部会、専門委員会等の開催実績を含む。)
全都道府県での一年間延べ開催実績は、約320回。(一都道府県当たり平均年7回)
 
 
2.必置規制の在り方についての見解
 
(1) 地域の環境行政においては、法律に基づき行うこととされている事務のほか、環境の保全に関する条例の制定等、地域の自然的社会的条件に応じた独自の施策が推進されている。
 
   これらの施策は、人の生命、健康にかかわり、また、施策の実施に当たっては、住民、企業、行政等多くの関係者に関連する。このため、幅広い分野の学識経験者の意見を聴き十分な科学的知見に基づいて策定、実施される必要があるほか、直接、間接に私権の制限を伴うことがあることから、地域社会全体の合意を得るには、中立・客観的立場にある審議会での公正・透明な手続きを経ることが不可欠である。
 
(2) 特に、地球温暖化、廃棄物の増大、都市生活型公害等の今日の環境問題への対処に当たっては、
  {1} これらの問題は加害・被害の構造が単純ではなく、企業、住民等の生活・行動様式や地域社会の在り方までにかかわる問題であるため、施策の実施に当たっても、汚染原因者に義務・負担を課すという比較的単純な対応ではなく、地域住民等地域全体にわたって負担を求める必要が生ずることがあり得ること、
  {2} 環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の形成に向けては、行政、事業者、住民等の幅広い参加と協力を得る必要があること、
  {3} 近年の大きな問題である有害化学物質による大気汚染や水質汚濁等による被害のリスクの問題等については、対策の立案に当たり極めて高度な専門的科学的知見に基づいた調査審議が必要となること、
   から、幅広い分野の学識経験者の参加の下に施策の在り方を調査審議し、地域住民等より幅広い関係者の参加を得て合理的な施策を選択していく必要性が、従来にも増して高まっている。
 
(3) このため、都道府県環境審議会については、合理的な政策形成と社会的合意の確保のため、必置の審議会として継続する必要がある。
 
(4) なお、都道府県環境審議会は、(旧)公害対策基本法制定時には任意の設置とされていたが、昭和45年のいわゆる公害国会において各種法律が整備され、農用地土壌汚染対策地域の指定等の法定審議事項が定められたことに伴って必置の審議会とされたものであり、この事情は今日においても変わっていない。
 
3.これまでの必置規制の整理合理化の実績
 
  昭和60年に、都道府県水質審議会を都道府県環境審議会に統合。



都道府県自然環境保全審議会について

1. 概要
 
{1} 設置根拠
自然環境保全法(昭和47年法律第85号)第51条に基づき全都道府県に設置されている。
 
{2} 構成
自然環境保全審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、都道府県の条例で定められるが、すべての都道府県で調査審議事項毎に部会が設置されている。例としては、都道府県の自然環境保全地域や自然公園関係の部会、鳥獣保護関係の部会、温泉関係の部会がある。
 
委員数は平均すると約34人。生態学、造園学、植物学、動物学等自然環境の保全に関し学識経験のある者等が任命されている。
 
{3} 所掌事務
ア. 法定審議事項
{1}鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律
  鳥獣保護事業計画の策定、狩猟鳥獣の捕獲等の制限、鳥獣保護区の指定
{2}温泉法
  温泉掘削許可、温泉採取の制限命令等
 
イ. 都道府県知事の諮問に応じ、当該都道府県における自然環境の保全に関する重要事項の調査審議
 例としては、都道府県自然環境保全地域や都道府県立自然公園の指定等に係る審議。
{4} 開催実績
 全都道府県で一年間延べ開催回数は約220回。
 一都道府県あたりの一年間開催回数の平均は、約5回。
 
2. 必置規制の在り方についての見解
 
 自然環境保全においては、国レベルだけでなく都道府県の地域レベルでの取組みも重要であり、様々な施策が推進されている。
 これらは、国レベルと同様に、生物学等自然科学的知見に基づき推進されるとともに、多くの関係者にかかわる問題であるため、幅広い分野の学識経験者等の意見を聞き、中立的立場から審議が行われる必要がある。また、直接、間接に私権の制限を伴うことも多々あること等から社会的合意を得て政策決定を行っていくためには、公正、中立、客観的立場にある学識経験者による審議が必要。
 
 近年の自然環境の保全と自然とのふれあいに関する国民の要請の高まりを踏まえた自然環境保全に係る新たな総合的な施策展開が求められているところ。また、鳥獣保護法、温泉法等の法令により属せしめられた審議事項について今後も審議が予定されている。
 このように本審議会の果たす役割は、今後の自然環境保全にとって不可欠であり、引き続き設置を義務付ける必要がある。
 
 なお、本審議会は、専門性の高い事項等を調査審議することとしており、他の審議会と審議事項等について重複はない。
 
3. これまでの必置規制の整理合理化の実績
 
 平成4年に都道府県温泉審議会を本審議会に統合し、整理合理化を図ってきている。
 


 

総量削減計画策定協議会について
 
1. 概要
  {1} 設置根拠
     「自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」(平成4年法律第70号。以下「自動車NOx法」という。)第8条の規定に基づき、同法の特定地域をその区域の全部又は一部とする各都府県(現在、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府及び兵庫県)において設置されている。
 
  {2} 構成
     都道府県知事、都府県公安委員会、関係市町村(特別区を含む。)、関係地方行政機関及び関係道路管理者(自動車NOx法第8条)
   
 地方行政機関には、地方農政局、地方通商産業局、地方運輸局、地方郵政局及び地方建設局がある。
 関係道路管理者には、日本道路公団、首都高速道路公団及び阪神高速道路公団がある。
 
  {3} 所掌事務
     総量削減計画の策定又は変更に当たって、計画に定められるべき事項についての調査審議(自動車NOx法第8条)
 
   
 (参考)総量削減計画に定められるべき主な事項は以下のとおり
地域の自動車から排出される窒素酸化物(NOx)の総量の削減目標量及び達成期間
特別の自動車排出ガス規制の実施、低公害車の普及促進、物流対策、人流対策、交通流対策等の自動車NOxの総量の削減に有効と考えられる施策すべて
  
  {4} 開催実績
 
     総量削減計画は、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県の6都府県で各都府県知事により平成5年12月までに策定されているが、これを定める際の総量削減計画策定協議会の開催実績は、6都府県で協議会延べ11回、幹事会18回である。
 
2. 必置規制の在り方についての見解
 
  {1} 自動車NOx法制定の背景
 
     窒素酸化物(NOx)による大気汚染は大都市地域を中心として深刻な状況にあり、平成2年度においては、現在自動車NOx法の特定地域となっている地域内の自動車排出ガス測定局中の約7割で二酸化窒素(NO2)に係る環境基準を超過している状況であった。そして、例えば、東京都ではNOx排出量のうち約7割が自動車からのものであった。
 国としてはそれまで世界的にも厳しいレベルの自動車排出ガス規制を実施してきていたが、その効果は自動車交通量の増大等により打ち消されており、大都市地域のNOx汚染の解決のためには、従来の対策だけでは不十分であった。

 このため、大都市地域における窒素酸化物対策の総合的推進のため、平成4年6月に自動車NOx法が制定された。同法においては、国が閣議決定した総量削減基本方針(平成5年2月)に基づき、各都府県の知事が策定した総量削減計画(平成5年12月策定)の下、国及び地方公共団体が相協力しながら、各種施策を総合的に推進することとされている。
 
  {2} 総量削減計画策定協議会の役割
 
     総量削減計画には、自動車NOxの総量削減に有効と考えられる施策をすべて盛り込むこととされており、計画策定主体である都道府県知事の所管する施策・事業のみならず、都府県公安委員会、市町村(特別区を含む。)、関係地方行政機関及び関係道路管理者の広範多岐にわたる関係者の施策・事業も多く含まれるものとなっている。

 したがって、これらの関係者が一体となって各種の施策・事業を有機的・効果的に推進していくためには、各施策の実施主体が総量削減計画の策定・変更に主体的に参画し、実効ある削減目標及び各種施策・事業の取りまとめを行う必要がある。
 総量削減計画策定協議会は、こうした広範多岐にわたる関係者が、総量削減計画の策定に主体的に参画し、実質的な合意を形成するための場として設けられたものである。
 
  {3} 総量削減計画策定協議会の必要性
 
     各都道府県の総量削減計画においては、施策の進捗状況に応じて、必要な場合には計画の見直しを行うこととされており、また、自動車から排出されるNOxによる大気汚染は依然として深刻な状況にあるため、計画の見直しを行う場合に、幅広い関係者の参画の下に、実効ある削減目標及び各種施策の見直し・取りまとめを行うための機関として、総量削減計画策定協議会は今後とも必要不可欠である。
 


 

公害健康被害認定審査会について

1.  概要
{1} 設置根拠
 公害健康被害の補償等に関する法律(昭和48年法律第111号)第44条
 第44条 この法律によりその権限に属させられた事項を行なわせるため、第一種地域 又は第二種地域の全部又は一部をその区域に含む都道府県又は第4条第3項の政令で定める市に、公害健康被害認定審査会を置く。
 
{2} 構成
 医学、法律学その他公害に係る健康被害の補償に関し学識経験を有する者のうちから、都道府県知事又は政令で定める市の長が任命する15人以内の委員をもって組織することとしている。
 これは、本審査会に属させられた事項である公害健康被害の認定及び補償給付の支給についての意見を述べるに当たっては、医学、法律学等の専門的知見が必要であるからである。
 
{3} 所掌事務
 公害健康被害の認定及び補償給付の支給について都道府県知事等に対する意見を述べること。
 
{4} 開催実績
 本審査会を設置している都府県等における一年間の平均開催回数は、約16回である。
 
2. 必置規制の在り方についての見解
 
 公害健康被害の認定及び補償給付の支給は、個々の公害健康被害者の権利・利益に関する処分であり、公害健康被害の補償に関し学識経験を有する医学、法律学等の専門家の合議による判断を聴いた上で、適切に行う必要のあるものである。
 本審査会は、このような公害により被った人の生命、健康に関する損害を填補するための処分に係る審査を行うものであり、当該処分を行う地方公共団体に設置を義務付けることが必要である。

連絡先
環境庁長官官房総務課
課長:田中 正章(内6130)
 補佐:清水 康弘(内6131)
 係長:大森 恵子(内6137)