報道発表資料

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2001年09月18日
  • 地球環境

「海外事業における環境配慮方策検討調査」報告書について

今般、環境省が(財)地球人間環境フォーラムに委託して実施した「海外事業における環境配慮方策検討調査」に係る報告書(開発プロジェクトの環境社会配慮~開発途上地域へ融資・投資される方々へ~)がとりまとめられた。
 本報告書は、開発途上地域に融資や投資を行う様々な国際機関等の環境配慮に係る取組みを幅広く整理したものであり、今後、国内外において融資等に携わる機関等における環境配慮のより一層の推進に資することを目的として作成したものである。
 環境省としては、我が国の関与する海外事業の環境配慮の推進に役立つよう本報告書を関係機関等に配布していく。


 
 なお、本報告書は部数に限りがあることから、入手・参照を希望される場合は当室まで問い合わせ願いたい。
  1. 背景
     
     開発途上国で実施される開発プロジェクトは、環境や地域社会に大きな影響を与える可能性が高く、プロジェクトの実施者はもちろんこれらのプロジェクトに資金面から深く関わる国際的な融資援助機関や先進各国の公的輸出信用機関等が環境配慮に取り組むことが求められている。
     我が国においても、国際協力銀行(JBIC)による融資等、経済産業省の貿易保険について、環境ガイドラインが定められ運用されている。
     更に近年、環境と開発の一層の統合や貧困削減に向けての取り組みの必要性から、これら環境配慮を強化する潮流が強まっている。世界最大の援助機関である世界銀行においては、従来より有していた環境配慮規定(環境ガイドライン)を一昨年1月に全面改定し内容が充実・強化された。
     本報告書は、このような国際的な潮流の中、各国の融資援助機関等において行われている環境配慮に係る取り組みについて国内の関係機関に広く周知し、今後の環境配慮に係る取り組みがより一層強化されることに資することを目的として作成したものであり、本報告書を国内で関係する機関等に配布する予定である。
     
     
  2. 報告書の概要
     
    (1) 融資援助機関における環境配慮の取り組み
    [1]  世界銀行とIFC
     世銀については、融資対象となる開発プロジェクトについて事前に、環境ガイドラインに基づく審査が行われることとなっている。環境ガイドラインについては1989年に策定された後、1999年にさらにその内容が強化され、国際的にみても最も高い水準の内容となっている。例えば、環境アセスメント手続きについても独自に定めており、融資を受けようとする事業者は自国内のアセス手続きとは別に当該ガイドラインの規定に沿ったアセス手続きが求められる。
     IFCは(民間企業向け融資を行う世銀の姉妹機関)も世銀と同様の内容の環境ガイドラインを有している。 
    [2]  地域開発銀行(アジア開発銀行(ADB)、欧州復興開発銀行(EBRD)、米州開発銀行(IDB))
     ADBは、環境ガイドラインを有している。ただし、環境アセスメントの手続きについては、基本的に事業が実施される国における環境アセスメントの手続きを尊重する規定となっている。
     EBRD及びIDBについても、世銀やADBとは形式は異なるものの環境配慮に係る政策や環境審査に係る手続きを定めている。
    (2) 国際機関(OECD、UNEP)による指針の提示
     OECDは、多国籍企業行動指針(国境を越えた企業活動に対する指針であり、その中に環境保護が位置づけられている)を採択するとともに、政府開発援助(ODA)における環境配慮のあり方に関する国際的な枠組み作りを目的として理事会勧告を採択している。
     UNEPは、「金融機関の環境と持続可能な発展に関する声明」及び「保険業界の環境コミットメント声明」を採択し、民間金融機関においても環境配慮に係る考え方が重要である旨を示している。
    (3) 輸出信用機関(ECA)における環境配慮への取り組み
     各国のECAは共通の場(OECD貿易委員会輸出信用グループ)において、共通の環境ガイドラインに関する考え方を策定する作業を進めている。2001年11月を目途に最終的な「共通のアプローチ」としてとりまとめられる予定である。各国のECAの内、米国、カナダ、ドイツ、日本等では公開された環境ガイドラインを既に策定している一方、未だ定めていない国が多く存在する。
     
     
  3. その他
     

     我が国において、ODA及び輸出信用等を担当する国際協力銀行においては、それぞれの業務を担当していた前身の組織である海外経済協力基金(OECF)及び日本輸出入銀行のそれぞれにおいて策定されていた環境ガイドラインを踏襲し運用しているが、現在これら二つの環境ガイドラインの統合のための検討が行われている。この検討に資するようNGOや有識者等による「国際協力銀行の環境ガイドライン統合に係る研究会」が設置され、ガイドラインに盛り込まれるべき事項等についての提言をまとめた。(9月19日に一般に公開して研究会報告会が開催される予定)。

添付資料

連絡先
環境省地球環境局(旧)環境保全対策課環境協力室
室長 小川 晃範(6769)
 補佐 和田 篤也(6761)