報道発表資料

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1997年02月10日

「今後の環境影響評価制度の在り方について」の答申について

平成9年2月10日開催の第38回中央環境審議会企画政策部会(部会長:森嶌昭夫上智大学法学部教授)において、「今後の環境影響評価制度の在り方について」(答申)が取りまとめられ、同日、橋本龍太郎内閣総理大臣に対し、中央環境審議会の近藤次郎会長から答申書が提出された。

[1] 経緯(中央環境審議会企画政策部会における審議状況)

平成8年6月28日  内閣総理大臣より、中央環境審議会に対し、「今後の環境影響評価制度の在り方について」諮問
 
8月~9月  部会ヒアリング及びブロック別ヒアリングの実施
 
 ○  8月1日から9月17日にかけて、部会ヒアリングを3回実施し、関係省庁や関係団体等からアセスメントの実施状況や意見を聴取。
 ○  8月20日から9月10日にかけて、全国6か所(仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡)での公募によるブロック別ヒアリングを実施。
10月1日~11月11日  項目別のひとわたりの審議(4回実施)
11月19日~12月6日  小委員会において、議論の集約の方向性を審議し、
 「議論の集約のためのたたき台」を作成
 
12月12日、25日  部会において、「議論の集約のためのたたき台」を基に審議
 
平成9年1月17日  小委員会において、答申案を起草
 
2月3日  部会において、答申案を審議
 
2月10日  部会において、答申取りまとめ、
 内閣総理大臣に提出

 
[2] 答申のポイント

1. 答申の位置づけ等
 
   本答申は、国の制度としての環境影響評価制度について、新たな制度が備えるべき基本原則を明らかにしたもの。
   政府においては、本答申に即して、速やかに環境影響評価の法制度化を図られたい。
 
2. 答申が示す基本原則の要点
 
  {1}  環境影響評価制度の法制化
     環境影響評価に関わる広範な主体の役割や行動のルールを明確にするために、法律による制度とすること。
 
  {2}  環境影響評価制度の趣旨
     環境影響評価制度は、事業者自らが広範な人々から意見を聴取しつつ環境影響評価を行って、十分な環境情報の下に適正な環境配慮を行い、国が許認可等によって事業に関与する際に、環境影響評価の結果を適切に反映させるという趣旨の制度であること。
 
{3}  早期段階での環境配慮
 事業者が事業計画の熟度を高めていく過程のできる限り早い段階から情報を出して外部の意見を聴取する仕組みとすることにより、早い段階から環境配慮を行うことを可能とすること。
 
{4}  対象事業
 制度の対象とする事業は、国の立場からみて一定の水準が確保された環境影響評価を実施することにより環境保全上の配慮をする必要があり、かつ、そのような配慮を国が許認可等の関与によって確保することが可能な事業とすることとし、このような観点から現行閣議決定要綱よりも対象を拡大すること。
{5}  評価のあり方
 環境基本法に対応して、生物の多様性などの新たな要素を評価できるよう、評価対象を見直すとともに、評価に当たっては、環境基準等の行政目標をクリアしているかどうかだけでなく、環境影響をできる限り回避し低減するという観点から評価する視点を取り入れること。
 
{6}  フォローアップ
 予測の不確実性にかんがみ、環境影響評価後のフォローアップの措置を取り入れること。
 
{7}  国と地方の関係
 国の制度の対象とする事業については、国の手続と地方公共団体の手続の重複を避けるため国の制度に一本化する必要があるが、法律による手続の過程で地方公共団体の意見が十分聴取され、反映されるような仕組みとすること。
 
3. 基本原則に関する留意事項
 
 実効ある環境影響評価が行われるためには、効率性にも配慮しつつ事業の特性や地域の実態に即した対応が可能な柔軟な仕組みとすることが求められるが、本答申はこれらの点に配慮しており、こうした要請に応える場合も、本答申で示す基本原則に従って対応すること。
 基本原則を具体化するに当たっては、統一的で、透明性が保たれ、わかりやすい制度とするよう留意すること。
連絡先
環境庁中央環境審議会企画政策部会
事務局 環境庁企画調整局環境影響評価課
 環境影響評価制度推進室
 室長:高部 正男(6283)
 主査:寺田 建志(6284)
    北沢 克巳(6286)