報道発表資料

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2001年04月23日
  • 地球環境

気候変動に関する非公式閣僚会合(概要と評価)

21日、ニューヨークにおいてプロンクCOP6議長の主催により気候変動に関する非公式閣僚会合が開催されたところ、概要以下の通り(我が国政府代表団:川口環境大臣、朝海外務省地球環境問題等担当大使、今野経済産業審議官、浜中環境省地球環境局長他)。
1.全体概要
(1)  今次会合は、昨年11月のハーグ(蘭)におけるCOP6中断後に開催される初めての閣僚レベル会合であり、米新政権による京都議定書不支持表明等の最近の動きを踏まえた上で、現状認識及び今後の対応につき議論が行われた。今次会合には、我が国を含め40数ヶ国が参加した。
(2)  米国新政権の京都議定書不支持の表明に関しては、ほぼ全ての国から懸念が表明され、また、米国に対し、現在行われている気候変動に関する閣僚レベルの政策見直しの結果を早期に明らかにするよう要請があった。
(3)  ほぼ全ての参加国から、7月のボンにおけるCOP6再開会合において成功を収めるため全力で努力する旨の表明があったが、一部の参加国からは、努力してもどこまで達成可能かにつき慎重な見方も示された。
2.我が国発言
 今次会合において、我が国より以下の諸点を発言した。
(1)  京都議定書は、10年来の国際社会の努力により合意された、現在実現可能な唯一の国際的枠組みであり、我が国としては、京都議定書の2002年までの発効を目指してCOP6において合意を模索するとの方針に何ら変更はない。COP6再開会合において、我が国を含む関係国の合意が得られるよう、引き続き国際交渉に積極的に取り組むとともに、京都議定書の実施を可能にする国内制度に全力を尽くす所存。
(2)  最近の米国の京都議定書不支持表明については、今後の気候変動交渉に及ぼす影響を強く懸念。世界最大の温室効果ガス排出国である米国が京都議定書に参加することが環境十全性を確保する上で極めて重要。米国の参加なくして利益を得る国は一ヶ国もない。米国が京都議定書の枠内で、具体的な提案を早急にまとめ、京都議定書の発効に向けた交渉に前向きに参加して我々と議論を行い、COP6再開会合における合意を模索するよう求めたい。
(3)  温暖化対策は先進諸国が率先して取り組むとともに、途上国においてそれぞれ能力に従って取り組むことが重要。我が国としては、人材育成、技術移転、資金協力などにより、脆弱な国における適応措置や途上国の自主的な排出削減努力を引き続き支援していく。途上国の自主的努力を評価する。
(4)  プロンク議長ペーパーの改訂版については、議長の評価を多とするが、不十分な点が多い。これまでの議論の進展が反映されておらず、米国が交渉に戻れる環境を作る観点からも、より良い協議のベースがありうるのではないか。特に、京都議定書に含まれている市場メカニズム等の柔軟性措置に種々の制約が課されていることが問題であり、市場メカニズムを活用したより実効的な対策を可能とすべき。この問題を解決することが米国参加のインセンティブにもなる。また、市場メカニズムを活用した対策を進めることは環境十全性にも資する。
3.今後の予定
 7月16日から27日までボンにおいてCOP6再開会合が開催される予定。また、プロンク議長より、5月下旬にストックホルムにおいて、今回同様の非公式会合(参加国は制限せず)を開催する、6月にはブラケットなしの新たな交渉テキストを各国に配布すると述べるとともに、それまでに各グループ相互間(環境大臣のみならず、外務大臣や首脳レベル)の協議も進めて欲しいとの要請があった。
4.評価
(1)  今次会合は何らかの結論を出すことではなく、率直な意見交換を行うことが主眼であったところ、各国より、今後の対応につき様々な知恵が出されたとの意味では、一定の成果があった。
(2)  我が国の主張した京都議定書の2002年までの発効、我が国を含む関係国として合意可能なかつ実施可能なルール作り、米の京都議定書への参加を目指すべきとの認識については、参加国の間で広く共感が得られた。
(了)
連絡先
環境省地球環境局地球温暖化対策課
課 長:竹内 恒夫(6770)
 温暖化国際対策推進室
 室 長:高橋 康夫(6772)
 補 佐:関谷 毅史(6773)
 担 当:大倉 紀彰(6775)