報道発表資料
農林水産省と環境省が、今年度、連携して実施した「田んぼの生きもの調査」の結果がまとまった。
本調査は、環境との調和に配慮した事業を推進するために、農林水産省土地改良調査管理事務所等が、農業水路等(全国211地区)における魚類の生息状況等を調査したものであり、フナ、ドジョウ、メダカ等多くの魚類が確認された。
環境省としては、調査・分析手法の助言・提案等を行うとともに、環境省実施の「自然環境保全基礎調査」による全国分布との比較分析等を行った。その結果、自然環境保全基礎調査では比較的調査密度の低い農地周辺の水路においてメダカの分布地点が新たに確認されるなど、本調査によって自然環境保全基礎調査のデータを補完する有効なデータが収集されたものと考えられる。
環境省では、今後とも、農林水産省との連携調査を、生物多様性の保全に資するよう積極的に推進していきたいと考えている。
本調査は、環境との調和に配慮した事業を推進するために、農林水産省土地改良調査管理事務所等が、農業水路等(全国211地区)における魚類の生息状況等を調査したものであり、フナ、ドジョウ、メダカ等多くの魚類が確認された。
環境省としては、調査・分析手法の助言・提案等を行うとともに、環境省実施の「自然環境保全基礎調査」による全国分布との比較分析等を行った。その結果、自然環境保全基礎調査では比較的調査密度の低い農地周辺の水路においてメダカの分布地点が新たに確認されるなど、本調査によって自然環境保全基礎調査のデータを補完する有効なデータが収集されたものと考えられる。
環境省では、今後とも、農林水産省との連携調査を、生物多様性の保全に資するよう積極的に推進していきたいと考えている。
- 調査目的
本調査は、改正土地改良法を踏まえて、農業農村整備事業を、環境との調和に配慮した、自然と共生する田園環境創造型に転換するにあたり、水田周辺水域の生態系の現状を把握するため、魚類の生息調査を実施したものである。
- 環境省と農林水産省との連携内容
・調査・分析手法への環境省からの助言・提案等
・環境省実施の自然環境保全基礎調査との情報交換(情報の補完)
- 調査対象と調査カ所数
水田、農業水路、ため池等を対象とした全国211地区、1098地点(図1参照)
- 調査実施機関
地方農政局土地改良調査管理事務所(15)、北海道開発局、沖縄総合事務局
- 調査協力機関
都道府県(47)、土地改良区及び県土地改良事業団体連合会(50)
小学校及びこどもエコクラブ(4) 等
- 調査期間
平成13年8月中旬~10月下旬
- 調査結果
○ 確認された魚種:18科72種 ○ 多く確認された魚種 フナ類 98地区183地点(40県) ドジョウ 72地区145地点(35県) メダカ 74地区142地点(37県) タモロコ 65地点138地点(29県) モツゴ 72地点132地点(31県) ○ 確認された希少な魚類 メダカ (絶滅危惧II類)、 ホトケドジョウ(絶滅危惧IB類)
スナヤツメ(絶滅危惧II類)、 タナゴ(準絶滅危惧) 等10種 農業水路やため池が、これらの魚類の生息の場として、大きな役割を果たしていることが確認された。 ○ 確認された外来種 タイリクバラタナゴ、 ブルーギル、 オオクチバス、 カダヤシ 等8種 ○ メダカの生息環境分析 水田の代表種であるメダカについては、142地点で確認されたが、流速が緩やかなところや、土水路や泥が堆積したコンクリート水路で多く確認された。このほか、産卵に必要な水生植物の必要性や、魚類が移動可能な、水田と水路及び水路間の連続の重要性が示唆された。 __ - 自然環境保全基礎調査による全国分布との比較(メダカ)【環境省実施】
環境省では、我が国の野生生物の全国的な分布状況を把握するために環境省が実施している「自然環境保全基礎調査」(いわゆる「緑の国勢調査」)で収集された魚類の分布情報(約10km四方の2次メッシュ単位)との比較を行った。
その結果、例えばメダカでは、「田んぼの生きもの調査」で生息が確認された88メッシュのうち、約半数にあたる43メッシュが自然環境保全基礎調査によるメダカの分布情報(691メッシュ)と重複したが、残りの45メッシュは自然環境保全基礎調査では分布を確認していなかったメッシュであった。(図2・3)
メダカについて新たに分布が確認されたメッシュ数(45)は、自然環境保全基礎調査で確認されたメッシュ数(691)の7%程度にとどまるものの、自然環境保全基礎調査では比較的調査密度が低かった農地周辺の水路等におけるデータが収集されたものと推測され、今回の「田んぼの生きもの調査」で、自然環境保全基礎調査の成果を補完する重要なデータが収集されたものと考えられる。
つまり、自然環境保全基礎調査及び田んぼの生きもの調査の情報を両省が共有することにより、全国レベルでの野生生物の生息状況の把握の精度が一層高まるものと考えられる。
環境省では、本調査結果を踏まえ、今後とも、農林水産省との連携調査を生物多様性の保全に資するよう積極的に推進していきたいと考えている。
添付資料
- 連絡先
- 環境省自然環境局自然環境計画課
課長 小野寺 浩(内線:6430)
課長補佐 植田 明浩(内線:6480)
環境省自然環境局
生物多様性センター(0555-72-6031)
センター長 笹岡 達男
専門調査官 田邉 仁