報道発表資料

この記事を印刷
1997年02月21日

保護増殖事業計画の策定及び国設鳥獣保護区特別保護地区の指定について

自然環境保全審議会野生生物部会が2月21日(金)午後2時から開催され、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)に基づく保護増殖事業計画の策定及び鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律に基づく国設大潟草原鳥獣保護区特別保護地区の指定(期間満了に伴う再指定)について答申がなされる予定である。

1.保護増殖事業計画の策定

 種の保存法に基づき、国内希少野生動植物種のうち、次の2種について、保護増殖事業計画を策定する。

(事業の区域) (計画策定者)
 (1) ヤンバルテナガコガネ 主として沖縄県北部の本種の分布域 環境庁長官、文部大臣及び農林水産大臣
 (2) ゴイシツバメシジミ 主として奈良県、熊本県及び宮崎県の本種の分布域 環境庁長官、文部大臣及び農林水産大臣

  ※今回の策定により、計16種の国内希少野生動植物種について保護増殖事業計画が策定されたことになる

2.国設大潟草原鳥獣保護区特別保護地区の指定

 昭和52年に設定された国設大潟草原鳥獣保護区(秋田県南秋田郡大潟村)が本年3月30日で存続期間の満了を迎えるため、本年3月31日より平成19年10月31日までを新たな存続期間として更新される予定であり、これに併せて、同鳥獣保護区内に指定されている特別保護地区を再指定する。

 (1) 位置・面積 大潟草原鳥獣保護区( 135ha)内の48ha
 (2) 存続期間 平成9年3月31日から平成19年10月31日まで(10年7ヶ月:大潟草原鳥獣保護区の存続期間と同じ)



 (参考)大潟草原鳥獣保護区の概要 八郎潟中央干拓地の西部に位置するヨシからなる草原で、一部は湖沼となっている。当該地に生息する鳥類は約70種であり、特にオオセッカ、コジュリン、オオジュリン、ホオアカ等の草原性鳥類の繁殖地として重要な地域である。春秋の渡りの時期にはシギ・チドリ類の渡来も多く、冬期にはカモ類も渡来している。

保護増殖事業計画を策定する種の概要
種名 策定者 目標 事業の区域 事業の内容(項目)
ヤンバルテナガコガネ 環境庁長官
文部大臣
農林水産大臣
 生息状況等の把握・モニタリングを行い、その結果等を踏まえ、生息環境の改善や密猟防止対策の強化等を図るとともに、人工繁殖技術の確立、人工繁殖、適切な方法での繁殖個体の再導入等を行うことにより本種が自然状態で安定的に存続できる状態になること 主として沖縄県北部の本種の分布域
1  生息状況等の把握・モニタリング
2  生息地における生息環境の維持・改善
3  人工繁殖及び個体の再導入
4  生息地における密猟の防止
5  普及啓発の推進
6  効果的な事業の推進のための連携の確保
ゴイシツバメシジミ 環境庁長官
文部大臣
農林水産大臣
 生息状況等の把握・モニタリングを行い、その結果等を踏まえ、生息環境の改善や密猟防止対策の強化等を図るとともに、人工繁殖技術の確立、人工繁殖、適切な方法での繁殖個体の再導入等を行うことにより本種が自然状態で安定的に存続できる状態になること 主として奈良県、熊本県及び宮崎県の本種の分布域
1  生息状況等の把握・モニタリング
2  生息地における生息環境の維持・改善
3  人工繁殖及び個体の再導入
4  生息地における密猟の防止
5  普及啓発の推進
6  効果的な事業の推進のための連携の確保
         既策定の保護増殖事業計画(括弧内は策定省庁)
          ・平成5年11月策定
           {1}アホウドリ(環境庁)
           {2}トキ(環境庁)
           {3}タンチョウ(環境庁、農林水産省、建設省)
           {4}シマフクロウ(環境庁、農林水産省)
 
          ・平成7年7月策定
           {1}ツシマヤマネコ(環境庁、農林水産省)
           {2}イリオモテヤマネコ(環境庁、農林水産省)
           {3}ミヤコタナゴ(環境庁、文部省、農林水産省、建設省)
           {4}キタダケソウ(環境庁)
 
          ・平成8年6月策定
           {1}イヌワシ(環境庁、農林水産省)
           {2}アベサンショウウオ(環境庁建設省)
           {3}イタセンパラ(環境庁、文部省、農林水産省、建設省)
           {4}ベッコウトンボ(環境庁、文部省、農林水産省)
           {5}レブンアツモリソウ(環境庁、農林水産省)
           {6}ハナシノブ(環境庁)
保護増殖事業計画を策定する種の概要
種名  生息状況等
ヤンバルテナガコガネ


 1983年に沖縄本島で発見された同島固有の日本最大の甲虫。  
  • 最近では、個体の確認記録は極めて少ない。
  • 沖縄本島北部のやんばる地方のみに生息する。
  • 産卵場所である樹洞がある大木の存在する原生的な森林に生息する。
  • 土地利用の変化等に伴い、生息環境の悪化や減少がみられる。
  • 生息地では、現在でも捕獲の跡が確認され、マニア等による捕獲や繁殖環境の破壊が本種の存続に支障を来すおそれがある。
ゴイシツバメシジミ


 1973年に初めて熊本県で発見されたシジミチョウ科に属するチョウの1種。
 羽の裏面が碁石模様であることから命名された。
  • 最近では、個体の確認記録は極めて少ない。
  • 奈良県、熊本県、宮崎県のごく限られた地域にのみ生息する。
  • 空中湿度の高い照葉樹林帯の原生的な森林に生息。
  • 幼虫は、生息地の大木に着生するイワタバコ科のシシンランのみを食べる。
  • 土地利用の変化等に伴い、生息環境の悪化や減少がみられる。
  • 生息地では、現在でも捕獲の跡が確認され、マニア等による捕獲が本種の存続に支障を来すおそれがある。
  • 食草であるシシンランも本種の飼育を目的としたマニアや野草愛好家に採取されている。
連絡先
環境庁自然保護局野生生物課
課    長  小林   光(6460)
 案件 1 担当 安田・長田(6465)
 案件 2 担当 渕上・関根(6463)