報道発表資料

この記事を印刷
1998年05月25日

国連環境計画(UNEP)管理理事会特別会合の結果について

UNEPの管理理事会特別会合が平成10年5月20日(水)~22日(金)まで、ナイロ ビのUNEP本部で開催され、我が国からは、田中環境事務次官等が出席した。

1.概 要

 本会合は、UNEPのテプファー事務局長が本年2月に着任した後開催された初めての管理 理事会であり、同事務局長の政策演説を受け、各国がUNEPの改革や今後のあり方等につい て討議を行い、UNEP改革等に関する7つの決議を採択した。
 本会合では、テプファー新事務局長のイニシャティブの下、昨年2月に第19回管理理 事会で採択されたナイロビ宣言に沿いつつ、今後どのようにUNEPの改革を具体的に実 現していくかが主な論点となった。

2.出席者

 イギリス、カナダ、ノルウェー、ケニア、ジンバブエの環境担当大臣等、17名の大臣 ・副大臣クラスを含む90カ国以上の代表(管理理事国約50ヶ国、非管理理事国約40 ヶ国)に加え、多数の国際機関及びNGOの代表が出席。我が国からは、田中環境事務次官 等が出席した。

3.会議の成果

 本会議では以下の決議が採択された。

 (1) UNEPの再活性化、改革そして強化(詳細別添)
 (2) 淡水 ・ 淡水の持続可能な開発や管理の環境的側面におけるUNEPの役割強化 ・ 淡水の環境保全や管理にかかる開発途上国の支援
 (3) UNEPの管理運営システムの見直し ・ 管理運営経費の削減 ・ UNEPの作業計画の見直しと今後の作業計画の準備 ・ 地域事務所の見直し、強化 ・ UNEPに対する拠出金増額の要請
 (4) 第7回国連持続可能な開発委員会(CSD)に対するUNEPの貢献 ・CSD7に向けた海洋、小島嶼途上国の持続可能な開発及び持続可能な観光についての 検討を要請
 (5) 有害化学物質の取引に係る事前通報制度(PIC)条約 ・PIC条約にかかるUNEPの事務局への参加 ・ PIC条約に基づく自発的な事前通報制度の変更
 (6) 地球環境ファシリティー(GEF) ・GEFにおけるUNEPの役割の強化
 (7) 土壌劣化 ・ 土壌劣化の防止に関し、特にアフリカ諸国を支援

特に(1)は、新たな事務局長の下でUNEPがいかなる方向に進むべきかを決議したものであり、本会議の議論の中心をなすものであった。

 

UNEP管理理事会特別会合決議
UNEPの再活性化、改革そして強化
<要 点>

  • 今後のUNEPの改革は、以下のような考えに基づいて行われるべきである。
    (a) UNEPの今後の活動や組織構成は、ナイロビ宣言で述べられているUNEPの役割に沿って形作られるべき。
    (b) UNEPの改革は、環境分野における中心的な国連機関としてのUNEPの役割を更に強化することを目的とすべき。
    (c) 今後のUNEPの組織改革は、UNEPの活動をより合理的、効率的、そして費用効果の高いものにするものでなければならない。
  • UNEPの活動の重点分野として、ナイロビ宣言の精神に沿った事務局長の提案を歓迎する 。その重点分野は下記の通り:
    (a) 環境情報、アセスメント及び調査研究(環境災害に対する緊急対応能力及び早期警戒 機能及びアセスメント機能強化を含む)
    (b) 環境条約間の調整強化及び環境政策手法の開発
    (c) 淡水
    (d) 技術移転と産業
    (e) アフリカ支援 そして、第19回管理理事会で設定された他のUNEPの重点分野。
  • 事務局長に対し、既存の作業計画の範囲内で、上記の重点分野及びナイロビ宣言に沿って、第19回管理理事会で承認された1998-99年作業計画の見直し、2000-2001年の作業計画に係る新たな提案の策定、そしてそれについて第20回管理理事会に 提言を行うことを要請。
  • 公平な地域配分、性別のバランス、そして開発途上国の関心に配慮しつつ、UNEPの管理運営の合理化による「環境の配当」を実現するとの事務局長の意思を歓迎。
  • UNEPに対する適切で予測可能な資金の重要性を強調し、全ての政府に対し、応分の負担を求める。
  • 次回会合においてUNEPの改革の状況をレビューし、第55回国連総会に、次世紀の環境問題への取り組みのための国連システムにおける組織改革及びそれに係るUNEPの役割についての政策決議を提出することを決定する。

連絡先
環境庁企画調整局地球環境部企画課
課  長 :柳下正治(6731)
 補  佐 :升本 潔(6721)
 専門官 :佐藤邦子(6755)