報道発表資料

この記事を印刷
1998年05月25日

21世紀に向けた環境ラベルの在り方に関する検討会中間とりまとめ「環境保全型製品における環境情報表示の今後のあり方について」

平成9年11月に環境庁企画調整局に設置された「21世紀に向けた環境ラベルの在り方に関する検討会」(座長:後藤典弘国立環境研究所社会システム部長)は、環境保全型製品に おいて提供されるべき環境情報の在り方について検討を行い、中間とりまとめを行った。中間とりまとめに盛り込まれている具体的な提言は、以下のとおりである。

{1}  現行のエコマーク制度は、シンボルマークに全ての情報が集約されていることから、商品に関する情報提供が十分ではないという制約がある。これを解決するためには、エ コマークの認定基準として環境情報データシート(下記参照)の公開を求めるなど、エコマーク制度に環境情報データシートを盛り込むことが必要。
 その際、例えば、ある製品についてプロトタイプとして先行的に環境情報データシートを盛り込むことを試行し、消費者や製造事業者等の関係者の意見を聞きながら、制度の定着を図っていくことも重要。
{2}  また、このような新しいエコマークは、海外諸国の環境ラベルとの間で相互認証を早期に推進することも必要。
{3}  特定の製品について製造事業者等が環境保全型であることを自己主張する場合については、ISOにおける環境自己主張に関する国際規格の検討を踏まえ、透明性や信頼性の高い仕組みを検討することが必要。
 また、環境自己主張において環境情報データシートの公表を実行していくことが必要であり、そのための仕組みを今後検討することも重要。
{4}  さらに、環境保全型製品にとどまらず、環境に相当程度の負荷を与えるような製品についても、消費者や製造事業者等関係者の意見が適切に反映され、透明性、信頼性の高い形で環境情報を提供する仕組みについて、今後検討することが望まれる。

中間とりまとめの概要は以下のとおりである。

1.環境ラベルをめぐる現状

(1) 環境保全型製品の利用の促進
 環境情報の提供手段として、(財)日本環境協会が実施しているエコマークに代表される環境ラベルや、企業等による環境広告(環境自己主張)などがある。
 特に、エコラベル制度については、既に国の環境政策の重要な手段として位置づけられ、環境基本法に基づき閣議決定された「環境基本計画」(平成6年12月) を踏まえ、環境庁においてエコマーク制度への指導・助言が行われている。
(2) ISOにおける環境ラベルの国際標準化の動き
 ISOでは、環境ラベルに関する一般原則について国際規格の制定の検討が行われるとともに、環境ラベルをタイプ1(第三者が一定の基準に基づいて製品を認定するラベル)、 タイプ2(製品・サービスの環境側面に関する広告、表示等の自己主張)、タイプ3(数量化された環境情報表示環境ラベル)の3つのタイプに分けて議論が行われている。
 タイプ1及びタイプ2については、今年中にも国際規格化する予定であるが、タイプ3については、本年6月に開催されるISO/TC207総会で、国際規格化するためのWD(Working Draft)を作成するか、国際規格化を一旦停止し、テクニカル・レポートとするかが決定される予定である。
(3) 第三者認証ラベルについての国際的連携
 世界のエコラベルの実施機関がデータベースの整備、情報交換、国際機関や社会へのアピール、エコラベル基準の国際的調和に向けた検討等を行うために、1994年11月にGEN- 世界エコラベリングネットワーク-が結成された。
(4) 環境保全型製品に関するその他の動き
 {1} グリーン購入ネットワーク
 {2} 物品等の環境負荷の少ない仕様、材質等に関する推奨リスト

2.環境保全型製品における環境情報表示の在り方

(1) 総合的かつ信頼性の高い環境情報の提供の必要性
(2)

環境保全型製品における望ましい環境情報提供の在り方

環境情報提供の目的
 環境保全型製品における信頼性及び透明性の高い、より広範な環境情報を提供することにより、消費者の主体的かつ合理的な意志決定及び行動を支援あるいは誘導すること、さ らにはこれを通じて環境保全型製品のより一層の普及・拡大を図ること等を目的とする。
 また、商品の環境性能等に関する数量化された情報を提供することにより、消費者(購入者)が自らの製品の購入・使用に伴い直接・間接に発生させる環境負荷量を把握するこ とが出来るとともに、その低減の数値目標を設定することも可能となると考えられる。
情報の受け手
 一般の消費者を対象とする。
 なお、現時点においては、より高度な判断をしようとする者(グリーン購入の担当者、消費者団体のリーダー等)を主要な情報の受け手と考え、これへの対応を図る。
情報提供の方法
 消費者が入手できる商品情報は3段階存在する。第1に商品を購入する際、商品の包装、梱包を開かずに入手できる情報(パンフレット、エコマーク等)、第2に商品を購入し、 商品の包装、梱包を開いて入手できる情報(仕様書等)、第3に消費者が製造事業者、流通事業者等に請求して入手できる情報である。提供すべき環境情報の範囲はこれら3段階によって異なるものであり、情報提供の方法も 3段階に合わせて、製品そのものへの表示だけでなく、仕様書、取扱説明書などでの表示及び消費者からの求めに応じ提供する情報も含める。
提供すべき情報の内容
 製品のライフサイクルを考慮した定量的な情報だけでなく、その製品の原材料、製品に含まれている物質、製品を廃棄する際の方法・注意点などの記述的情報及び情報源情報も含 む。さらに、これらの情報の信頼性を担保する方法として、測定方法、分析方法の明示の義務化や情報の第三者による検証などが考えられる。
情報提供のルール
 情報提供の方法は、ISO14020の一般原則及び14021に即していなければならず、提供した情報に関する問い合わせ等については、製造事業者等は迅速かつ誠実に対 応することが望まれる。また、製品のライフサイクルに係る定量的情報は、ISO14040~14043に定めるLCAの手続に準拠していなければならない。
環境情報データシートのあり方
上記の「3 情報提供の方法」における、第1段階(商品を購入する際、商品の包装、梱包を開かずに入手できる情報)ないしは第2段階(商品を購入し、商品の包装、梱包を開 いて入手できる情報)の時点で、製造事業者等が各製品ごとに提供すべき環境情報としては、下記の環境情報の項目、事項(「環境情報データシート」)が考えられる。製造事業 者等は、商品のパンフレット等若しくは取扱説明書等にこの環境情報データシートを記載し、確実に消費者に情報提供することが必要である。

【環境情報データシート】

1)製品を構成する主要原材料及び部材等に関する情報

 {1}

必ず提供すべき情報

  • 主要原材料の種類、重量及び割合
  • 主要部材の種類、重量及び割合
  • 主要原材料及び部材等で再生原料を使用している場合は、その割合(再生原料の発生源に関する情報を含む)
  • 製品の使用及び廃棄(焼却を含む)等に当たって問題となるおそれのある化学物質を含んでいる場合はこれに係る情報(取り扱う化学物質は、PRTRにおいて対象となると想定される物質)
 {2}

可能な範囲(正確な情報の収集が可能であった場合)で提供すべき情報

  • 主要原材料及び部材等でヴァージン原料を使用している場合は、その割合(原料採取の場所及び原料採取地域の状況に関する情報を含む)

2)製品の基本仕様及びパフォーマンス等に関する情報

 {1}

必ず提供すべき情報

  • 製品の一般的規格
  • 外形寸法、重量等
  • 使用時にエネルギーを消費する製品にあっては、その消費エネルギー量及び使用時の単位当たりの二酸化炭素排出量等(当面、省エネルギー性能の表示は省エネルギー法の対象となっている製品を想定し、その表示のあり方は、これらの制度に準拠する、二酸化炭素排出量は単位当たりのkg-cとする)
  • 製品を修理等する場合の方法、アフターサービス等に関する情報製品が使用済みになった場合のリサイクルもしくは廃棄方法に関する情報(リサイクル設計、解体時間、処理・リサイクル費用等に関する情報を含むこととし、当面、リサイクル法の対象製品及び廃棄物処理法に基づき適正処理困難物として指定されている製品等を想定し、その表示のあり方は、これらの制度に準拠する)

3)製品の製造に関する情報

 {1}

必ず提供すべき情報

  • 当該製品を製造する事業所の製造工程における製品単位当たりの二酸化炭素排出量(kg-c/単位)または化石燃料使用量(Mcal/単位)及び電気使用量(kwh/単位)並びに物排出量(kg/単位)(データの範囲の計算方法等を併記する
 {2}

可能な範囲で提供すべき情報

  • 当該製品の製造における製品単位当たりの水使用量(m3/単位)、大気汚染物質排出量(NOX、SOX等:kg/単位)、水質汚濁物質排出量(BOD、COD等:kg/単位)
  • 当該製品のライフサイクル全体(あるいはデータ収集可能なステージ)の製品単位当たりの上記のデータ
  • 製品の製造に当たり使用する化学物質に関する情報(取り扱う化学物質は、PRTRにおいて対象となると想定される物質

4)その他提供が望ましい環境に関連する情報

  • 当該製品の製造事業所が、環境活動評価プログラムに参加もしくはISO14001の認証を取得している場合など、適切な環境マネジメントを構築 している場合は、その旨を記述する。
  • 当該製品がエコマーク、ブルーエンジェル等環境ラベル、エナジースターなど環境に関連するマークなどを取得している場合は、その旨を記述する。
  • 当該製品の製造事業所等(本社を含む)が環境報告書等を作成、公表している場合は、その旨を記述する。

3.提言

◆現行のエコマーク制度は、シンボルマークに全ての情報が集約されていることから、 商品に関する情報提供が十分ではないという制約がある。これを解決するためには、エコマークの認定基準として環境情報データシート(下記参照)の公開を求めるなど、エコマーク制度に環境情報データシートを盛り込むことが必要。その際、例えば、ある製品についてプロトタイプとして先行的に環境情報データシートを盛り込むことを試行し、消費者や製造事業者等の関係者の意見を聞きながら、制度の定 着を図っていくことも重要。
◆また、このような新しいエコマークは、海外諸国の環境ラベルとの間で相互認証を早期に推進することも必要。
◆特定の製品について製造事業者等が環境保全型であることを自己主張する場合につい ては、ISOにおける環境自己主張に関する国際規格の検討を踏まえ、透明性や信頼性の高い仕組みを検討することが必要。また、環境自己主張において環境情報データシートの公表を実行していくことが必要 であり、そのための仕組みを今後検討することも重要。
◆さらに、環境保全型製品にとどまらず、環境に相当程度の負荷を与えるような製品についても、消費者や製造事業者等関係者の意見が適切に反映され、透明性、信頼性の高い 形で環境情報を提供する仕組みについて、今後検討することが望まれる。

添付資料

連絡先
環境庁企画調整局企画調整課環境保全活動推進室
室   長 :伊藤哲夫(6198)
 室長補佐 :唐木徳子(6263)
 担   当 :荒川幸一(6267)

Adobe Readerのダウンロード

PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Readerが必要です。Adobe Reader(無償)をダウンロードしてご利用ください。