報道発表資料

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2002年07月05日
  • 保健対策

「生態系保全のための化学物質の審査・規制の導入について」(生態系保全等に係る化学物質審査規制検討会報告書)に係る意見募集の結果について

化学物質の審査・規制に生態系保全の観点を導入することについて取りまとめた「生態系保全等に係る化学物質審査規制検討会」(座長:中杉修身・独立行政法人国立環境研究所化学物質環境リスク研究センター長)の報告書「生態系保全のための化学物質の審査・規制の導入について」に対して、平成14年3月29日から5月13日まで広く国民の皆様からの御意見を募集し、今般、その結果の概要を取りまとめました。
 御意見の多くは制度導入を支持するものであり、具体的な進め方について様々な御提案をいただいています。
 環境省では寄せられた御意見等を参考に、生態系保全のための化学物質の審査・規制制度を導入するための検討をさらに進めていきます。
  1. 意見募集要領
     
    (1) 意見募集対象 「生態系保全のための化学物質の審査・規制の導入について」(生態系保全等に係る化学物質審査規制検討会報告書)(以下、「検討会報告書」という。)
    (2) 意見募集期間 平成14年3月29日(金)~5月13日(月)
    (3) 告 知 方 法 環境省ホームページ、記者発表
    (4) 意見提出方法 郵送、ファクシミリ、電子メールのいずれか
     
      
  2. 受付意見数及び受付意見の概要
     
    (1) 受付意見数
    意見受付件数56件(延べ意見数251件)
    56件の内訳 会社員・会社役員  14(うち化学関連 5)
    事業者団体(化学)   2
    NGO(消費者団体等)  10
    その他  30
     
    (2) 受付意見の概要
     お寄せいただいた御意見を取りまとめたものを別紙に示すとともに、御意見の原文を項目ごとに区分して環境省ホームページ(URL:https://www.env.go.jp/info/iken/result/h140513a.pdf)に掲載しました。御意見の概要は以下のとおりです。
     
    [1] 生態系保全のための化学物質の審査・規制の導入の必要性について
     生態系保全のための化学物質の審査・規制制度の導入に賛成する意見が多く寄せられました。導入に当たっては、既存の規制体系にはとらわれずに制度設計を行うべきとの意見が散見されました。
     具体的に生態影響が懸念される物質としては、トリブチルスズ化合物やホルムアルデヒドなどが挙げられました。
    [2] 生態系保全に係る審査・規制スキームについて考慮すべき事項について
     幅広い物質を対象とすべきとの意見が多かった一方で、取扱量や用途に応じてリスク評価に基づく合理的な規制を望む声が多く寄せられました。
     良分解性物質を対象とすることについては賛成意見が多かった一方で、分解生成物を対象とすべきかどうかについては、賛否両論に分かれました。
    [3] 生態影響に関する試験と審査の在り方について
     水生生物(藻類、ミジンコ、魚類)の急性毒性試験のセットを基本とし、水生生物以外の生物に係る試験等も追加的に要求できるようにすべきとの意見が数多く寄せられました。
    [4] 生態影響試験を求める化学物質の範囲について
     届出を要する量の裾切りについて、現行どおり1トン以上とするべきという意見と、10トン以上に引き上げるべきとする意見がありました。
    [5] 構造活性相関の活用の可能性について
     構造活性相関の活用の是非については賛否両論でしたが、米国での活用の背景には再審査制度や審査後も新たなデータの提出義務があることに留意すべきとの意見がありました。
    [6] 既存化学物質の対策について
     既存化学物質については、いずれも試験・審査を推進すべきとの意見でした。
    [7] 審査・規制スキームの見直しについて
     化学物質の審査・規制の考え方についての様々な意見が出され、リスク評価の考え方を採り入れることや、審査終了後に再審査できるような制度とすべきとの意見がありました。
    [8] 安全性評価の透明性の確保等について
     審議の透明性を確保するため、届出者と行政サイドとの議論の機会を望む意見などが寄せられました。
    [9] 分類と表示について
     GHS(化学物質の分類と表示の世界的調和システム)を踏まえ、分類と表示について抜本的な見直しを図るべきとの意見が出されました。
    [10] 情報公開について
     毒性情報や審議過程の公表を含め、情報公開を推進すべきとの意見が多く寄せられましたが、営業秘密の観点からの配慮を求める意見もありました。
    [11] その他
     化学物質管理関連法規の整理統合を求める意見や予防原則にのっとった対策を望む意見をはじめ、様々な意見が寄せられました。
     また、一般的に動物実験の実施に反対する意見が多く寄せられました。さらに検討会報告書の記述ぶりについての具体的な意見も数多く出されました。
     
     
  3. 今後の進め方について
     
     環境省では、生態系保全のための化学物質の審査・規制制度を導入するため、検討会報告書及び今回お寄せいただいた御意見を参考に、関係省庁とも調整しつつ、化学物質審査規制法の改正を視野に入れた検討を更に進めていきます。

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境保健部環境保健企画管理課化学物質審査室
室長:早水、補佐:新田、担当:久保
 TEL:03-5521-8253 fax:03-3581-3370
 e-mail:chem@env.go.jp

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