報道発表資料
AGBM第6回会合では、現地(ボン)3月4日(火)、午前中、議題3(a)の第4条2項(a)及び(b)の約束の強化に関する事項のうち、政策及び措置について討議が行われ、議定書案文に向けた条文整理の作業が進められた。
また、午後には、公式の討議を中断し、差異化目標に関する非公式のラウンドテーブルディスカッションが行われ、差異化目標についての諸提案について鳥瞰的なイメージが共有された上、差異化目標の是非はその実施手法の統合ができるか否かにかかっているとの認識が強まった。
また、午後には、公式の討議を中断し、差異化目標に関する非公式のラウンドテーブルディスカッションが行われ、差異化目標についての諸提案について鳥瞰的なイメージが共有された上、差異化目標の是非はその実施手法の統合ができるか否かにかかっているとの認識が強まった。
- 議題3(a)「第4条2項(a)及び(b)の約束の強化」のうち、政策及び措置について
冒頭、エストラーダ議長より、事務局が作成した2つの枠組み文書の中には、既に条文の形式をとっているものがある一方で記述的な提案もあり、これらは、条文化する必要があること、また、異なった提案は各提案内容に該当する項目に分類を行っていけばよいこと等の作業方針を示し、特に異論なく認められた。これを受けて、各国は、枠組み文書の中に記述されている提案の重複の整理を行った。
各国からの主な発言(提案の重複の整理に関する発言を除く)は参考1のとおりである。
我が国からは、温暖化防止のために各国が採択することとなる政策措置についての指標の例につき、その具体例を提示して説明した(参考2参照)。
また、この議題の最後に、オランダより、EU理事会において、2010年までにCO2、CH4、N20を合算した温室効果ガスの排出量を1990年比15%削減するよう提案することに合意したこと、今後さらによりよい排出割り当てを探り、その結果としての異なった削減率目標となることもあること、各国に対し具体的な提案を期待することなどを述べた。
- 差異化した排出抑制及び削減に関する数量目標に関する非公式会合について
冒頭、ノルウェーは、各国から提案されている差異化目標について、{1}差異化は、条約の規定にも含まれている概念であり、その必要性については、各国とも共通の認識を持っている、{2}差異化を行う際に幾通りかのアプローチがある、{3}アプローチの方法として、どの提案も何らかの指標(indicator)を用いている等の全体的分析が示された。我が国からは、差異化に関するアプローチに関するアプローチを3分類(選択方式、一つの公式によるもの、政治的折衝によるもの)して紹介し、それらのメリット、デメリットに着目した議論を進めるべき等の発言を行った。オーストラリアは、国別に差異化するとした場合に利用できる指標として何が各国から提唱されているかを整理して紹介した。
また、EUより、今回のEU理事会の結果に至るまでの経験として、指標や公式を用いて差異化目標を設定する方式はうまくいかず、政治的交渉によってEU域内の割り当てを詰めていく予定である旨説明があった。また、EU域内各国が一律の削減率目標を設定する場合には、EU域内の全体目標は、差異化目標を設定した場合より緩いものとなったであろうとの見解を示し、EU域内各国への排出枠配分の努力がEU全体の排出量を極力減らそうとする意図に出たものであることを述べた。
最後に、議長は、差異化の必要性は理解できるものの実行するとなると、アプローチの仕方については幾つかの分け方があり、その調整の方法について今後とも検討を進めていく必要がある旨の指摘をして、会議を締め括った。
- その他
なお、午後には、第4条1項の約束(途上国を含む既存の義務)の履行の推進に関する議定書案文を整理するための非公式作業グループが行われた。
参考1 政策措置に関する各国の主な発言
(提案の重複の整理に関する発言を除く)
国名 | 発言の概要 |
---|---|
サモア | 専門家やNGOからのより広い参加が必要であることに留意すべき。 |
オランダ (EU代表) |
取りまとめを行う上で、カテゴリー分けを考慮する必要があり、EU提案の附属書Bに関する提案は、コーディネートされなくともよく、また義務的でもないので柔軟性が非常に高い。 |
中国 | 全ての政策措置は、排出抑制及び削減に関する数量目的(QELROS)を達成するとの観点から行われるべき。 途上国への負の影響が考慮されるべき。 |
ロシア | 日本提案の政策措置に関する規定は、メニューの中で各国の裁量があり、共通の政策措置を実施することにもなる。また、幾つかの国で共通のプログラムを実施することもできる。現段階では適切な分析が必要。 |
カナダ | 自主協定を中心に共通の政策を措置する旨の提案を行う予定である。 (EUより、規制でないメカニズムであり、実施も義務的ではないことから、EU提案の附属書Bに入れることができるのではないかとの見解) |
タンザニア (G77代表) |
附属書[1]国と非附属書[1]国間の共同実施活動(AIJ)は政策措置ではないが、目標の達成のための措置であることに留意すべき。 |
米国 | 政策措置は必要ないという選択肢も議定書案に反映されるべき。 |
国名 | 発言の概要 | |||
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オランダ | EU提案に盛り込まれている政策措置は、200以上の政策措置の中から選んだものであり、他の提案に比べて最も進んでいる。特に、1 エネルギー効率基準、ラベリングその他の製品に関する措置、2 HFCやSF6に関する措置は、EU提案の政策措置の中でもプライオリティが高い。 QELROS達成のためには、各国間の競争力の問題もあり、議定書で共通の政策措置について合意することが必要である。
米国は、ベルリンマンデートを踏まえ、政策措置のプライオリティリストを提出すべき。 |
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中国 | 政策措置は不要という国があるが、これはベルリンマンデートの要求事項である。 大きな分類を行うべきであって、詳細な記述を行う必要はない(EUもこの意見に賛成。サウジアラビアは、バランスが必要との指摘。) |
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米国 | (コモンアクションスタディを引用しつつ、EU提案に関し、)政策措置の各国への適用方法は異なり、一つの基準では困難である。共通的な措置として提案されている航空燃料課税は、ほとんど二酸化炭素の削減効果がない。
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国名 | 発言の概要 |
---|---|
オランダ | 記述の多くは経済移行期諸国に関するものであり、その状況が考慮されるべきであることは理解できる。政策措置で差異化を行うことはせず、これらの国については、別の附属書などにすべき。 |
参考2 日本提案における政策措置と指標の具体例(環境庁仮訳)
(a) | エネルギー利用の効率化 |
・ | 自動車燃費効率の改善 [日本の場合、10.5モードの燃費効率] |
・ | 発電効率の改善 [平均発電効率(%)] |
・ | コージェネレーションの促進(燃料電池を含む) [kw] |
・ | 建築物の省エネルギーの促進 [施設数] |
・ | 公共交通機関の利用の促進 |
(b) | 炭素含有量が少ない、又は含まないエネルギーの導入 |
・ | 再生可能エネルギーの導入(例えば、太陽光発電[億kwh]や風力発電[石油換算kl][1次エネルギー供給率(%)]) |
(c) | 革新的な技術開発 |
・ | CO2固定化・有効利用/分離回収技術研究開発 |
・ | 二酸化炭素の排出の少ない又は二酸化炭素を排出しない自動車の研究開発 |
・ | 次世代都市用自動車の研究開発 |
(d) | 国際的な技術協力及び技術移転 |
・ | 共同実施活動(AIJ) [プロジェクトの数][支出総額] |
・ | 人的資源の開発への協力 |
・ | 調査協力及び研究協力 |
(e) | 吸収源及び貯蔵庫の保護及び強化 |
・ | 森林の持続可能な管理並びに植林及び森林の再生 [森林面積][蓄積の増加量] |
・ | 市街地における緑地の整備 [都市公園面積] |
- 連絡先
- 環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課
課 長:小林 光(6740)
温暖化国際対策推進室
補 佐:西田 主税(6758)
担 当:奥山 祐矢(6738)