報道発表資料

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2001年03月05日
  • 地球環境

G8環境大臣会合の結果について

3月2日(金)から4日(日)まで、イタリア・トリエステにおいて、G8環境大臣会合が開催された。
 今回の会合では、我が国からは沓掛環境副大臣が出席し、「気候変動」、「リオ+10に向けた持続可能な開発」、「環境と健康」等の国際社会が直面する主要な環境問題について議論が行われ、その成果がコミュニケとして取りまとめられた。
 本会合の成果は本年7月に開催予定のジェノアサミットの議長に報告される予定。
  1. 概 要
      
    (1) 日 時 平成13年(2001年)3月2日(金)~4日(日)
    (2) 場 所 イタリア・トリエステ
    (3) 出席者  
     
    日 本
    カナダ
    フランス
    ドイツ
    イタリア(議長国)
    ロシア
    英 国
    米 国
    欧州委員会
    沓掛哲男 環境副大臣
    デイビッド・アンダーソン 環境大臣
    ローラン・チュビアナ 首相府顧問
    ユルゲン・トリッティン 連邦環境・自然保護・原子力安全大臣
    ウィラー・ボルドン 環境大臣
    B・A・ヤツケビッチ 天然資源大臣
    マイケル・ミーチャー 環境担当閣外大臣
    クリスティン・ホイットマン 環境保護庁長官
    マルゴット・ヴァルストロム 環境担当委員
     
        なお、国連環境計画からテプファー事務局長、また、国連気候変動枠組条約第6回締約国会議(UNFCCC/COP6)の議長としてプロンク蘭住宅・国土・環境大臣が一部セッションに出席した。
      
  2. 会合の総括
     
    (1)  G8各国の環境担当大臣及び欧州委員会環境担当委員は、3日間にわたり気候変動、リオ+10に向けた持続可能な開発及び環境と健康の3点につき議論を行い、その主要な成果は、コミュニケとして取りまとめられた。コミュニケの概要は次項を、コミュニケ(英文)及び和文仮訳については別紙を参考のこと。
    (2)  特に気候変動問題については、米国も含め、問題の深刻さを十分認識し国際社会による取組の重要性を改めて指摘の上、7月にボンで開催されることとなったCOP6再開会合において、京都議定書の実効性を確保するための合意がなされるよう努力すべきことで一致した。
    (3)  沓掛副大臣よりは、気候変動問題について、京都議定書が2002年までに発効できるようCOP6再開会合の成功にむけG8各国が取り組むこと、とりわけ、米国に対し京都議定書を発効させるために必要な合意に向けた交渉に参加することを呼びかけた。またリオ+10に向けた持続可能な開発に関して、2002年に開催されるリオ+10(持続可能な開発に関する世界サミット)の成功に向け、準備過程から各主体が参加することが重要であることを指摘する一方、リオ+10に対するアジア太平洋地域からの貢献として、我が国川口環境大臣の提唱による持続可能な発展の新たなモデルを模索する「有識者会議」を発足しリオ+10にむけ提言をすることを紹介した。
      
  3. コミュニケの概要
     
    新たな千年期を始めるにあたり、短期的・長期的な行動を伴って持続可能な開発が達成できるよう、複雑な地球環境に関する諸課題を評価しなければならない。我々の惑星における環境上の脅威に対する強い懸念を共有する。我々はこれら課題に積極的に取り組んで責任が果たせるよう、リーダーシップを発揮しなければならない。
     
    I. 気候変動
    A. 気候変動の課題に対処するための時宜を得たグローバルな取組の促進
    IPCC評価報告書による新たな知見によって事態の深刻さに懸念を表明し、未解決な政治的課題に関してCOP6再開会合で合意を成し遂げるべく力を尽くすこと及び、京都議定書の環境十全性(environmental integrity)を費用効果に優れた方法で確保することを約束する。COP6再開会合での成功は京都議定書の早期発効を可能にするために必要である。ほとんどの国にとってこれは遅くとも2002年までを意味し、時宜を得た批准手続を伴う。
    COP6再開会合における決定の基礎固めのため、吸収源、京都メカニズムや遵守といった課題の継続した協議の重要性を認識。
    本分野での途上国の取組を歓迎し、その取組を支援するために対処能力向上、技術移転及びCDMの重要性を認識。また、小島嶼国及び最貧国への気候変動への適応対策に対する支援を継続する必要性を認識。
    B. 国内対策の強化
    強力な国内対策を講じることを約束するとともに、京都メカニズムは国内対策を補完するものであることを確認。
    気候変動に効果的に対処するため、市場メカニズムの活用及び民間部門の役割の重要性を強調。
     
    II. 2002年ヨハネスブルグに向けた持続可能な開発
     2002年のWSSDに向けた準備
    2002年の持続可能な開発に関する世界サミット(WSSD)は、これまでの進展を評価し、持続可能な開発を達成するうえでの新たな課題を明らかにする機会。グローバリゼーションが全ての人々の利益となるよう持続可能な開発を促進する方策を見出すべき。
    民間セクター、市場に基礎を置いたアプローチや国際的な資金の活用を通じた各国間のパートナーシップの重要な役割を確認。G8諸国は、持続可能でない生産・消費の形態を変えるためにリーダーシップを発揮することを約束する。
     環境ガバナンスと環境政策の他分野の政策への統合
    21世紀の諸課題に対応し、地球環境に関する国際協定を実施するため環境カバナンスの強化が重要。国際的な環境管理におけるUNEPの調整機能、条約間や条約事務局間の協力体制などを改善する必要性を強調。国際環境ガバナンスに関するオープンエンディッドな(参加を制限しない)政府間会合設立に関するUNEP管理理事会決定を歓迎。
    国際環境ガバナンスの強化は、既存の組織、とりわけ新たな必要性に適応することを目指しつつ、ナイロビを本拠とするUNEPに基礎を置くべき。
    環境条約違反による深刻な環境影響を認識し、UNEPや「環境犯罪に関するリヨングループ法執行プロジェクト」の取組を高く評価。
    生物多様性保全のためのあらゆるレベルでの国際協力の重要性を強調し、生物多様性の保全とその構成要素の持続可能な利用の規制に関する政策、法制、指針、予算措置等の対策を改善することを各国に推奨。
     輸出信用機関のための環境ガイドライン
    投資判断における環境上の配慮をより強力に統合すべく、輸出信用機関のための共通で拘束力のある環境指針を早急に策定・実施するとの国際社会の強力かつ効果的な約束を通じて、輸出信用機関の持続可能な開発への貢献の可能性を高めることが必要。
    2001年7月のサミットまでに輸出信用機関のための共通の環境指針を策定するとのケルン及び沖縄でのG8首脳による約束を守るための特段の努力を促す。
     
    III. 環境と健康
    環境への悪影響を軽減し人間の健康へのリスクに対処するため、環境と開発に関するリオ宣言第15原則で述べられている予防的アプローチに基づく政策を展開すべき。途上国と経済移行国における水質の改善、安全な飲料水確保、衛生管理が環境協力の優先的課題と認識されるべき。また、特に大都市部における大気質の改善はG8及び他の諸国にとって引き続き重要課題。
    環境と健康の問題に対処するため、各国でも国際的にも環境政策と健康政策が連携して取り組む必要性を強調。
    POPs条約への署名と早期発効に加え難分解性の極めて有害な物質の使用による健康と環境への影響の軽減に向け一層努力。各国間で調和したPRTR制度を国際的に推進することを約束。
     子供と他の特に脆弱な集団の環境保健
    子供、老人、妊婦といった特に影響を受けやすい人々や貧困のため深刻な疾病を患っている集団などの健康保護への注意を喚起。この点1997年のG8環境大臣会合で出された子供の健康と環境に関する宣言で述べられた原則などを重視。
     
    IV. アフガニスタンにおける全ての彫像・寺院の破壊に関するタリバーンの布告
    自然及び人間システムの多様性は持続可能な開発の核であることを想起し、アフガニスタンにおける全ての彫像・寺院の破壊を命じたタリバーンの布告に失望とショックを表明する。タリバーンに対しこの悲劇的な決定を実行しないように強く求め、これに関するUNESCOの努力を支持する。アフガニスタンの豊かな文化的遺産はアフガニスタンの人々のみならず世界全体にとっても重要である。
     
      以上
連絡先
環境省地球環境局総務課
課  長:寺田 達志(6710)
 調査官:星野 一昭(6720)
 補  佐:島田 幸司(6721)