報道発表資料

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2001年10月15日
  • 地球環境

砂漠化に対処するための国連条約第5回締約国会議(COP5)の結果について

「砂漠化に対処するための国連条約」第5回締約国会議(砂漠化対処条約COP5)が、10月1日から12日まで、約160ヶ国・地域と、政府間機関、国連諸機関、NGO等の参加を得て、スイスのジュネーブで開催され、条約の効果的な実施のための措置等が検討された。
 また、締約国会議と並行して、10月2日から5日まで、条約に基づき設置されている科学技術委員会(CST)の第5回会合が開催された。
 今回の会議の主な成果は、条約実施の定期的レビューのための委員会(Committee to review the implementation of the Convention;CRIC)と、科学技術委員会の効率化のために設立された小委員会(専門家グループ)との、2つの組織の設置が決定されたことである。
1.期間、場所等
 
(1) 期間
 第 5 回 締 約 国 会 議 平成13年10月1日(月)~10月12日(金)
 第5回科学技術委員会 平成13年10月2日(火)~10月 5日(金)
 
(2) 場所
 ジュネーブ(国連事務局)
 
(3) 我が国からの出席者
 在ジュネーブ多賀公使、東京大学武内教授のほか、環境省、外務省、農水省より出席。環境省からは地球環境局環境保全対策課田口補佐が出席。
 
2.締約国会議(COP)
 
(1) 主要な議題
科学技術委員会の効率化・改善の方法についての検討
条約実施の定期的レビューのための仕組みの検討
条約事務局及び地球機構(資金メカニズム)の役割・実施状況に関する報告
砂漠化の影響を受ける締約国の条約履行の進捗状況の報告
今後の活動計画及び予算案の検討
他の関連条約・国際機関等との関係強化方策の検討
 
(2) 主な検討結果
[1]  科学技術委員会の効率化・改善の方法
 科学技術委員会の報告を踏まえ、同委員会の効率化のために小委員会(専門家グループ)を設置することが決定された。
 
[2]  条約実施の定期的レビューのための仕組み
 条約実施のレビューについては、i)定期的なレビューの一助とするために、COPの付属機関として、「条約実施レビュー委員会」を設置すること、ii)遅くともCOP7までにCRICの運営や会議日程などを、レビューすること、iii)すべての地域が2002年4月30日までに提出する報告書を検討するため、事務局は2002年11月にCRICの初回会合を開催すること、が決定された。
 
[3]  今後の活動計画及び予算案
 今後2年間の活動計画・予算が承認された。
 
[4]  他の関連条約・国際機関等との関係の強化
   生物多様性条約、気候変動枠組条約など、他の条約との連携強化や、国連環境計画等、他の関係国際機関等との協力の状況について報告がなされたほか、これらの取り組みを一層強化すべく、政治レベル、科学的レベル、地域・国レベルそれぞれの段階で取り組むべき課題を明確にした決議が採択された。
 
3.科学技術委員会(CST) 
 
(1) 主要な議題
既存のネットワーク、機関、団体の調査
専門家名簿についての検討
国別報告書の科学技術面に関するレビュー
伝統的知識についての検討
CSTの効率、効果の改善
早期警戒体制についての検討
CSTの今後の作業計画の検討
基準と指標についての検討
国別報告書ヘルプガイドについての検討
 
(2) 主な検討結果
[1] 専門家名簿
 i)締約国は、地域に根付いた機関やNGOを加える、ii)その際、男女比、関係する全分野のカバー、草の根レベルとNGOの専門知識を入れることを特に検討する。
 
[2] 伝統的知識の検討
 2つのアドホックパネルの報告書と勧告を受け、また、イタリアが地中海地域を重点としてリサーチセンターを創設することを踏まえ、伝統的知識に関する小委員会の議長国であるイタリアに対し、以下の点が要請された。
i)  今回CSTで提出された意見等を考慮したうえで提案を修正する。
ii)  他の相応な機関との連携を引き続き進める。
 また、伝統的知識を取り扱う締約国と国際機関ならびに地球機構は、イタリア政府が提案した伝統的知識に関するネットワーク構築の提携(パートナーシップ)についての合意を追求することが要請された。
 
[3] 早期警戒体制(EWS)の検討
 アドホックパネルの報告と勧告を受け、以下の活動が求められた。
i)  事務局はアドホックパネルに提出された関連文書の出版と、それらをCST委員へ配布するために必要な方策を追求する。
ii)  締約国は、各々の財政や技術力に応じて、アドホックパネルの勧告を考査するためのEWSに関するパイロットスタディを実施し、その結果を次回CSTに報告する。
iii)  締約国と国際組織は、パイロットスタディへの参加が財政または技術的に困難な途上国の支援をする。
 
[4] CSTの今後の作業計画
 CSTの今後の作業計画が承認されるとともに、以下の事項が決定された。
 
i)  第6回CSTで優先的に審議される課題は、「土壌劣化、脆弱性、回復;統合的アプローチ」とする。
ii)  締約国は、前述テーマを例示する最良の事例研究を、次期締約国会議の遅くとも4ヶ月前に事務局に提出する。
 
[5] CSTの効率、効果の改善
i)  締約国は、作業計画についての勧告を、地域グループを通じて2002年2月1日までに提出する。
ii)  CSTビューローはそれらを取りまとめ付託事項を明確にするとともに、そうした付託事項を念頭に、小委員会(専門家グループ)及び地域グループと事務局と相談のうえ、適切な専門家を選出する。
 
[6] 基準と指標
i)  関心を有する組織が、条約履行の基準と指標の開発作業におけるイニシアティブを継続する。
ii)  締約国は、特に地域レベルや市民社会の参画を図る適切な基準と指標を開発、考査する。
iii)  締約国は、研修や資質改善の活動など、途上国が取り組む基準・指標開発に技術的または財政的に支援する。
 
(以上)

添付資料

連絡先
環境省地球環境局(旧)環境保全対策課
課 長:鈴木 克徳 (6740)
 補 佐:田口 秀実 (6745)
 担 当:高木 丈子 (6747)