報道発表資料

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1997年01月31日

ナホトカ号油流出事故に係る環境影響調査の概要について

環境庁は、ナホトカ号油流出事故に係る環境影響について、今後、関係省庁と連携しつつ段階的、継続的に調査を実施するため、水質・底質、魚介類及び大気の汚染状況、並びに景観、海域・海浜生物及び海鳥類への影響について、当面、以下の調査を実施する。
 今後、調査の内容等詳細につき、関係地方公共団体、関係機関等との調整を経た上で、早急に着手することとしている。
 このうち、一部の調査については、環境基本計画推進調査費を使用して実施する(別資料参照)。       
  • 水質・底質の油汚染状況の調査

       調査目的:8府県に及ぶ沿岸が油で汚染され、海域の水質汚濁が懸念されている  ことから、油汚染海域の水質及び底質について油汚染状況を調査し、水質及び底質環境への影響を把握する。

       調査内容:油汚染が考えられる8府県の海域(主な環境基準点及び重油漂着海岸付近)数十地点において、水質及び底質の油分、重油含有成分等について分析する。

            ○分析項目:油分、重油含有成分(多環芳香族炭化水素等)、

                     環境基準健康項目、環境基準生活環境項目等

                            (担当:水質保全局水質規制課)

       

  • 魚介類中の重油含有成分等の調査

       調査目的:油汚染海域の魚介類の重油含有成分等の残留状況を把握する。

       調査内容:油汚染が考えられる8府県の海域数地点において、魚介類を採取し、重油含 有成分等の濃度を分析する。

            ○分析項目:多環芳香族炭化水素、有機硫黄化合物等

                            (担当:環境保健部環境安全課)

       

  • 油による大気汚染状況の調査

       調査目的:重油漂着の量が多いとみられる地域において、重油含有成分の大気環境濃度を測定、重油漂着による大気汚染の程度を把握する。

       調査内容:主な油漂着海岸周辺において、重油含有成分の大気環境濃度を測定する。

            ○分析項目:揮発性有機化合物、多環芳香族炭化水素、油ミスト等

                            (担当:大気保全局大気規制課)

       

  • 景観及び海域・海浜生物への影響調査

       調査目的:国立・国定公園区域等の自然保護上重要な地区において、油汚染の状況や海域・海浜生物への影響等を把握する。
調査内容 以下のような地区で被害状況の把握及び被害対策の検討を行う。
 1) 国立・国定公園の海中公園地区
2) 特別保護地区その他の国立・国定公園の重要な地区
3) 集団施設地区や主要な海水浴場等国立・国定公園の利用上重要な地区
4) 特定植物群落等生物の重要な生息地
5) 過去の海域生物調査(自然環境保全基礎調査)の実施地点
調査手法 潜水調査(海中公園地区)及び踏査により、被害動植物の把握、被害状況の図化等を行う。
                              (担当:自然保護局計画課)


  • 海鳥類への影響調査

       調査目的:海鳥への影響は広範囲に広がっているため、被害を受けた海鳥の種それぞれへの被害の程度を把握し、被害対策を検討するとともに、被害個体を分析することにより、同様の事故が生じた際の海鳥類の救護手法を確立させる。
調査内容及び手法 1) 標本の識別、被害発生の地域的、時系列的整理を行い、必要に応じ補完調査を実施し、海鳥類各種への被害規模を推定する。
2) 繁殖期の繁殖状況を調査する。
3) 病理解剖等により被害個体を分析する。
                          (担当:自然保護局鳥獣保護業務室)

       

  • 流出油の成分の特定、環境動態の解明のための研究

       流出油の化学組成の分析により、環境汚染の原因となる物質の特定を行うとともに、流出油の水圏、大気圏、生物圏における環境動態を把握するための研究を行う。

                               (担当:国立環境研究所)

別添

      ┌――――――――――――――――――┐             
    ┌―┤水質・底質の油汚染状況の調査    |             
    | |                  |        ┌―――┐
    | |◇詳細調査(汚染海域2地点)    |        | 環 |
┌―┐ | |                  |        | 境 |
|環| | |○概括的調査(8府県)       |        | 影 |
|境| | └――――――――――――――――――┘        | 響 |
|汚| |                             | の |
|染| | ┌――――――――――――――――――┐        | 回 |
|状| ├―┤魚介類中の重油含有成分等の調査   |        | 復 |
|況| | |                  |        | 状 |
|の├―┤ |◇詳細調査(汚染海域2地点)    |        | 況 |
|概| | |                  |        | の |
|況| | |○概括的調査(8府県)       |   ┌――┐ | 追 |
|把| | └――――――――――――――――――┘   | 環 | | 跡 |
|握| |                        |  | └―――┘
└―┘ | ┌――――――――――――――――――┐   | 境 |      
    ├―┤油による大気汚染状況の調査     |   |  |      
    | |                  |   | 影 |      
    | └――――――――――――――――――┘   |  |      
    |                        | 響 |      
    | ┌――――――――――――――――――┐   |  |      
    └―┤◆油中の有害成分の特定、環境動態等に|   | 評 |      
      | 関する研究            |   |  |      
      └――――――――――――――――――┘   | 価 | ┌―――┐
                             └――┘ | 復 |
      ┌――――――――――――――――――┐        | 元 |
┌―┐ ┌―┤景観及び海域・海浜生物への影響調査 |        | ・ |
|被| | |                  |        | 修 |
|害| | |◇緊急調査(海中公園地区等)    |        | 復 |
|状| | |                  |        | 対 |
|況| | |○補完調査(その他自然保護上重要地区)|        | 策 |
|の├―┤ └――――――――――――――――――┘        | の |
|概| |                             | 実 |
|況| | ┌――――――――――――――――――┐        | 施 |
|把| └―┤海鳥類への影響調査         |        └―――┘
|握|   |                  |             
└―┘   |◇海鳥の被害規模の推定       |             
      |                  |             
      |○繁殖地での影響調査        |             
      └――――――――――――――――――┘             

注:◇は、平成8年度環境基本計画推進調査費(緊急分)環境庁要求分   ◆は、平成8年度科学技術振興調整費環境庁要求分

連絡先
環境庁水質保全局水質規制課
課長 畑野  浩   (内線6640)
 補佐 志々目 友博 (内線6645)
    牛谷 勝則  (内線6643)

環境庁企画調整局環境保健部環境安全課
課長  中島 正治 (内線6350)
 補佐  牧谷 邦昭 (内線6357)
 専門官 尾崎 福栄 (内線6355)

環境庁大気保全局大気規制課
課長  飯島 孝  (内線6530)
 補佐  石飛 博之 (内線6537)

環境庁自然保護局計画課
課  長 鹿野 久男 (内線6430)
 補  佐 上杉 哲郎 (内線6432)

環境庁自然保護局野生生物課鳥獣保護業務室
室  長 守口 典行 (内線6470)
 補  佐 吉井 雅彦 (内線6471)
 専門官 水谷 知生 (内線6472)