報道発表資料

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1998年03月30日

平成8年度悪臭防止法施行状況調査について

 環境庁は、全国の地方公共団体の報告に基づき、平成8年度の悪臭苦情、悪臭規制等の状況を取りまとめた。その概要は以下のとおりである。
(1)悪臭苦情の状況
 平成8年度の悪臭苦情の件数は11,942件で、平成7年度に比べて666件(5.9%)増加した。
 苦情の発生源別内訳をみると、前年度に引き続き「サービス業・その他」が最も多く、次いで「畜産農業」、「個人住宅・アパート・寮」等の順になっており、依然として都市・生活型悪臭に対する苦情の割合が増加する傾向にある。
(2)悪臭規制等の状況
 悪臭防止法の規制地域を有する市区町村は、平成8年度末現在、全国の52.0%に当たる1,692市区町村(前年度比12市町村の増)であった。
 これらの規制地域内において平成8年度には2,968件の立入検査が行われ、行政指導が4,676件、法に基づく改善勧告が6件(前年度7件)行われた。
 環境庁としては、今後とも、悪臭防止法に基づく悪臭防止対策の推進を図っていく。
  1. 調査の目的

    本調査は、悪臭防止行政の一層の推進を図るため、環境庁が毎年度全国の都道府県、指定都市及び中核市を通じ、悪臭苦情の状況、悪臭防止法に基づく各種措置の施行状況等について調査を行い、その結果を取りまとめているものである。

  2. 調査結果
    • (1)悪臭苦情の状況
      • {1}苦情件数の推移

        近年の悪臭に係る苦情件数は昭和47年度をピークに概ね減少傾向にあったが、最近は約一万件前後で推移しており、平成8年度は11,942件で、平成7年度に比べて666件(5.9%)増加した。(図1)

        図1 悪臭苦情件数の推移

      • {2}都道府県別の苦情件数

        平成8年度の苦情件数を都道府県別にみると、苦情件数の多い都道府県は例年とほぼ同じで、東京都、愛知県、大阪府、埼玉県、神奈川県の順になっており、これら上位5都府県で、総苦情件数の3分の1以上を占めている。また、人口100万人当たりの苦情件数では、宮崎県の174件が最高で、全国平均の1.8倍であった。(表1)

        また、苦情件数を平成7年度と比較すると、47都道府県中32都府県で増加しており、平成8年度の苦情件数の増加は概ね全国的なものであるといえる。(表2)

        これに対し、苦情件数が減少したのは13道府県であった。

        表1 都道府県別苦情件数(上位10都道府県)

        苦情件数
        人口100万人当たり
        苦情件数
        都道府県件数都道府県件数
        1 東京都 1,147 1 宮崎県 174
        2 愛知県 1,113 2 愛知県 164
        3 大阪府 843 3 大分県 163
        4 埼玉県 739 4 徳島県 161
        5 神奈川県 640 5 三重県 147
        6 千葉県 543 5 京都府 147
        7 福岡県 523 7 沖縄県 142
        8 兵庫県 422 8 鹿児島県 137
        9 京都府 376 9 青森県 127
        10 茨城県 334 10 高知県 113
        全国計  11,942 全国平均      95
        表2 都道府県別苦情件数の対前年度増減状況(単位:件)
        都道府県名H8H7H8-H7(%)
        1 北海道 237 247 -10(-4.0%)
        2 青森県 192 143 49(34.3%)
        3 岩手県 130 119 11(9.2%)
        4 宮城県 196 240 -44(-18.3%)
        5 秋田県 94 68 26(38.2%)
        6 山形県 110 110 0(0.0%)
        7 福島県 136 132 4(3.0%)
        8 茨城県 334 351 -17(-4.8%)
        9 栃木県 186 163 23(14.1%)
        10 群馬県 137 173 -36(-20.8%)
        11 埼玉県 739 657 82(12.5%)
        12 千葉県 543 502 41(8.2%)
        13 東京都 1,147 1,115 32(2.9%)
        14 神奈川県 640 689 -49(-7.1%)
        15 新潟県 190 154 36(23.4%)
        16 富山県 25 19 6(31.6%)
        17 石川県 98 93 5(5.4%)
        18 福井県 59 49 10(20.4%)
        19 山梨県 85 60 25(41.7%)
        20 長野県 184 209 -25(-12.0%)
        21 岐阜県 177 158 19(12.0%)
        22 静岡県 264 220 44(20.0%)
        23 愛知県 1,113 1,070 43(4.0%)
        24 三重県 271 252 19(7.5%)
        25 滋賀県 110 129 -19(-14.7%)
        26 京都府 376 324 52(16.0%)
        27 大阪府 843 850 -7(-0.8%)
        28 兵庫県 422 428 -6(-1.4%)
        29 奈良県 135 125 10(8.0%)
        30 和歌山県 88 83 5(6.0%)
        31 鳥取県 38 34 4(11.8%)
        32 島根県 72 52 20(38.5%)
        33 岡山県 114 67 47(70.1%)
        34 広島県 184 178 6(3.4%)
        35 山口県 140 157 -17(-10.8%)
        36 徳島県 135 79 56(70.9%)
        37 香川県 111 94 17(18.1%)
        38 愛媛県 165 126 39(31.0%)
        39 高知県 93 96 -3(-3.1%)
        40 福岡県 523 486 37(7.6%)
        41 佐賀県 75 56 19(33.9%)
        42 長崎県 68 68 0(0.0%)
        43 熊本県 124 123 1(0.8%)
        44 大分県 202 140 62(44.3%)
        45 宮崎県 207 211 -4(-1.9%)
        46 鹿児島県 246 188 58(30.9%)
        47 沖縄県 184 189 -5(-2.6%)
        合計 11,942 11,276 666(5.9%)
      • {3}発生源別の苦情件数

        平成8年度の苦情件数を発生源別にみると、「サービス業・その他」が最も多く、3,248件で全体の27.2%を占め、第2位は「畜産農業」の1,885件(15.8%)、第3位は「個人住宅・アパート・寮」の1,680件(14.1%)であった。「サービス業・その他」、「個人住宅・アパート・寮」、「下水・用水」及び「ゴミ集積場」を加えた都市・生活型の悪臭苦情件数は5,799件で、全体の48.6%を占めている。(図2)前年度との比較では、「畜産農業」が0.4ポイントの減少となっているのに対し、「個人住宅・アパート・寮」は1.0ポイント増加、「サービス業・その他」は1.2ポイント増加しており、都市・生活型悪臭苦情件数の比率が高まっている(対前年度2.4ポイント増)。

        図2 発生源別苦情件数の推移

      • {4}規制対象とそれ以外の苦情件数の比較

        平成8年度の総苦情件数11,942件のうち、悪臭防止法の規制対象となる規制地域内の工場・事業場に対するものは約半数の6,195件(51.9%)であり、規制地域外の工場・事業場に対する苦情(1,773件、14.8%)及び「一般住宅・アパート・寮」、「下水・用水」など非規制対象の発生源に対する苦情(3,974件、33.3%)が残り約半数を占めている。(表3)

        表3 規制対象・非規制対象別苦情件数
          発生源別規制地域
        工場・事業場に
        対する苦情
        畜産農業 1,000 885
        製造工場関係の計 2,424 411
        サービス業・その他 2,771 477
        小計
        (%)
        6,195
        (51.9%)
        1,773
        (14.8%)
        非規制対象の
        発生源に対す
        る苦情
        移動発生源 19 1
        建設作業 278 14
        現場    
        下水・用水 719 120
        ごみ集積場 29 2
        住宅・寮等 1,438 243
        不明 1,018 93
        小計
        (%)
        3,501
        (29.3%)
        473
        (4.0%)
          合計
        (%)
        9,696
        (81.2%)
        2,246
        (18.8%)

        注)%は総苦情件数11,942件に対する割合。

    • (2)悪臭規制等の状況
      • {1}規制地域の指定状況

        悪臭防止法に基づく規制地域を有する市区町村は、平成8年度末現在、1,692市区町村(前年度末1,680市区町村)で、全国の市区町村数の52.0%に当たる。(表4)このうち、臭気指数に係る規制地域を有するのは1市(茨城県下館市)である。

        表4 規制地域の指定状況
        市区町村数規制地域を有する
        市区町村(%)
        668 621 (93.0)
        23 23 (100.0)
        1,993 922 (46.3)
        571 126 (22.1)
        3,255 1,692 (52.0)
      • {2}悪臭防止法に基づく規制措置等の状況

        平成8年度中に、悪臭防止法に基づく措置等を行った件数は、表5のとおりである。

        表5 悪臭防止法に基づく措置等の状況(単位:件)
        行政措置等平成8年度平成7年度
        立入検査 2,968 3,004
        報告の徴収 443 479
        物質測定
        (うち、基準超過)
        124
        (33)
        135
        (35)
        行政指導 4,676 5,014
        改善勧告 6 7
        改善命令 0 0

添付資料

連絡先
環境庁大気保全局企画課大気生活環境室
室長   :竹内 恒夫(内6540)
 室長補佐 :小柳 勝彦(内6542)
 担当   :倉谷 英和(内6545)