報道発表資料

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1998年06月05日

気候変動枠組条約補助機関の第8回会合の模様(第1週第3日目まで)

6月2日(火)から、ドイツ・ボンにおいて「科学上及び技術上の助言に関する 補助機関(SBSTA)」及び「実施に関する補助機関(SBI)」のそれぞれ第 8回目の会合等が開かれた。これら会合では (1)気候変動枠組条約に盛り込まれた 義務の履行状況のチェックと履行の促進 (2)京都議定書の執行ルール等に係る検討 作業及びこれらを踏まえた(3)COP4のあり方について,公式・非公式の様々な場 で各国のそれぞれ異なった意見が紹介されている状況。第3日目までにおいては、 今回会合の成果については見通せない。

1.会場及び会期
ドイツ・ボン、マリティムホテル
平成10年6月2日(火)~12日(金)

2.主な議題

(1)SBSTA コー・キー・チャオ氏(マレーシア)の議長の下、{1}通報、{2}条約6条:教育、 訓練及び啓発、{3}方法論的論点(排出目録、吸収源の扱い等)、{4}開発及び技術移転、{5}協力的実施のメカニズム(共同実施活動(AIJ)、排出量取引、クリーン開発メカニズム(CDM)、共同実施)等が議論される予定。

(2)SBI ベーカリー・カンテ氏(セネガル)の議長の下、{1}通報、{2}資金メカニズム、{3}条約4条2(a)、(b)(先進国の約束)の第2回見直し、{4}条約4条8、9(温暖化 及び温暖化対策の途上国への悪影響への考慮)の実施、{5}協力的実施のメカニズム (AIJ、排出量取引、CDM、共同実施)、{6}COP4等の会議のアレンジ等が議論される予定。

(3)その他

  1. 締約国会議(COP)ビューロー会合 COP4に向けた非公式会合の進め方等につき、引き続き議論。
  2. 各地域グループ JUSSCANNZグループ、G77+China、AOSIS、EUグループなどが それぞれ会合を重ね、内輪の意見交換を進める予定。

3.第3日目(現地6月4日(木))夜までの議論の模様
 COP3から積み残しになった争点が引き続き議論されている。

協力的実施のメカニズム(排出量取引、共同実施、CDM等の国際的仕組み)
1) EUグループ 排出削減はまず国内措置で進めるべきとの立場から排出量取引の上限設定、C DM等での厳格なルール作りを主張。
2) 米国、JUSSCANNZ 排出量取引、CDMの役割を重視。早期のルール作りを主張。米国は排出量取 引の上限の設定に反対、CDMについては簡易なルールが民間の参加を促すと主 張。
3) 途上国 排出量取引、CDM等については、慎重な議論を求め、拙速な結論に反対。C DMについては、持続可能な開発への支援を重視したものにすべきで、先進国の 安易な目標達成の手段とされるべきではないと主張。
4) 日本のスタンス CDM等国際的仕組みについて、意見の分かれる点よりも合意し得る点につい て議論を深めることを主張。
吸収源
 我が国より検討課題の一つとして指摘。事務局から技術的な説明があった。IP CCの活動との連携について議論となり、非公式なコンタクトグループの設置が決 まった。
途上国の参加
 正面から議論せず。条約4条2項(附属書[1]国の約束)の見直しの議題の中で、 先進国は全締約国の約束の見直しを求め、途上国はまず附属書[1]国に限定すべしと主張。
温暖化対策の途上国への悪影響 産油国を中心に条約4条8、9(温暖化対策の途上国への悪影響)の実施を議題 とすべきことを主張。ペンディング扱い。

4.今後の予定

  • SBI、SBSTAについてはアジェンダに従い議論が進められる。
  • 排出量取引等の国際的仕組みの扱いについては、3日からスタートしたコンタクト グループなどの場で引き続き議論。その他の論点についてもコンタクトグループが 設置される方向で調整中。
  • COP4に向けた非公式会合の日程等については、引き続きビューローで議論。

連絡先
環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課
課   長 :小林 光 (内線6740)
 課長補佐 :瀧口 直樹(内線6286)
 担   当 :岩佐 健史(内線6763)