報道発表資料

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1997年03月03日

気候変動枠組条約補助機関会合の状況

2月25日(火)から28日(金)にかけて、AGBM(ベルリン・マンデート・アドホックグループ)第6回会合に先立ち、条約の現行の約束の円滑な実施を担当する条約の補助機関会合がドイツ・ボンにて開催された。
 これら会合では、地球温暖化防止京都会議(COP3)の開催日程を12月1日(月)から10日(水)とし、その会期のほとんどをベルリンマンデート交渉に費やすこと、さらに、セッション最後の8日から10日の3日間は閣僚セグメントを行い、閣僚レベルでの政治決着を図ることが決定された。また、途上国において先進国の官民が直接に対策事業に参加して協力するという新しい仕組みである共同実施活動については、その実施状況の報告書の様式や手法的課題についての合意が得られるとともに、これまでの実質的な進捗の見られなかった技術移転についても途上国よりそのニーズが報告されるなどの成果が得られた。
 全体として、今次補助機関会合では、現行条約の実施体制の整備が進展するとともに、COP3に向けた手続的事項等の準備作業が着実に図られるところとなった点は評価できよう。               
1. 日時・場所
2月25日(火)~28日(金)
2月25日(火)~28日(金)
ドイツ・ボン
 
2. 我が国出席者
 環境庁、外務省、通産省、運輸省、農水省、科学技術庁等より約20名が参加。環境庁からは、鈴木温暖化国際対策推進室長他が出席。
 
3. 各会合の概要
(1) SBSTA(科学上及び技術上の助言に関する補助機関)第5回会合
 関係国際機関との協力、国別報告、技術開発と技術移転、共同実施活動に関する議論が行われた。
関係国際機関との協力では、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のボリーン議長より、2月のIPCCビューロー会合において、簡易気候モデル及び大気中温室効果ガス濃度の安定化に関する2つのテクニカル・ペーパーが承認されたことが報告された。
技術開発と技術移転では、中国等の途上国より、技術と技術情報のニーズに関する報告書が提出されるとともに、アムステルダム大学による技術ニーズに関する報告書が提出された。また、技術移転に関するSBI非公式ワークショップが開かれるなど、従来入り口論議に終始し、あまり進展の見られなかったこの分野については、今回セッションで内容面での意見表明が行われるなど、相当の進展が見られた。
共同実施活動については、共同実施活動の報告書の様式及び共同実施活動に係わる手法的課題のリストが合意され、承認されたことが大きな進展である。今後は、今回決定に沿い、事務局を中心として、共同実施活動の推進に向けた作業が進められることになる。
全体として、今次会合では予定されていた議事が全てこなされ、徐々にではあるが、議論は着実に進展した。特に、共同実施活動は、今回決定された報告書様式に基づき、その推進のための枠組みが整えられ、実施の段階に入りつつある。また、技術移転に関して、今回途上国側より技術移転のニーズが示されたことや、先進国側より、CTI(気候変動技術イニシアティブ)等を通じた積極的な支援の意向が示されたことは、今後の技術移転の進展への期待を高めるものとなった。
 
(2) SBI(条約実施に関する補助機関)第5回会合
 SBIは、条約締約国会議(COP)の諸決定の案を作成する重要な機関である。今回会合では、世銀等に置かれるGEF(地球環境ファシリティ)を暫定的資金メカニズムに指定する現行のメカニズムを見直す作業の開始手続、COP3の運営方法、先進国及び途上国からの通報実施形式、6月の国連特別総会へのAGBMからの報告、98年及び99年の予算等について討議された。
資金メカニズムについては、暫定的な資金メカニズムであるGEFの見直しのためのガイドラインを早急に作成すべきとする途上国と次回以降のSBIで慎重に行うべきとする先進国の意見が対立し、現在協議が継続中である。
COP3の運営については、12月1日(月)から10日(水)にかけて開催されることが決定された。なお、8日から10日にかけては、閣僚会合を開催し、事務的に積み残された論点について閣僚レベルの政治決着を図ることが決定された。
全体として、現行条約の実施体制の整備が着実に図られつつあるとともに、COP3開催に向けた制度的・手続的事項に関する準備作業が着実に進められつつある。
 
(3) AG13(条約第13条(紛争解決手続))第4回特別会合
 条約の履行確保に関わる、条約の解釈等に関する多国間協議手続(MCP)の基本的性格({1}簡潔な手続であること、{2}条約の実施を促進するものであること、{3}協調的なものであること、{4}対立的なものでないこと)について各国の共通認識が形成された。
 ただし、多国間協議手続の強度、すなわち、助言的なものとすべきか監督的なものとすべきかについては、各国の見解が分かれた。これら共通認識と見解の相違する論点を盛り込んだ枠組み文書が取りまとめられ、次回以降の補助機関会合で論点を中心に議論が継続されることとなった。
 全体としては、多国間協議手続のあり方の方向性が明らかとなり、今後の議論が論点を絞った形で行われることとなったことは評価できる。
連絡先
環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課
課長:小林 光  (6740)
補佐:西田 主税(6758)