報道発表資料

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2002年01月25日
  • 水・土壌

「今後の土壌環境保全対策の在り方について」中央環境審議会答申について

平成13年10月18日に環境大臣から中央環境審議会会長(森嶌昭夫(財)地球環境戦略研究機関理事長)に対し諮問した「今後の土壌環境保全対策の在り方について」は、本日の中央環境審議会土壌農薬部会(部会長:松本聰秋田県立大学生物資源科学部教授)において報告が取りまとめられ、同日、中央環境審議会会長から環境大臣に対して答申がなされました。環境省としては、本答申を踏まえ、今通常国会に法案を提出することとしています。
  1. 背景及び経緯
     
     近年、企業の工場跡地等の再開発や事業者による自主的な汚染調査の実施等に伴い、工場跡地等における土壌汚染が顕在化しており、土壌汚染対策については、法制度がないことから、土壌汚染による健康影響等への懸念や対策の確立への社会的要請が強まっています。
     このような状況を踏まえ、平成13年10月18日、環境大臣から中央環境審議会会長に対して「今後の土壌環境保全対策の在り方について」を諮問し、同審議会土壌農薬部会及び同部会に設置された土壌制度小委員会(委員長:村岡浩爾大阪産業大学人間環境学部教授)において、5回にわたる調査審議を行った後、同年12月25日から本年1月15日までパブリックコメント手続きを行いました。
     パブリックコメント手続きで寄せられた意見も踏まえ、1月24日に開催された同小委員会において、調査審議が行われ、同小委員会としての報告が取りまとめられました。同報告については、1月25日に土壌農薬部会における審議の後、部会報告として了承され、これを受けて、同日、中央環境審議会会長から環境大臣に対して答申がなされました。
     
     
  2. 答申の概要
     
    (1) 対象とする土壌汚染
       今回の制度が防止しようとする土壌汚染によるリスクは、
      [1]  直接摂取(摂食又は皮膚接触)によるリスク
      [2]  地下水等の摂取によるリスク
      とする。 
    (2) 土壌汚染の把握
       土壌汚染の実態を的確に把握するため、
      [1]  有害物質を取り扱ったことのある工場・事業場について、工場・事業場としての管理がなされなくなる工場・事業場の廃止時や用途の変更時の場合
      [2]  土地の履歴等から有害物質を取り扱ったことのある工場・事業場の跡地である等土壌汚染の可能性の高いことが判明した場合や周辺で地下水汚染が発見された場合であって、人の健康に係る被害が生ずるおそれがある場合
       について当該土地の所有者等が調査を実施。 
    (3) 土壌汚染による環境リスクの管理
      [1]  リスク管理地の指定
         土壌汚染の調査により、直接摂取によるリスクに係る基準又は地下水等の摂取によるリスクに係る基準を超えていることが判明した汚染土壌に係る土地について、都道府県がリスク管理地として指定。
      [2]  リスクの低減
         リスク管理地の土壌汚染により人の健康に影響が及ぶことを防止するため、土地所有者等が、国が定める技術的基準に基づき、土地の利用状況等に応じ、複数の措置の中から適正に選択して実施。また、土地所有者等の申出等に基づき、汚染原因者が判明する場合であって、汚染原因者が措置を実施することにつき土地所有者等に異議がない場合には、汚染原因者が実施。
      [3]  土地の改変等に伴う新たな環境リスクの発生の防止
         国が定める技術的基準に基づき、リスク管理地の改変等に際し、汚染土壌の搬出等に伴う新たなリスクが発生することを防止するための措置を実施。 
    (4) 土壌汚染によるリスク管理が必要な土地の台帳への登録・公告
       リスク管理地については、一定のリスク管理を維持・継続するとともに、汚染土壌の搬出等に伴うリスクの拡散の防止の観点から、汚染状況、環境リスクの管理状況等の情報を台帳に登録するとともに、リスク管理地であることを公告。 
    (5) 支援措置等
       土壌汚染の調査、リスクを低減するための措置等を円滑に推進するため、低利融資、税制上の措置、関連機材の貸付け等の支援措置の導入が適当。
     基金を造成して費用負担能力の低い土地所有者等に対し財政的な支援といった措置の実施を行うことが望まれる。
     簡易で低コストな調査・リスク低減技術に係る新技術の開発を一層促進。
     周辺住民に土壌汚染リスクについて情報提供し、制度や土壌汚染リスクに対する理解を深めるため、リスク・コミュニケーション等事業を推進。 
  3. 今後の予定
     
     環境省としては、本答申を踏まえ、新たな制度の構築に向けて早急に必要な措置を講じることとし、今通常国会に法案を提出することとしたいと考えております。
     また、今後、制度の実施に向けて、リスク低減措置に係る国の技術的基準等の技術的事項について中央環境審議会において更に審議等がなされる予定です。 

 「今後の土壌環境保全対策の在り方について(答申)」[PDFファイル 94KB]

添付資料

連絡先
環境省中央環境審議会土壌農薬部会事務局
環境省環境管理局水環境部土壌環境課
課   長:伊藤   洋(6650)
 課長補佐:庄子  真憲(6651)
 課長補佐:荒木  真一(6652)
 担   当:瀬戸加奈子(6659)
 

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