報道発表資料

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2001年07月12日
  • 総合政策

公有水面埋立(大阪港内公有水面埋立事業)について

環境省は、大阪港内公有水面埋立事業について、公有水面埋立法第47条第2項の規定に基き、国土交通大臣より環境上の観点からの意見照会があったことから、平成13年7月12日付けで環境大臣意見を提出した。
 環境大臣意見の要点は以下のとおりである。
1. (1) 環境監視の実施と調査地点の適切な選定、及び環境監視にあたっての大阪湾近傍の広範な関係者との連携
  (2) 護岸概成段階及び埋立終了時のレビュー(再評価)の実施
  (3) 必要に応じた新たな環境保全措置の実施
  (4) 環境監視、レビュー等の結果の公表
2. 廃棄物処分場の延命化、及び浸出水の管理等水質汚濁防止対策の実施
3. 工事中の水質汚濁の防止
4. 山砂、石材及び海砂の採取にあたっての環境保全への配慮
5. 人工磯、傾斜護岸、透過型構造の防波堤、緑地整備等の環境対策の実施にあたっての、専門家からの意見聴取及び環境面からの十分な検討
6. 大気環境への負荷の低減のための配慮

【環境大臣の意見】

 本埋立事業は、埋立て等について環境保全上特別の配慮が必要な瀬戸内海海域における事業である。本海域は、現状においても水質の環境基準が達成されておらず、瀬戸内海の中で富栄養化の程度が相当高く、夏期に貧酸素水塊が形成される海域である上、本件の他にも大規模な埋立てが実施されていることから、本埋立計画の実施に際しては、瀬戸内海環境保全特別措置法に基づく埋立ての基本方針に十分配慮するとともに、環境保全に万全を期すため、埋立の免許の出願人である大阪市は、大阪湾広域臨海環境整備センターと十分な連携を図りつつ下記の措置を講ずる必要がある。

  1.  環境監視及びレビューについて
    (1)  環境監視は、事業の段階的施工との整合を図りつつ計画的に実施すること。また、埋立地供用後においても同様の対策が講じられるよう、関係機関へ要請し、その実現に努めること。
     環境監視の調査地点は、水質、流況等の予測結果等を踏まえ、海域環境の変動が大きいと予測される区域を確実に選定すること。
     また、環境監視にあたっては、地方公共団体環境部局を含む大阪湾近傍の広範な関係者との連携を図ること。
    (2)  護岸が概成した段階及び埋立が終了した段階において、環境影響評価のレビューを実施すること。
     レビューにおいては、その時点までの環境監視結果について総括した上で、採用した環境保全措置の効果や実施した環境影響評価の予測の妥当性について評価し、必要に応じ、レビュー時点以降の環境影響について、再予測、再評価を行うこと。 
    (3)  環境監視の結果、本事業により著しい環境の悪化が確認された場合、又はレビューの結果、本事業により周辺環境の保全に問題が生じることが判明した場合には、埋立工事の工程等の変更や新たな環境保全措置の実施等、必要な対策を講じること。
     また、大阪湾内の広域な環境の悪化が確認された場合には、現象の解明や適切な対策の実施について、大阪湾近傍の広範な関係者と連携を図ること。 
    (4) 環境監視、レビューの結果及び新たに講じた環境保全上の措置等について適切に公表すること。
     
  2.  瀬戸内海における埋立てを極力抑制する観点から、廃棄物処分場の延命化が図られるよう所要の措置を講じることを関係機関に働きかけること。
     また、廃棄物処分場からの浸出水については適切な水質の監視を行い、窒素除去等可能な限り最新の水処理技術を導入し、十分な水質汚濁防止対策を講じる等、廃棄物処分場の適正管理及び周辺の環境保全に努めること。
     
  3.  埋立工事中の水質汚濁防止については、早期に汚濁防止膜を展張する等十分配慮するとともに、工事中の濁りについては水質保全上の問題が生じないよう適切に処理を行うこと。
     
  4.  本事業に用いる山砂、石材及び海砂利の採取によって、環境保全上の問題が生じることのないよう、事業者においても十分留意し、採取、運搬に係る事業計画、環境保全対策を十分確認すること。
     
  5.  人工海浜等、傾斜護岸、透過型構造の防波堤、緑地整備等の環境対策については、海水の自浄能力の向上や生物生息空間の確保等に重要なものであることから、実施にあたっては、専門家の意見も聴取し、このような観点から機能、構造などについて十分な検討を行うこと。
     また、海水の鉛直混合を促進する構造について、その効果を今後も検討し、導入に努めること。
     
  6.  本埋立計画地の背後地域は、大気質について既に環境基準を超過している地点が多く、自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(平成4年6月3日法律第70号)に基づく特定地域であることから、工事実施中の大気環境への負荷が低減されるよう配慮すること。また、埋立地供用時においても大気環境への負荷が低減されるよう関係機関に要請すること。

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響評価課環境影響審査室
室  長:森谷   賢(内6231)
 審査官:曽宮 和夫(内6253)
 

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