環境省は、1月28日開催の中央環境審議会環境保健部会化学物質評価専門委員会(鈴木継美委員長、東京大学名誉教授)での審議を経て、化学物質環境汚染実態調査をとりまとめた。調査は、化学物質環境安全性総点検調査、指定化学物質等検討調査、有機スズ化合物に関する環境調査及び非意図的生成化学物質汚染実態追跡調査からなり、調査結果の主な内容は以下のとおりである。
なお、調査結果の詳細については、平成13年度版「化学物質と環境」(通称「黒本」)として公表することとしている。
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化学物質による環境汚染の未然防止と汚染の早期発見及び適切な化学物質環境安全対策の立案に資するため、化学物質の環境残留性等の安全性について総点検を行ったものである。
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(1) |
化学物質環境調査 |
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水系・大気系の一般環境において、平成12年度は合計27物質(うち新規12物質)について環境残留性の調査を実施したところ、結果は次のとおりであった。なお、同年度を含むこれまでの調査の累計では、794物質について調査が行われ、そのうち333物質が一般環境から検出されたこととなる。 |
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[1] |
水系調査 |
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水系環境中に残留していると予測されるジオクチルスズ化合物等14物質(群)について、それぞれ残留が予測される媒体(水質・底質・魚類)を選び、全国56地点で調査を実施した。
その結果、4物質(群)が検出された。このうちヘキサブロモベンゼン(大気系調査と併せて評価)及びフタル酸ブチルベンジルについては、今後も環境調査等を行う必要がある。また、ジオクチルスズ化合物については、一定期間をおいて環境調査等を行う必要がある。 |
[2] |
大気系調査 |
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大気系環境中に残留していると予測される1,4-ジオキサン等14物質(群)について、全国22地点で調査を実施した。
その結果、14物質(群)すべてが検出された。このうち有機合成反応溶剤等の各種溶剤に広く使用されている1,4-ジオキサンについては、本調査における環境大気中の検出状況、これまでの環境水中の検出状況及びスクリーニング的に実施した文献調査の毒性情報により、発生源周辺を含めた詳細な環境調査を行い、あわせてリスク評価を行う必要がある。
また、α-メチルスチレン、2-エトキシエタノール等11物質については、今後、環境調査を行い、その推移を監視する必要がある。 |
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[注 |
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1,4-ジオキサンについては、環境リスク初期評価を実施する化学物質の候補として優先的に扱うこととしている。]
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(2) |
底質モニタリング(底質の経年監視) |
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環境中に残留する物質の底質中の濃度を経年監視する調査であり、平成12年度は化学物質審査規制法第一種特定化学物質を中心に、p,p'-DDT等20物質について全国17地点で調査を実施した。 |
[2] |
その結果、底質からは20物質すべてが検出された。
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(3) |
生物モニタリング(指標生物の経年監視) |
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生物を対象に、環境中に残留する物質の濃度を経年監視する調査であり、平成12年度は第一種特定化学物質を中心とする18物質について全国20地点の魚類8種、貝類2種、鳥類2種について調査を実施した。 |
[2] |
その結果、魚類からはPCB、p,p'-DDE等18物質すべて、貝類からはtrans-クロルデン、p,p'-DDE等11物質、鳥類からはβ-HCH、p,p'-DDE等8物質が検出された。これらの物質を中心に今後とも監視を継続することとする。
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