報道発表資料

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2001年02月02日
  • 自然環境

日米ハマシギ共同調査の中間結果について

日米両国政府は、アラスカ北部と東アジアを行き来するハマシギの生態や渡りのルートについて解明するため、平成11年より共同で調査をしています。
 今般、アラスカで標識(レッグフラッグ)を装着されたハマシギが、約6000キロメートル離れた東京湾の谷津干潟(千葉県)、三番瀬(千葉県)及び多摩川河口(神奈川県)において確認、報告されたのでお知らせします。
1.経緯
 ハマシギは、1980年代までは日本で越冬する最も普通のシギ・チドリ類の1種でしたが、近年、日本国内に渡来する個体数が著しく減少しているといわれています。その原因を解明し、保全策を検討するためには、繁殖地と越冬地、及び渡りの中継地と経路を調査し、その生態を把握することが課題となっています。
 このため、平成11年2月、日本国環境庁(現環境省)と米国内務省野生生物局との間で、アラスカ北部で繁殖し、東アジアで越冬するハマシギの1亜種(Calidrisalpina arcticola)の渡りに関する標識(レッグフラッグ)調査を共同で実施することが合意されました。


2.調査の内容及び結果
(1) 繁殖地における標識調査
 平成11年8月及び平成12年7-8月、米国アラスカ州ノーススロープのコ ルヴィル川河口及びポイントバローにおいて、日本側の専門家も参加して、ハマ シギ(C.a.arcticola)約50羽に以下の標識を装着し、放鳥を行いました。
     左足すね:緑色フラッグ
     右足ふしょ:水色リング及びメタルリング
 
(2) 越冬地における観察結果
 平成12年12月23日、谷津干潟(千葉県)で千葉県在住の石川勉氏により確認されたのをはじめとして、平成13年1月5日には、多摩川河口(神奈川県)、1月14日には三番瀬(千葉県)において、上記共同調査によってアラスカで標識を装着されたハマシギの個体が各1羽ずつ観察されました。
 約50羽という少数の放鳥個体が再確認されることは、大変稀なことであるとともに、今回の確認によって、アラスカ北部で繁殖するハマシギ個体群の生息にとって、東京湾を含むわが国の干潟や湿地が深い関わりを有していることが示唆され、今後のハマシギ等のシギ・チドリ類の保護に向けて各国が協力していくための貴重なデータとして注目されます。

 
3.レッグフラッグ観察協力のお願い
 今後、さらに多くの観察情報を集めることが望まれています。レッグフラッグは、装着地点ごとにあらかじめその色や装着部位が決められており、双眼鏡や望遠鏡を使えば、遠くにいる鳥でも観察が可能です。レッグフラッグを装着した鳥を観察した場合には、是非その情報を以下までお寄せ下さい。
 あて先:山階鳥類研究所標識研究室
      〒270-1145 千葉県我孫子市高野山115
      ファックス:0471-82-4342
連絡先
環境省自然環境局野生生物課
課 長  森 康二郎(6460)
 担 当  中島 尚子(6464)