報道発表資料

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1997年03月06日

「リオプラス5プロセスへの日本報告書」について

「持続可能な開発のための日本評議会」(議長:石弘之東京大学大学院教授、根上卓也(株)神戸製鋼所特別顧問、安原正(財)環境情報普及センター顧問)は、「リオプラス5プロセスへの日本報告書」を作成し、公表した。この報告書は、国際的NGOであるアースカウンシルが、地球サミットから5年の節目を契機として、民間の立場から持続可能な開発への取組状況を検討するために進めている「リオプラス5プロセス」の作業のための情報として、各国の国民評議会に提出を要請しているものである。
 なお、リオプラス5プロセスの成果を取りまとめるため、3月13日から19日まで、リオ・デ・ジャネイロ(ブラジル)で、リオプラス5フォーラムが開催される。                         

1.アースカウンシルとリオプラス5プロセスについて
 
 アースカウンシル(本部:コスタリカ)は、地球サミットの事務局長を務めたモーリス・ストロング氏が議長となって活動している国際NGOであり、持続可能な開発を進めるための活動を行っている。その一つとして、各国に持続可能な開発に取り組む関係者間の対話を進めるための国民評議会の設置を働きかけており、これまでG7各国を始め40以上の国で国民評議会が設置されている。
 アースカウンシルは、地球サミットから5年目の節目に、民間の立場から持続可能な開発への取組状況を検討するため「リオプラス5プロセス」作業を進めている。これは、各国の国民評議会をはじめ持続可能な開発に関わる市民や企業などの参加を得て、持続可能な開発への取組状況の評価、持続可能な開発を実現するための「成功した取組」や「価値基準」の整理、国レベルや地域レベルで持続可能な開発を実現するための提言の作成などを行うものである。
 リオプラス5プロセスの成果を取りまとめるため、3月13日から19日まで、リオ・デ・ジャネイロ(ブラジル)で、リオプラス5フォーラムが開催される。この会議には、各国の国民評議会、中央及び地方政府、市民組織、青年・女性・先住民組織、産業界、国際援助機関等から約500人が参加し、様々な項目についての議論が行われる。会議の成果は、国連持続可能な開発委員会(CSD)や国連環境特別総会にインプットされる。
 
2.「リオプラス5プロセスへの日本報告書」について
 
 アースカウンシルは、各国の国民評議会に対して、リオプラス5プロセス作業に活用するため、各国の国民評議会に報告書の提出を要請している。持続可能な開発のための日本評議会(参考参照)では、昨年来、この報告書の作成作業を行ってきた。 報告書は、主に、「持続可能な開発のための最重要課題/優先分野」と「成功した取り組み」の2つからなっている。「持続可能な開発のための最重要課題/優先分野」としては、「生産・消費・廃棄パターン」、「地球温暖化防止」、「国際環境協力」等の7分野が選定されている。「成功した取り組み」については、地球サミット以後の各セクターの取り組みとして多くの事例が紹介されている。
 さらに、「総括」において、報告書は、地球サミット以降、様々な主体により持続可能な開発へ向けた新たな取り組みが始まっており、環境保全の新しい時代に入ったといえるが、これらの取り組みが根付いていくかどうかは、なお確実でないとしている。そして、日本の全ての主体に一層の努力が求められており、そのためには、普及啓発、市場メカニズムや情報システムの整備、様々な主体の間のパートナーシップ、NGO活動の広がりが重要であるとしている。
 



(参 考)
 

「持続可能な開発のための日本評議会」について

 
評議会の設置
 平成8年6月20日に「持続可能な開発のための日本評議会」が発足した。同評議会は、持続可能な開発に関して、政府、産業界、非営利組織等我が国社会の主たる構成メンバー相互の対話等を進め、もってその実現に寄与することを目的としている。
 
評議会の組織
 評議会は、持続可能な開発に関係する政府、産業界、非営利組織等によって自発的に設置されるものである。評議会の中心は、評議員会であり、評議員は政府、産業界、非営利組織の3つのセクターから、それぞれ約10名程度選出される。
 
事業内容
 評議会は、持続可能な開発の実施に関し、政府、産業界、非営利組織の間の対話を進めるための場であり、コンセンサスをもって対外的に意志表示を行うことができる。当面、本年6月に予定されている地球サミットのフォローアップのための国連特別総会等にインプットするための議論を行っている。
 
背 景
 1992年の地球サミットで採択された「アジェンダ21」では、地球環境を保全するという国際的な課題に応えていくためには、政府が努力するだけでなく、産業界、非政府組織(NGO)等社会の主たるメンバーの全て、ひいては国民一人ひとりが解決に向けた取組に参加していく必要があることが示されており、このためには、社会の主たる構成メンバーによる対話と合意の形成というプロセスが必要であり、各国は、その実施に関する国レベルの調整メカニズムの設立を検討する旨規定されている。 また、一昨年1月には内閣総理大臣の私的懇話会である「21世紀地球環境懇話会」が、「主要なグループ間、あるいはそれらのグループと政府との間に積極的な対話の場を提供し、その間に責任あるパートナーシップが確立されるよう、様々な主体が参加する「地球環境国民会議」を設立すべきである。」との提言を行っている。
 
 
 
 「持続可能な開発のための日本評議会」評議員名簿政府部門

大熊 健司  科学技術庁長官官房審議官(研究開発局担当)
浜中 裕徳 ○ 環境庁企画調整局地球環境部長
古屋 昭彦 ○ 外務省総合外交政策局国際社会協力部審議官
中西 釦冶  文部省大臣官房審議官(学術国際局担当)
坂本 弘道  厚生省生活衛生局水道環境部長
小畑 勝裕  農林水産省大臣官房審議官(環境兼経済局担当)
石海 行雄 ○ 通商産業省環境立地局審議官(地球環境問題担当)
小幡 政人  運輸省運輸政策局次長
木村 誠之  建設省大臣官房審議官(建設経済担当)産業界部門 
根上 卓也 ◎(株)神戸製鋼所特別顧問
大久保宣夫	 日産自動車(株)取締役
小笠原康正  (株)テーオー小笠原専務取締役
加納 時男  東京電力(株)常務取締役
川口 順子  サントリー(株)常務取締役
諸戸 孝明 ○ 伊藤忠商事(株)審議役
北村 必勝 ○ 安田火災海上保険(株)理事・地球環境室長
太田  元 ○ (社)経済団体連合会産業本部長
山田 俊男  全国農業協同組合中央会常務理事非営利組織部門
岩崎 駿介 ○ 市民フォーラム2001共同代表
須田 春海 ○ 市民運動全国センター代表
伊藤 道雄  NGO活動推進センター常務理事
矢花 公平  日弁連NPO制度検討協議会委員長
岡島 成行  環境ジャーナリストの会会長
熊崎 清子  日本労働組合総連合会副事務局長
日和佐信子 ○ 日本生活協同組合連合会組織推進本部長補佐
岸本 聡子  A SEED JAPAN 代表
羽倉 信也  (財)世界自然保護基金日本委員会会長

その他部門
  安原  正 ◎ (財)環境情報普及センター顧問
  石  弘之 ◎ 東京大学大学院教授
  末吉 興一  北九州市長

 ◎は議長 ○は幹事

(持続可能な開発のための日本評議会顧問)
  清木 克男  (財)地球産業文化研究所専務理事
  小林  料  東京電力(株)顧問
  波多野敬雄  (財)フォーリン・プレスセンター理事長
連絡先
環境庁企画調整局地球環境部企画課
課   長 岡澤 和好(内6731)
課長補佐 小川 晃範(内6734)