報道発表資料

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1998年05月25日

UNEPグローバル500賞の受賞について

国際的な環境功労者(団体)の表彰制度である国連環境計画(UNEP)のグローバ ル500賞の1998年の受賞者が25日発表された。本年は、19カ国から23の個人又は 体が受賞し、6月5日の「世界環境デー」にモスクワで行われる世界環境デー式典 の中で表彰される予定である。
 我が国からは、後藤康男・安田火災海上保険(株)会長が受賞した。

1.国連環境計画(UNEP)
 国連環境計画(UNEP、本部:ナイロビ)は、既存の国連諸機関が実施している環境に関 する活動を総合的に調整管理するとともに、国連諸機関が着手していない環境問題に関して国際協力を進めていくことを目的として、1972年の国連決議により発足した国連の機関 で、地球監視、人間居住と環境、森林保全、砂漠化防止、野生生物保護、環境と開発、海 洋、エネルギー等の広範な分野において幅広く活動している。
 なお、1992年10月には、開発途上国等への環境上健全な技術の移転を目的としたUNEPの機関である国際環境技術センター(UNEP/IETC)が大阪府及び滋賀県に開設されている。

2.グローバル500賞
 グローバル500賞は、UNEPが、持続可能な開発の基盤である環境の保護及び改善に功績のあった個人又は団体を表彰する制度である。当初、1987年から1991年までの5年間に、約500の個人/団体を表彰する計画であったことから、グローバル500賞と呼ばれたが、こ の表彰制度は1992年以降も継続されている。

3.本年の受賞者
 本年は、19カ国から23の個人又は団体がこの賞を受賞したが(参考1)、我が国からは後藤康男・安田火災海上保険(株)会長が選ばれ受賞した(参考2、3、4)。
 授賞式は、UNEP、モスクワ市及びロシアの共催で開催される世界環境デーの式典の一環 として、6月5日(金)にモスクワで行われる予定である。

参考1 1998年グローバル500賞受賞者リスト(UNEP発表資料より転載)

 

成人部門 (ADULT CATEGORY)
 
Aga Akbar Afghanistan
Mike Anane Ghana
Stephen O. Andersen United States of America
Melih Boydak Turkey
Valery Demianenko Ukraine
Sylvia Earle United States of America
Yasuo Goto Japan
Greening Australia Australia
Jae-Bum Kim Republic of Korea
Feodor Konyukhov Russian Federation
Yuri Mikhailovich Luzhkov Russian Federation
Yongshun Ma People's Republic of China
Anne Mearns Republic of South Africa
Don Merton New Zealand
Zygfryd Nowak Poland
Oeuvre de Bienfaisance pour Haiti Haiti
Yiannakis D. Potamitis Cyprus

青少年部門 (YOUTH CATEGORY)  
P. B. K. L. Agyirey-Kwakye Ghana
Ecole Propre/Ecole Verte
Guinea Hellenic Marine EnvironmentProtection Association (HELMEPA) Greece
Leave It To Us Junior Board United Kingdom
Akima Paul Grenada
Red Scarf Environmental Protection Action Group People's Republic of China

参考2 後藤康男氏略歴
 大正12年(1923年)3月6日、愛媛県松山市生まれ(75歳)。法政大学経済学部経済学 科卒業。昭和23年(1948年)6月に安田火災海上保険(株)入社後、社長室長、副社長、 社長を経て平成5年(1993年)4月に会長に就任、現在に至る。この間、経団連、日経連 、日本損害保険協会の要職を歴任。昭和63年(1988年)11月、藍綬褒章受章。
 環境関係では、平成4年(1992年)3月に地球環境賢人会議(現地球環境行動会議(GE A))委員に就任したのをはじめ、経団連自然保護基金運営協議会、環境事業団地球環境 基金運営委員会、(社)日本ナショナルトラスト協会、(財)国立公園協会、(社)国際 善隣協会、日米コモン・アジェンダ円卓会議、(財)オイスカ、(財)日本野鳥の会、( 財)公害対策協力財団、(財)世界自然保護基金日本委員会、(財)地球環境戦略研究機 関の要職に就任。

参考3 後藤康男氏の受賞理由(UNEP発表資料から抄訳)
 後藤康男氏は、安田火災海上保険(株)会長であり、環境を常に自社のポリシーに組み 入れるビジネス・リーダーである。1993年以来、同社がNGOと協力して開催している「市 民のための環境公開講座」は、3000人以上の市民が受講している。また、同社は、環境マ ネジメントシステムを活用し、省資源活動に熱心に取り組んでいる。1997年11月、そのコ ンピューターセンターは、日本の金融機関として初めてISO14001の認証を取得し、現在で は他の組織にも認証を受けるためのノウハウを提供している。
 後藤氏は、1992年、1000社を超える企業が加盟する経済団体連合会(経団連)代表団の 団長として地球サミットに出席した。地球サミット直後、経団連は経団連自然保護基金( KNCF)を設立し、同氏は同基金の会長に就任した。KNCFは、世界23ヶ国で71の自然保護プ ロジェクトに支援をしている。同氏は、1993年及び1996年には国際自然保護連合(IUCN) の総会に出席した。これらの会合において、KNCFの活動は企業とNGOとのパートナーシッ プの好事例として賞賛された。KNCFは、日本の企業経営者を対象に自然保護について啓発 するため、国内外の著名な環境専門家によるセミナーを開催している。同氏は、日米コモ ンアジェンダ円卓会議の日本側議長代行を務めており、同円卓会議が1997年4月に開催し た環境認識及び環境教育に関するワークショップで取りまとめられた提言は同年5月に開 催された日米閣僚会合に提出された。

参考4 これまでの我が国からの受賞者(敬称略。肩書きは当時)

1987年 本田宗一郎(本田技研工業社長)
1988年 小原秀雄(女子栄養大学教授、トラフィックジャパン理事長)
        岡島成行(読売新聞記者)
1989年 石弘之(朝日新聞社編集委員)
1990年 橋本道夫(海外環境協力センター理事長)
        北九州市
1991年 宇井純(沖縄大学教授)
1992年 佐藤大七郎(日本野生生物研究センター理事長)
        菱田一雄(菱田環境計画事務所所長)
1993年 原剛(毎日新聞社編集委員兼論説委員)
        坪田愛華
1994年 小林料(東京電力理事)
        原田正純(熊本大学医学部助教授)
1995年 四日市市及び加藤寛嗣市長
1996年 森嶌昭夫(上智大学教授)
1997年 宇部市



連絡先
環境庁企画調整局地球環境部企画課
課 長 :柳下 正治(6731)
 補 佐 :升本  潔 (6721)
 担 当 :磯崎 孝喜(6736)