報道発表資料

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1998年03月27日

「平成8年度の地方公共団体による地球環境保全等施策調査結果」の概要

環境庁は、平成8年度の都道府県、政令指定都市等における地球環境保全等施策の実施状況を調査し、このたび以下のとおり結果を取りまとめた。今回は平成2年度分の施策調査から通算して7回目の調査であり、報告のあった施策の総数は2,385件である。
 都道府県、政令指定都市における新規施策は317件と全体の16%を占め、前年度の24%には及ばないものの、地方公共団体において、地球環境保全施策が引き続き積極的に講じられている。また、施策の傾向については、地球温暖化防止対策が、施策全体に対して、前年度は37%を占めていたところ、平成8年度は新規施策171件を加えて急増し、41%を占めるなど、地球温暖化対策について、地方公共団体の環境施策の中でのプライオリティーが高まっていることが明らかとなり、特に、地方公共団体が自ら排出する温室効果ガスの排出抑制に関する率先垂範の取組や、地域の住民、事業者の取組のための情報提供などの施策の進展が見られる。
1.調査の趣旨・目的
 地方公共団体は、従来より、公害対策や自然環境保全など環境の保全に重要な役割を果たしてきたところであるが、近年は、地域の活動と地球環境との関わりが強く意識されるようになる中、地方公共団体において、地球環境保全の視点を盛り込んだ地域環境計画の策定やこれに基づく対策の実施、環境保全に関する国際協力の推進など新たな取組が広がっている。平成5年に成立した環境基本法や平成4年の地球サミットで採択されたアジェンダ21においても、住民に直結した地方公共団体が地球環境保全に果たす重要な役割について、明記されているところである。
 このように、地方公共団体が地球環境保全等に果たす役割がますます大きくなる中、本調査は、今後の地域における取組の一層の推進に資することを目的とし、平成8年度における地方公共団体の地球環境保全等に関する施策や事業を取りまとめ、各地方公共団体に提供するとともに公表するものである。なお、本年度調査は、平成2年度以降7回目の調査となる。

2.調査対象団体、調査方法等
 本調査は、都道府県(47団体)、政令指定都市(12団体)、県庁所在市(36団体)、特別区(23団体)及び越谷市を対象に、平成9年5月に調査を行ったものであり、それぞれの団体の地球環境保全等に係る施策を調査票により把握した。
 前回までの調査では、都道府県、政令指定都市のみを対象としていたが、今回調査においては、県庁所在市、特別区を加え、調査対象の充実を図っている。また、「地球温暖化対策地域推進計画」の策定団体の動向を把握するため、上記調査対象団体以外で唯一当該計画を策定している埼玉県越谷市も対象に加えることとした。
 なお、対象となる施策については、地球環境保全等を主目的の一つとしたものに限定し、また、調査方法も、各施策を、手法と対象との両面からの組み合わせにより把握する形(マトリックス表参照)として、地方公共団体における政策立案に直接役立てられるようにしている。
 一部団体からは、平成8年度施策に関連して、平成9年度以降に予定している施策をも含めて報告を受けたが、これらも参考の表等に収めるなど、できるだけ最新の状況が理解されるよう配慮した。

3.全般的動向
(1) 平成7年度に引き続き、地方公共団体における地球環境保全への取組は活発である。
今回の調査では、都道府県、政令指定都市、県庁所在市、特別区及び越谷市から、今後予定しているものも含め2,385件の地球環境保全に関する施策について報告があった。
 前回調査との比較のため、都道府県・政令指定都市だけに限ると、今年度は2,037件の報告があった。施策件数としては、前年度の報告件数である2,012件と比較して微増という結果となったが、前年度の施策の報告から「主目的が地球環境保全ではない」等の理由により292件の施策が削除されていることを考慮すると、都道府県、政令指定都市から317件の施策が新たに報告されたこととなる。これは、平成8年度の都道府県・政令指定都市の施策報告全体の16%に当たり、地球環境保全が地方公共団体の施策として積極的に取り入れられていることを示している。

(2) 施策の対象としては地球温暖化防止対策がもっとも多く、全体の約4割を占めており、次いでオゾン層保護対策、酸性雨対策が多い。この順位は前回調査同様であるが、昨年12月に開催された地球温暖化防止京都会議(COP3)の開催などを背景に、地球温暖化防止対策の全体に占める割合は前回の37%より4ポイントも高まっており、特に、「地球温暖化対策地域推進計画」策定団体について見ると、地球温暖化対策に関する施策の全体に占める割合が45%となる(非策定団体では37%)など、政策の力点の置かれ方にはっきりとした傾向が伺える。逆に、有害廃棄物の越境移動問題や砂漠化対策に関する施策は各1件の報告にとどまった。

(3) 施策の手法について見ると、住民や事業者への情報提供・普及啓発が最も多く、次いで地方公共団体の率先実行的事業が多い。他方、市民・事業者の行動の具体的規範となるようなルールづくりについては施策例が比較的少ない。これは、地球環境保全が地方公共団体の施策としては発展段階にあることを示しており、今後、市民・事業者の具体的義務についてのルールづくりや、これに対する支援・誘導策の実施等、より具体的な施策へと手法の転換が進むことが考えられる。

(4) 施策の対象と手法の組み合わせで見た場合、地球温暖化問題及びオゾン層破壊問題では、地方公共団体自らの活動から生じる環境負荷を直接削減する効果のある率先実行等の施策が多く見られる。一方、地域住民や事業者に起因する環境負荷については、住民や事業者に環境負荷を低減させるための対策を義務づけるものは少なく、奨励的な対策が中心となっている。さらに、地球温暖化問題及びオゾン層破壊問題以外では、調査・研究などが多い。

(5) 今年度調査から調査対象団体とした県庁所在市及び特別区では、活発に施策を展開している団体も見受けられるが、全体的には、1団体当たりの施策件数もそれぞれ5.1件、6.7件(調査対象全団体では20.0件)と少ない結果となった。
 施策の対象では地球温暖化防止対策が、また、手法においては、地方公共団体の事業、率先実行、情報提供及び普及啓発の占める割合が多く、これらの点では、調査対象団体全体の傾向と同様である。今後、地球環境保全の視点を取り入れた計画の策定が進むとともに、より体系的な地球環境保全施策の推進が図られることが期待される。

添付資料

連絡先
環境庁企画調整局地球環境部企画課
課 長 :柳下 正治(6731)
 担 当 :井上 和也(6735)

環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課
課 長 :小林 光  (6740)
 担 当 :渡邊 好二(6738)

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