報道発表資料
環境庁は、全国の地方公共団体の報告に基づき、平成8年度の悪臭苦情、悪臭規制等の状況を取りまとめた。その概要は以下のとおりである。 | |
(1) | 悪臭苦情の状況 |
平成8年度の悪臭苦情の件数は11,942件で、平成7年度に比べて666件(5.9%)増加した。 苦情の発生源別内訳をみると、前年度に引き続き「サービス業・その他」が最も多く、次いで「畜産農業」、「個人住宅・アパート・寮」等の順になっており、依然として都市・生活型悪臭に対する苦情の割合が増加する傾向にある。 | |
(2) | 悪臭規制等の状況 |
悪臭防止法の規制地域を有する市区町村は、平成8年度末現在、全国の52.0%に当たる1,692市区町村(前年度比12市町村の増)であった。 これらの規制地域内において平成8年度には2,968件の立入検査が行われ、行政指導が4,676件、法に基づく改善勧告が6件(前年度7件)行われた。 | |
環境庁としては、今後とも、悪臭防止法に基づく悪臭防止対策の推進を図っていく。 |
- 調査の目的
本調査は、悪臭防止行政の一層の推進を図るため、環境庁が毎年度全国の都道府県、指定都市及び中核市を通じ、悪臭苦情の状況、悪臭防止法に基づく各種措置の施行状況等について調査を行い、その結果を取りまとめているものである。
- 調査結果
- (1)悪臭苦情の状況
- {1}苦情件数の推移
近年の悪臭に係る苦情件数は昭和47年度をピークに概ね減少傾向にあったが、最近は約一万件前後で推移しており、平成8年度は11,942件で、平成7年度に比べて666件(5.9%)増加した。(図1)
図1 悪臭苦情件数の推移
- {2}都道府県別の苦情件数
平成8年度の苦情件数を都道府県別にみると、苦情件数の多い都道府県は例年とほぼ同じで、東京都、愛知県、大阪府、埼玉県、神奈川県の順になっており、これら上位5都府県で、総苦情件数の3分の1以上を占めている。また、人口100万人当たりの苦情件数では、宮崎県の174件が最高で、全国平均の1.8倍であった。(表1)
また、苦情件数を平成7年度と比較すると、47都道府県中32都府県で増加しており、平成8年度の苦情件数の増加は概ね全国的なものであるといえる。(表2)
これに対し、苦情件数が減少したのは13道府県であった。
表1 都道府県別苦情件数(上位10都道府県) 順
位苦情件数 順
位人口100万人当たり
苦情件数都道府県 件数 都道府県 件数 1 東京都 1,147 1 宮崎県 174 2 愛知県 1,113 2 愛知県 164 3 大阪府 843 3 大分県 163 4 埼玉県 739 4 徳島県 161 5 神奈川県 640 5 三重県 147 6 千葉県 543 5 京都府 147 7 福岡県 523 7 沖縄県 142 8 兵庫県 422 8 鹿児島県 137 9 京都府 376 9 青森県 127 10 茨城県 334 10 高知県 113 全国計 11,942 全国平均 95 表2 都道府県別苦情件数の対前年度増減状況(単位:件) 都道府県名 H8 H7 H8-H7(%) 1 北海道 237 247 -10(-4.0%) 2 青森県 192 143 49(34.3%) 3 岩手県 130 119 11(9.2%) 4 宮城県 196 240 -44(-18.3%) 5 秋田県 94 68 26(38.2%) 6 山形県 110 110 0(0.0%) 7 福島県 136 132 4(3.0%) 8 茨城県 334 351 -17(-4.8%) 9 栃木県 186 163 23(14.1%) 10 群馬県 137 173 -36(-20.8%) 11 埼玉県 739 657 82(12.5%) 12 千葉県 543 502 41(8.2%) 13 東京都 1,147 1,115 32(2.9%) 14 神奈川県 640 689 -49(-7.1%) 15 新潟県 190 154 36(23.4%) 16 富山県 25 19 6(31.6%) 17 石川県 98 93 5(5.4%) 18 福井県 59 49 10(20.4%) 19 山梨県 85 60 25(41.7%) 20 長野県 184 209 -25(-12.0%) 21 岐阜県 177 158 19(12.0%) 22 静岡県 264 220 44(20.0%) 23 愛知県 1,113 1,070 43(4.0%) 24 三重県 271 252 19(7.5%) 25 滋賀県 110 129 -19(-14.7%) 26 京都府 376 324 52(16.0%) 27 大阪府 843 850 -7(-0.8%) 28 兵庫県 422 428 -6(-1.4%) 29 奈良県 135 125 10(8.0%) 30 和歌山県 88 83 5(6.0%) 31 鳥取県 38 34 4(11.8%) 32 島根県 72 52 20(38.5%) 33 岡山県 114 67 47(70.1%) 34 広島県 184 178 6(3.4%) 35 山口県 140 157 -17(-10.8%) 36 徳島県 135 79 56(70.9%) 37 香川県 111 94 17(18.1%) 38 愛媛県 165 126 39(31.0%) 39 高知県 93 96 -3(-3.1%) 40 福岡県 523 486 37(7.6%) 41 佐賀県 75 56 19(33.9%) 42 長崎県 68 68 0(0.0%) 43 熊本県 124 123 1(0.8%) 44 大分県 202 140 62(44.3%) 45 宮崎県 207 211 -4(-1.9%) 46 鹿児島県 246 188 58(30.9%) 47 沖縄県 184 189 -5(-2.6%) 合計 11,942 11,276 666(5.9%) - {3}発生源別の苦情件数
平成8年度の苦情件数を発生源別にみると、「サービス業・その他」が最も多く、3,248件で全体の27.2%を占め、第2位は「畜産農業」の1,885件(15.8%)、第3位は「個人住宅・アパート・寮」の1,680件(14.1%)であった。「サービス業・その他」、「個人住宅・アパート・寮」、「下水・用水」及び「ゴミ集積場」を加えた都市・生活型の悪臭苦情件数は5,799件で、全体の48.6%を占めている。(図2)前年度との比較では、「畜産農業」が0.4ポイントの減少となっているのに対し、「個人住宅・アパート・寮」は1.0ポイント増加、「サービス業・その他」は1.2ポイント増加しており、都市・生活型悪臭苦情件数の比率が高まっている(対前年度2.4ポイント増)。
図2 発生源別苦情件数の推移
- {4}規制対象とそれ以外の苦情件数の比較
平成8年度の総苦情件数11,942件のうち、悪臭防止法の規制対象となる規制地域内の工場・事業場に対するものは約半数の6,195件(51.9%)であり、規制地域外の工場・事業場に対する苦情(1,773件、14.8%)及び「一般住宅・アパート・寮」、「下水・用水」など非規制対象の発生源に対する苦情(3,974件、33.3%)が残り約半数を占めている。(表3)
表3 規制対象・非規制対象別苦情件数 発生源別 規制地域 内 外 工場・事業場に
対する苦情畜産農業 1,000 885 製造工場関係の計 2,424 411 サービス業・その他 2,771 477 小計
(%)6,195
(51.9%)1,773
(14.8%)非規制対象の
発生源に対す
る苦情移動発生源 19 1 建設作業 278 14 現場 下水・用水 719 120 ごみ集積場 29 2 住宅・寮等 1,438 243 不明 1,018 93 小計
(%)3,501
(29.3%)473
(4.0%)合計
(%)9,696
(81.2%)2,246
(18.8%)注)%は総苦情件数11,942件に対する割合。
- {1}苦情件数の推移
- (2)悪臭規制等の状況
- {1}規制地域の指定状況
悪臭防止法に基づく規制地域を有する市区町村は、平成8年度末現在、1,692市区町村(前年度末1,680市区町村)で、全国の市区町村数の52.0%に当たる。(表4)このうち、臭気指数に係る規制地域を有するのは1市(茨城県下館市)である。
表4 規制地域の指定状況 市区町村数 規制地域を有する
市区町村(%)市 668 621 (93.0) 区 23 23 (100.0) 町 1,993 922 (46.3) 村 571 126 (22.1) 計 3,255 1,692 (52.0) - {2}悪臭防止法に基づく規制措置等の状況
平成8年度中に、悪臭防止法に基づく措置等を行った件数は、表5のとおりである。
表5 悪臭防止法に基づく措置等の状況(単位:件) 行政措置等 平成8年度 平成7年度 立入検査 2,968 3,004 報告の徴収 443 479 物質測定
(うち、基準超過)124
(33)135
(35)行政指導 4,676 5,014 改善勧告 6 7 改善命令 0 0
- {1}規制地域の指定状況
- (1)悪臭苦情の状況
添付資料
- 連絡先
- 環境庁大気保全局企画課大気生活環境室
室長 :竹内 恒夫(内6540)
室長補佐 :小柳 勝彦(内6542)
担当 :倉谷 英和(内6545)