報道発表資料

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1997年02月04日

ベンゼン、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンによる大気の汚染に係る環境基準の告示について

環境庁は、平成8年10月18日及び12月18日の中央環境審議会答申を受け、ベンゼン、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンによる大気の汚染に係る環境基準について、2月4日付けで告示する。
 各物質の基準値は以下のとおりであり、今後は改正大気汚染防止法に基づき、本基準が確保されるようベンゼン、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンの排出抑制対策を推進していくこととしている。
ベンゼン  年平均値 0.003 mg/m以下
トリクロロエチレン  年平均値 0.2 mg/m以下
テトラクロロエチレン   年平均値 0.2 mg/m以下

1.経 緯
 
 中央環境審議会(会長;近藤次郎;元日本学術会議会長)は、平成7年9月20日付けで諮問された「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について」に対し、平成8年10月18日に第二次答申を、同年12月18日には第三次答申を行い、これらによりベンゼン、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンに係る大気環境基準設定に当たっての指針値が示された。
 環境庁ではこれを受けて、環境基本法第16条に基づく大気の汚染に係る環境基準を告示する。

2.告示の内容
 
 告示の内容は別紙のとおりである。
 大気環境基準はこれまでに5物質設定されているが、新たな基準の設定は昭和48年の二酸化窒素及び光化学オキシダントの基準設定以来のことであり、今般の告示により、計8物質について大気環境基準が設定されたこととなる。

3.今後の対応
 
 環境基準の設定に伴い、環境庁としては、改正大気汚染防止法に基づき、本基準が確保されるようベンゼン、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンの排出抑制対策を推進していくこととしている。


(別紙)

ベンゼン、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンによる大気の汚染に係る環境基準について


 環境基本法第16条第1項の規定によるベンゼン、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンによる大気の汚染に係る環境上の条件につき人の健康を保護する上で維持することが望ましい基準(以下「環境基準」という。)及びその達成期間は、次のとおりとする。

第1 環境基準
 1  ベンゼン、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンによる大気の汚染に係る環境基準は、別表の物質の欄に掲げる物質ごとに、同表の環境上の条件の欄に掲げるとおりとする。
 2  1の環境基準は、別表の物質の欄に掲げる物質ごとに、当該物質による大気の汚染の状況を的確に把握することができると認められる場所において、同表の測定方法の欄に掲げる方法により測定した場合における測定値によるものとする。
 3  1の環境基準は、工業専用地域、車道その他一般公衆が通常生活していない地域又は場所については、適用しない。
第2 達成期間
 ベンゼン、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンによる大気の汚染に係る環境基準は、継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれがある物質に係るものであることにかんがみ、将来にわたって人の健康に係る被害が未然に防止されるようにすることを旨として、その維持又は早期達成に努めるものとする。

別表

物質 環境上の条件 測定方法
ベンゼン 1年平均値が
0.003mg/m
以下であること。
キャニスター若しくは捕集管により採取した試料をガスクロマトグラフ質量分析計により測定する方法又はこれと同等以上の性能を有すると認められる方法
トリクロロエチレン 1年平均値が
0.2mg/m
以下であること。
キャニスター若しくは捕集管により採取した試料をガスクロマトグラフ質量分析計により測定する方法又はこれと同等以上の性能を有すると認められる方法
テトラクロロエチレン 1年平均値が
0.2mg/m
以下であること。
キャニスター若しくは捕集管により採取した試料をガスクロマトグラフ質量分析計により測定する方法又はこれと同等以上の性能を有すると認められる方法

(参考)従来の大気環境基準の概要

1.環境基準

物質 二酸化いおう 一酸化炭素 浮遊粒子状物質 光化学   
オキシダント
二酸化窒素





1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であり、かつ、1時間値が0.1ppm以下であること。 1時間値の1日平均値が10ppm以下であり、かつ、1時間値の8時間平均値が20ppm以下であること。 1時間値の1日平均値が0.10mg/m3以下であり、かつ、1時間値が0.20mg/m3以下であること。 1時間値が0.06ppm以下であること。 1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内又はそれ以下であること。



溶液導電率法又は紫外線蛍光法 非分散型赤外分光計を用いる方法 濾過捕集による重量濃度測定方法又はこの方法によって測定された重量濃度と直線的な関係を有する量が得られる光散乱法、圧電天びん若しくはベータ線吸収法 中性ヨウ化カリウム溶液を用いる吸光光度法若しくは電量法、紫外線吸収法又はエチレンを用いる化学発光法 ザルツマン試薬を用いる吸光光度法又はオゾンを用いる化学発光法
備考
 浮遊粒子状物質とは、大気中に浮遊する粒子状物質であって、その粒径が10μm以下のものをいう。
 光化学オキシダントとは、オゾン、パーオキシアセチルナイトレートその他の光化学反応により生成される酸化性物質(中性ヨウ化カリウム溶液からヨウ素を遊離するものに限り、二酸化窒素を除く。)をいう。


2.設定(改定)の経緯

昭和44年  硫黄酸化物
昭和45年  一酸化炭素
昭和47年  浮遊粒子状物質
昭和48年  二酸化窒素、光化学オキシダント
 二酸化硫黄(硫黄酸化物を改定)
昭和53年  二酸化窒素(改定)
連絡先
環境庁大気保全局企画課
課長  :櫻井 正人(6510)
 課長補佐:奥村 二郎(6514)