報道発表資料

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1997年05月08日

8カ国環境大臣会合の結果について

 アメリカの主催による8カ国環境大臣会合が、アメリカのマイアミで、5月5、6日に開催された。本会議は、本年6月のデンバー・サミットの準備過程の一環として、サミットにおける環境に関する議論の準備を行うことを目的として開催されたものである。
 議論の結果、環境汚染による子供の健康への影響について宣言が、また、気候変動、環境に関する取決めの実施と遵守及び国連環境開発特別総会について議長総括が取りまとめられた。

1.会合概要
 

{1} 開催日 5月5、6日
{2} 開催地 マイアミ
{3} 主 催 アメリカ環境保護庁
{4} 出席者 アメリカ、イタリア、ロシア及びオランダ(EU議長国)の環境大臣、その他のG7の環境大臣代理、UNEP事務局長、ECの環境担当が出席。我が国からは、田辺地球環境担当大使、廣瀬環境庁環境保健部長他が出席。
{5} 議 題 [1].環境汚染による子供の健康への影響
(a)環境リスク評価と基準設定
(b)鉛への暴露
(c)安全な飲料水
(d)大気汚染(受動喫煙)
(e)内分泌攪乱化学物質
(f)気候変動の影響
[2].環境に関する取決めの実施と遵守
[3].気候変動
  [4].国連環境開発特別総会

 
2.会合の成果

 環境汚染による子供の健康への影響について宣言(別紙1)が出され、その他の議題については議長総括(別紙2)がとりまとめられた。

 また、会合の成果をデンバー・サミットへインプットするため、ブラウナー米国環境保護庁長官からクリントン大統領へ書簡が送られることになっている。

3.議論の主な結果

議論の結果、特に以下のような項目について出席者が合意した。

[1].環境汚染による子供の健康への影響

(a)環境リスク評価と基準設定
 幼児や子供に特有の暴露や感受性に配慮しつつ、リスク評価や試験方法、基準、将来の国際協定を含む環境保全計画を確実に実施すること。

(b)鉛への暴露
 ガソリン及びその他の製品における鉛の使用を段階的に削減する行動計画を実施することや鉛による健康影響に関する情報を共有すること。

(c)安全な飲料水
 微生物汚染による水媒介の病気に関するデータを交換すること。世界全体において環境汚染による子供の健康問題の第一位となっているこの問題に対処するため、世界規模での技術移転や資金援助を提供する取組を進めること。

(d)大気汚染(受動喫煙)
 特にぜん息やその他の呼吸器疾患を悪化させる汚染物質について、幼児や子供に脅威を与える大気汚染の改善を実施すること。立証されているたばこの煙による子供の健康への有害性について家族へ知らせるための行動をとること。

(e)内分泌攪乱化学物質
 研究活動に関する国際的な目録をまとめること、科学の状況についての国際的な評価を開発すること、及び、内分泌攪乱により子供の健康へ現れつつある脅威についてより良く理解するための研究や試験の必要性を明らかにすること。

(f)気候変動の影響
 将来の交渉は、地球規模の気候変動による健康や環境、経済への深刻な影響を子供が受けやすいことに留意すべきであることを認識すること。

[2].環境に関する取り決めの実施と遵守

 国内環境法の遵守のため、環境法の実施と他の機関による既存の法律の執行とを統合していく努力を進めていくこと。
 国際環境協定の遵守のため、各国や国際機関による国際的な協力を支援し拡大していくこと、国際環境法に触れる違法貿易に焦点を置くこと及び既存の枠組みにおける対話を推進すること。
   
[3].気候変動

 地球温暖化防止京都会議において、温室効果ガスの排出を防止するための強い合意に達すること及び特定の時間的枠組みにおける排出抑制及び顕著であり現実的な排出削減となる数量化された法的拘束力のある排出目標を採択することにより先進国が率先して真剣であることを示す必要があること。
 途上国が気候変動への取組を具体的に進めるのを支援するため途上国とのパートナーシップを図っていくこと。
 気候変動その他の環境の監視のための地球的なシステムの更なる発展に向け協力して国際的な努力を強めていくこと。

[4].国連環境開発特別総会

 特別総会は、持続可能な開発の実現のための約束を世界の指導者達が再確認する特別な機会を与えるものであること。
 特別総会では、森林、淡水、エネルギーの分野における将来の行動に関する中心的な優先課題が明らかにされるべきであること。
 UNEPの機構改革に関する決定を支持すること及びCSDは持続可能な開発に関する戦略的なフォーラムであることを確認した。
 2002年に「リオ・プラス10」会議を開催すること及び特別総会が著名な専門家に対し持続可能な開発の挑戦について評価することを求めるよう検討すること。

*別紙1環境リーダーの宣言書(1997) 仮訳 と、
 別紙2議長総括 環境庁仮訳 については、添付ファイル参照。

添付資料

連絡先
環境庁企画調整局地球環境部企画課
課長 岡澤 和好(内6731)
 補佐 小川 晃範(内6734)
 担当 新田 晃  (内6755)