報道発表資料

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2001年08月30日
  • 自然環境

海域自然環境保全基礎調査 海棲動物調査(ウミガメ生息調査)中間とりまとめについて

環境省自然環境局生物多様性センター(山梨県富士吉田市)は、海域自然環境保全基礎調査の一環として実施してきた海棲動物調査(ウミガメ生息調査)の中間とりまとめを行った。
 この調査は、国内のウミガメの繁殖状況を把握し、沿岸域の自然環境保全のための基礎資料を得るために平成10,11年度に30都府県に委託して実施したもの。
 調査の結果、調査年度を含む過去5年間にウミガメの上陸が確認された砂浜は、アカウミガメで365箇所、アオウミガメで86箇所、タイマイで9箇所、種不明で93箇所あった(これらの一部では産卵も確認)。これらのうち、ウミガメの上陸が新たに確認された砂浜は25箇所であった。また、ウミガメの上陸頭数に減少傾向が見られた砂浜は47箇所であった。
1. 調査概要
 
 海棲動物調査(ウミガメ生息調査)は、国内のウミガメの繁殖状況を把握し、沿岸域の自然環境保全施策に資することを目的に実施した。
 
2. 調査年度
 
 平成10、11年度
 
3. 調査方法
 
(1) 実施方法
 本調査は、30都府県に委託して実施した。
 
(2) 調査対象種
 国内に上陸・産卵するウミガメ(アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイ)
 
(3) 調査内容
[1] 上陸・産卵砂浜実績調査(30都府県で実施)
ア. 調査対象砂浜
 過去にウミガメの上陸・産卵の記録がある全ての砂浜
イ. 調査方法
 資料調査及び関係機関への聞き取り調査
ウ. 調査項目
 (ア)砂浜の位置及び範囲、(イ)各年の延べ上陸頭数(1970年以降)(ウ)各年の延べ産卵巣数(1970年以降)、(エ)孵化状況、(オ)漂着死体の記録
 
[2] 上陸確認現地調査(17都府県で実施)
ア. 調査対象砂浜
 新聞報道等によりウミガメの上陸・産卵の報告がなされていたが、上陸・産卵頭数の記録がない砂浜
イ. 調査方法
 現地調査、ウミガメ産卵期を含む最低3ヶ月間に週1回現地調査を実施する。
ウ. 調査項目
 (ア)砂浜の位置及び範囲、(イ)上陸足跡本数(種別)、(ウ)漂着死体数(種別・性別)、(エ)天候
 
[3] 上陸・産卵砂浜環境調査(30都府県で実施)
ア. 調査対象砂浜
 上記調査[1]、[2]の対象砂浜
イ. 調査方法
 資料調査、関係機関への聞き取り調査及び必要に応じて現地調査
ウ. 調査項目
 (ア)人工構造物、(イ)人間活動の状況、(ウ)ごみの漂着状況、(エ)夜間の灯火の状況(オ)ウミガメ類に関する調査・保護活動状況、(カ)ウミガメ類に関する保護・保全指定状況
 
4. 調査結果
 
(1) ウミガメの上陸が確認された砂浜
[1] 調査対象砂浜     834箇所
  [2] 調査年度の過去5年間に上陸が確認された砂浜
 
(単位:箇所)
種   名上 陸 頭 数 区 分
101頭以上 11~100頭 1~10頭 頭数不明 合 計
アカウミガメ 19 85 222 39 365
アオウミガメ 37 28 17 86
タイマイ    
不   明   27 59 93
合   計 23 129 283 118 553
複数種が上陸した砂浜があったため重複がある。
 
      [3] 調査年度の過去5年間に101頭以上のウミガメの上陸が確認された砂浜
○アカウミガメ(19箇所)
 
○アオウミガメ(4箇所)

  

   (2) 新たに上陸が確認された砂浜
   新聞等により上陸の報告がなされていたが、調査年度まで上陸頭数のが記録がなかった砂浜の内、下記の25箇所の砂浜において本調査により上陸が確認された。
 
府県名砂 浜 名
徳島県 小松海岸(徳島市)、鹿ノ首岬(阿部)(由岐町)、大井の浜(由岐町)
 計 3箇所
   
愛媛県 白浦海岸(吉田町)、鹿島の砂浜(西海町(にしうみちょう))
 計 2箇所
福岡県 乙丸海岸(北九州市)、芥屋海岸(志摩町(しままち))
 計 2箇所
長崎県 脇岬(北港)(野母崎町(のもざきちょう)、種不明)
 計 1箇所
熊本県 内田海岸(苓北町(れいほくまち))
 計 1箇所
鹿児島県 徳浜(瀬戸内町、アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイ)、花徳(徳之島町、種不明)、宇勝浜(与論町、種不明、以下全ての砂浜は同町内)、皆田浜(種不明)、クズレ浜(種不明)、大金久海岸(種不明)、赤崎海岸(種不明)、ワタンジ(種不明)、前浜(アカウミガメ、種不明)、マンマ浜(アカウミガメ、アオウミガメ、種不明)、トイシ浜(アカウミガメ、アオウミガメ、種不明)、ウプラ浜(アカウミガメ、種不明)、兼母海岸(種不明)、品覇海岸(アカウミガメ、種不明)
 計 14箇所
沖縄 サンセットビーチ(北谷町((ちゃたんちょう))、池間島西の浜(平良市(ひららし)、アオウミガメ)
 計 2箇所
括弧内に所在市町村名、種名を示す。種名がない場合は、アカウミガメの上陸を示す。
 
(3) ウミガメの上陸状況
 調査年度(平成10年度若しくは11年度)を含む過去10年間以上連続してウミガメの上陸頭数が確認されていた砂浜120箇所(アカウミガメ87箇所、アオウミガメ42箇所、複数種が上陸した砂浜があったため重複あり)について、その上陸状況を見たところ、下記の47箇所の砂浜でウミガメの上陸頭数に減少傾向が見られた(上陸頭数の変動幅の上限若しくは下限が減少傾向を示すものを含む)。
 
 アカウミガメ 浜松海岸(静岡県浜松市)など44箇所
 アオウミガメ 野羊山(東京都小笠原村父島)など3箇所
 
 なお、上記47箇所の内、数箇所については環境条件の改変が見られたが、全ての箇所について環境条件の改変が見られた訳ではなく、上陸頭数に減少傾向が見られた原因については不明である。
 
5. 記者発表資料のホームページでの公表
 
 本資料については、生物多様性センターWebページにおいても公表する。
 
6. 問合せ先
 
   環境省自然環境局生物多様性センター 自然保護専門員 堀内(TEL 0555(72)6033 )
連絡先
環境省自然環境局生物多様性センター
センター長     笹岡 達男
 自然保護専門員 堀内 直
 〒403-0005
 山梨県富士吉田市上吉田剣丸尾5597-1
 Tel:0555-72-6033