報道発表資料

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2002年03月25日
  • 地球環境

アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)第7回政府間会合の結果について

アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)第7回政府間会合が、3月21日、22日の両日、フィリッピン・マニラにおいて開催された。
 APNは、アジア太平洋地域における地球環境研究を支援するための政府間組織であり、今回会合においては、平成14年度における予算案の採択、APNが支援するプロジェクトの決定、APNの枠組みを定める文書の採択、APNの新しい活動についての討議などが行われた。
 なお、次回の第8回政府間会合は、ベトナムで開催される予定である。

1.APNについて

 世界的な協力が必要な地球環境研究の推進のため、各国政府は、世界を「南北アメリカ」、「欧州・アフリカ」及び「アジア太平洋」の3地域に分けて、地球環境研究の支援ネットワークを形成している。APNは、このアジア太平洋地域の組織であり、1996年に設立され、現在、21カ国が参加している。
 わが国は、その立ち上げ段階において事務局を務める(現在は、神戸のAPNセンターが事務局)とともに、現在に至るまで最大の支援国として中心的な役割を担ってきている。

2.会合の概要

(1) 開催日 
 平成14年3月21日、3月22日の2日間

(2) 開催場所 
 マニラ(フィリッピン)

(3) 参加者

  [1] アジア太平洋地域各国の政府代表
   オーストラリア、バングラディッシュ、カンボジア、中国、フィジー、インドネシア、日本、ラオス、マレーシア、モンゴル、ネパール、ニュージーランド、パキスタン、韓国、フィリッピン、スリランカ、タイ、米国、ベトナム(計19カ国)
 なお、わが国からは、木村環境省地球環境局研究調査室長、渡辺外務省総合外交政策局国際科学協力室事務官が出席した。
 
[2] 関係国際機関等
   地球変動に関する分析・研究・トレーニングのためのシステム(START)、南太平洋地域環境計画(SPREP)

3.主な結果

 ホスト国であるフィリッピン共和国政府を代表して、カバンタック環境・自然資源省次官から開会の挨拶が行われた。これに引き続き、議長にはペニャフィール氏(フィリッピン)、副議長にはチョウ氏(マレーシア)が選出され、議事が進められた。
 会合の主な結果は以下のとおりである。

(1)平成14年度予算案の採択
 平成14年度おいては、総額で約2億2300万円(対前年度8.7%減)で事業を実施するという予算案が採択された。このうち、わが国からの資金協力は、環境省及び兵庫県から1億7850万円(対前年度12.5%減)となっている(残りは米国からの資金協力)。なお、増加する申請プロジェクトに対応するため、またAPNに対する他の国のオーナーシップ意識を高めるため、他のメンバー国からの資金協力も含め資金源の多様化と資金の増大が必要との認識が一層高まってきており、資金面について議論するための特別委員会の設置が提起された。

(2)平成14年度支援プロジェクトの決定
 本会合の直前(3月18日~19日、於:マニラ)に開催された科学企画グループから推薦のあったプロジェクト(新規13課題(申請数78課題)、継続5課題)をAPNとして支援することが決定された。平成14年度から新たに支援することが合意されたプロジェクトは別紙のとおりである。

(3)APN枠組文書
 APNの位置づけ、役割、手続き等を政府間会合の合意文書として明確化・透明化するため、「APNの枠組(Framework of the Asia Pacific Network for Global Change Research)」が採択された。この枠組文書の採択は、資金協力も含めた各国のコミットメントの強化を検討するための基盤となることが期待される。

(4)新しいAPNの活動
 新たなAPNの活動として、[1]アジア太平洋環境イノベーション戦略プロジェクトとの連携、[2]植生回復ワークショップの開催、[3]APN年次報告書の刊行が決定された。
 [1]のアジア太平洋環境イノベーション戦略プロジェクトは、環境省がアジア太平洋諸国とともに、持続可能な開発に向けた革新的な環境戦略の立案・実施のための科学的基盤づくりとして本年度から実施しているものであり、APNとの連携により、その一層の推進が図られることとなる。また、[3]の年次報告の刊行により、APNの研究成果等が、政策決定者や一般市民により分かりやすく提供されることとなる。

(5)次回会合
 次回の政府間会合は、ベトナムで開催することが決定された。

添付資料

連絡先
環境省地球環境局総務課研究調査室
室 長: 木村祐二(内線6730)
 補 佐: 小野  洋(内線6731)