報道発表資料

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2001年06月18日
  • 総合政策

「第4回国連環境管理会計専門家会合(東京会合)」の概要について

平成13年6月5日から7日の3日間、東京において、国際連合持続可能開発部主催による第4回国連環境管理会計専門家会合が、環境省の協力の下に行われた。なお、本会合は、企業の環境会計の活用を促進するための政府の役割について検討している会合であり、世界各国から政府関係者や研究者が参加している。過去3回会合が行われてきたが、いずれも我が国からは環境省が参加してきたところである。
 環境会計はこれまで欧米を中心として行われてきたが、アジアにおいても環境会計に取り組む国が増えてきており、本会合がはじめて欧米以外の地域で行われるのにあたりアジア地域の東京で行われたことに大きな意義があった。また、本会合において、アジア太平洋地域における環境会計研究の情報交換ネットワークであるEMAN-AP(アジア太平洋環境管理会計ネットワーク)が新たに設立されることが歓迎され、今後アジアにおける環境会計への取組が拡大することも期待される。
1. 会 場
 
   ホテルフロラシオン青山(東京都港区南青山4-17-58)
 
2. 参加者
 
   日本(環境省、学識経験者)、海外16ヶ国(アメリカ、イギリス、イタリア、インドネシア、エジプト、オーストラリア、オーストリア、韓国、コロンビア、スウェーデン、チェコ、デンマーク、ドイツ、フィリピン、ポルトガル、マレイシア(うち、インドネシア、チェコ、マレイシア の3カ国は初参加))、その他2国際機関(国連大学高等研究所、国連環境計画(UNEP)大阪事務所)
 参加者のうち、政府関係者の出席は、アメリカ、イギリス、イタリア、スウェーデン、チェコ、デンマーク、コロンビア及び日本の8ヶ国。
 
3. 本会合の概要
 
   本会合は世界各国における環境会計に関する取組について情報交換を行うとともに環境会計の概念整理をしていく場である。今次会合は東京で開催され、アジア地域からも複数の専門家が参加し、アジア地域における取組について議論がなされるなど、今後の同地域における環境会計の議論の進展に向けて意義のある会合となった。
 
  (1) EMAN-APについて
     アジア地域において環境会計の普及に寄与しうるものとして、EMAN-AP(アジア太平洋環境管理会計ネットワーク Environmental Manegement Accounting Network-Asia Pacific)の設立に関するプレゼンテーションが行われ、新たにアジア地域の情報交換ネットワークが設立されることが会議の場で歓迎された。EMAN-APの設立はアジア地域における環境会計への取組の拡大や環境会計の標準化への取組を促進するきっかけとなりうるものであり、今後の活動が期待される。
 
    (参考)  EMAN-APとは、日本を始めとするアジア太平洋地域14カ国の環境会計の研究者から構成されるネットワークであり、環境管理会計、環境パフォーマンス指標、環境報告書、持続可能な金融というテーマにおける互いの研究成果に関する情報交換が基本活動。セミナーや共同研究、ニュースレターの発行などが当面の活動となる予定である。(今後、(財)地球環境戦略研究機関(IGES)関西センターは、環境省との緊密な連携の下にアジア太平洋地域内の調整拠点としてEMAN-APの活動に継続的に協力していくこととしており、第1回会合は、本年9月にIGES関西センターの協力により神戸で開催予定。)
 
  (2) 我が国の取組についてのプレゼンテーション
     各国の参加者よりそれぞれの国における環境会計の取組状況についてプレゼンテーションが行われた。環境省から我が国の取組について、以下の3点について特に強調したプレゼンテーションを行った。
    [1] 我が国の取組が、環境会計の内部機能のみならず外部機能にも言及したバランス の取れたものであることが、昨今の環境会計の急速な普及に寄与していること。
    [2] EMAN-APが新たに設立されたことを歓迎するなど、アジア地域における情 報交換が重要であること。
    [3] 今後の国連持続可能開発部の本会合における作業としては、過去の会合において 環境会計の概念整理が進んだことを踏まえ、参加各国もその適用可能性をケース スタディ等を通じて検討を進めていくことが重要であること。
 
     我が国のプレゼンテーションについて、参加者より我が国の取組が非常に進んでいること、環境会計情報を公開している企業が非常に多いこと等について高い評価がなされた。また、6月4日に行われた環境会計国際シンポジウムに360名もの参加者があったことについても、我が国における環境会計への関心の高さを示すものとして評価された。
 
  (3) 新しいワークブックの作成について
     本会合において、今後の専門家会合の作業として、環境会計の具体的活用方法に関する調査研究の一環として、以下の2つのテーマについて新たなワークブックが作成されることとなった。
    [1] 環境会計と金融分析とのリンクについて
       金融マーケットにおける環境問題の認識の現状、金融の分野における、持続可能性の評価ツールと意思決定ツール構築の可能性、金融商品のパフォーマンスとエコファンドの相関等実証分析を内容とするワークブック。
    [2] 環境投資の評価について
       企業内における環境投資に関する現状認識の整理、コスト評価手法、投資評価における確率計算、非金融要素の織り込みについて等を内容とするワークブック。
 
4. その他
 
   次回の第5回国連環境管理会計専門家会合は、2002年2月にイギリスのブリストルにて開催され、環境会計の促進における政府の役割の向上について議論される予定である。
連絡先
環境省総合環境政策局環境経済課
課 長 :三好 信俊(6260)
 補 佐 :田中 聡志(6265)
 担 当 :小林 俊  (6267)

環境省総合環境政策局総務課
調査官 :後藤 真一(6249)