報道発表資料

この記事を印刷
2001年06月29日
  • 地球環境

気候変動に関する非公式閣僚会合(概要と評価)

6月26、27及び28日、オランダ・ハーグ市内においてプロンクCOP6議長の主催により気候変動に関する非公式閣僚会合(26日は先進国のみの会合)が開催されたところ、概要以下の通り。(我が国政府代表団:川口環境大臣、朝海外務省地球環境問題等担当大使、今野経済産業審議官、浜中環境省地球環境局長他)
1.全体概要
 (1)  今次会合は、プロンク議長が、7月のCOP6再開会合に向けてどのように準備を進めるかにつき、再開会合の進め方を含め、各国からアドバイスを求めること、各国が再開会合に向けて行う準備のために、実質的な交渉事項に関する意見交換を行うことを目的として開催したもの。
 
(2)  実質的な交渉事項に関しての意見交換においては、議長統合テキスト(6月11日発表)を踏まえ、途上国支援関連事項、京都メカニズム、吸収源、遵守及び組織的事項について、各国が率直な意見交換を行った。
 
(3)  7月のCOP6再開会合の日程を次のとおり決定した。
7月19日(木)午後開会
19日(木)夜から22日(日)までハイレベルセグメント(閣僚級)
23日(月)から27日(金)まで補助機関会合を含む事務レベル協議
  (注: 上記に先立ち、16日(月)から19日(木)午前まで非公式協議が開催される)
 
2.我が国の発言
  今次会合において、我が国より以下の諸点を発言した。
 (1)  我が国は、2002年までの京都議定書の発効を目指して、京都議定書を関係国が締結することが可能となるよう、来月のCOP6再開会合の成功に向けて全力を尽くすことに変わりはない。その際には、最大の温室効果ガス排出国である米国の参加が極めて重要であり、米国に対し、京都議定書の発効に向けた交渉に建設的に参加するよう強く期待する。
 
(2)  地球規模での温室効果ガス削減の実効性を確保するためには、全ての国が一つの枠組みの下で行動し、「共通だが差異のある責任」に基づき、まず先進国が削減努力を進めることが不可欠である。
 
(3)  COP6再開会合に向けて、全ての国が柔軟かつ創造的になることが必要である。
 
(4)  各国が国内対策を実施することが重要であり、我が国は京都議定書の目標を達成するための国内制度に総力で取り組んでいる。
 
(5)  温暖化対策は、先進国が率先して取り組むとともに、途上国においてもそれぞれの能力に応じて取り組むことが重要。かかる観点から、我が国は人材育成、技術移転、資金協力等を引き続き実施している。
 
(6)  途上国が既に実施している温暖化対策を高く評価し、途上国が自発的な自国の温暖化対策をアピールすることを奨励したい。
 
(7)  我が国は、途上国に対する協力を今後とも積極的に継続する。
 
3.今後の予定
_  7月19日から27日までボンにおいてCOP6再開会合が開催される。また、プロンク議長より、ボン会合までの間も、各国・各グループが協議を続け、ボン会合の準備を行ってほしい旨の要請があった。
 
4.評価
 (1) 今回会合は、7月のCOP6再開会合(ボン会合)を2週間後に控え、主要な先進国、途上国の閣僚級が出席する重要な機会であったところ、米国も含め全ての国がボン会合に建設的に参加していく意思が表明された。
 
(2) 他方、COP6再開会合での交渉に向け、実質的な交渉事項について、率直な意見交換を通じ、多くの論点が出された。合意の成立までには、途上国に関する課題も含め、なお多くの課題が残されていることも改めて明らかになった。とりわけ、米国の動向に加え、途上国と先進国の間の意見の相違が表面化しており、昨年11月のハーグ会合の時点に比べ、交渉を巡る情勢がより困難になってきている。
 
(3) こうした状況を反映して、途上国も含めいくつかの国から、ボン会合での全面合意が困難であり、COP6再開会合では部分合意を目指し、残された事項はCOP7ないしはそれ以降において合意を図ることとしてはどうかとの発言もみられるようになっている。今後COP6再開会合に向け、具体的にどのような事項について如何にして合意を目指すのかにつき、各国及び各グループ間で検討が行われていくものと考えられる。
 
連絡先
環境省地球環境局地球温暖化対策課
課 長:竹内 恒夫(6770)
 温暖化国際対策推進室
 室 長:高橋 康夫(6772)