報道発表資料

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2002年03月29日
  • 地球環境

「油汚染事故に関わる脆弱沿岸海域図」について

 環境省は、タンカー座礁等による大規模油流出事故時において、環境への影響を迅速に把握・評価し、的確な措置を講じ、被害を最小限とするために参考とすべき諸情報を「油汚染事故に関わる脆弱沿岸海域図」として取りまとめました。
 本海域図には、油流出事故等の発生時に環境保全の観点から特に保護すべき海岸や、油が漂着後に残留し、自然環境全般に多大な影響があると予想される海岸等の情報を数値化して、総合的に評価したものを掲載しています。
 本海域図は、環境省ホームページより閲覧可能となっており、また、海岸を有する都道府県・政令指定都市にCD-ROMとして近日中に送付する予定です。

  1. 油汚染に関わる脆弱沿岸海域図とは

     環境省は、大規模油流出事故への対応を目的とした「1990年の油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約(OPRC条約)」を受けて、1995年に閣議決定された「油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画」の円滑な推進を図るため、環境保全の観点から油汚染事故発生時に迅速かつ適切な対応を行う上で必要とされる海岸線の情報を、地方公共団体の協力により収集し評価を加え、「脆弱沿岸海域図」としてまとめました。

  2. 本海域図の内容について

     本海域図は、油流出事故発生時の対応に必要な基礎資料として、環境保全の観点から「地形に関する情報」、「生物の生息環境に関する情報」等を評価・数値化し、全国の海岸の脆弱度を5段階にランク付けしたものを地図上に示したものです。
     本海域図では、次のような要素に着目し、評価を行いました。
    「地形に関する情報」
     ○ 砂浜や岩場等の海岸の種類による油の海岸への浸透性や除去作業の難易度
     ○ 油の影響を受ける海岸の海底勾配による自然除去の容易さ
     ○ 陸上勾配による漂着した油の陸側への残留性
     ○ 河川水の流入による油の海岸への漂着に対する影響
     ○ 潮汐による油の海岸への漂着に対する影響
     ○ 海域の閉鎖性や海岸の入り組み度による滞留性

    「生物の生息環境に関する情報」
     ○ 干潟、藻場、塩性湿地、サンゴ礁の分布範囲及び主要種類
     ○ ラムサール条約等による指定地域

  3. 脆弱沿岸海域図の活用について

     油流出事故が発生した場合には、海上に油が漂流している段階で適切に処理及び回収することが第一ですが、流出油が海岸へ漂着することが予想される場合には、優先してオイルフェンスを展張する場所の設定等、防除のための作業計画を策定し効率的な防除活動を行う必要性があります。これらの防除作業計画の策定には、その地域の海岸の特性を把握しておくことが重要となります。
     また、油が海岸に漂着してしまった場合には、優先して油の除去作業を行う地域を設定する必要が生じることも予想され、この場合にも、その地域の海岸の状況把握が防除作業計画を策定する上で重要となります。
     本海域図は、油流出事故発生時における迅速かつ適切な判断を行うための基礎資料としての活用が期待されるとともに、各地方公共団体においては、平素からの油流出事故の発生に備えた情報収集の基礎資料となります。
     さらに、一般の方については、身近な海岸の環境状況についての理解を深めていただくために御活用下さい。
連絡先
環境省地球環境局(旧)環境保全対策課
課長:鈴木 克徳(6746)
補佐:牧谷 邦昭(6741)
係長:川島 雄一 (6746)