報道発表資料
環境省は、北見バイパス(北海道)、旭川十勝道路(北海道)及び鬼怒テクノ通り(栃木県)に係る環境影響評価書について、環境影響評価法第22条第2項の規定に基づき、国土交通大臣より環境の保全の見地からの意見を求められたことから、平成13年1月19日付けで国土交通大臣に対し、以下に関する環境大臣意見を提出した。
○ | 北見バイパス、旭川十勝道路 希少な野生動植物への配慮。 |
○ | 鬼怒テクノ通り 大気負荷低減対策及びオオタカ等の希少な野生動植物への配慮。 |
1.事業の概要
路線名 事業区間 | 道路の規模等 | 計画交通量 (台/24h) | 主な手続きの経緯 | ||||
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一般国道39号北見バイパス 北海道北見市北上 ~常呂郡端野町字二区 | 一般国道の新設 約15km・4車線 | 7,000~ 9,500 |
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地域高規格道路旭川十勝道路 北海道空知郡中富良野町字 福原~富良野市字上五区 | 一般国道の新設 約14km・4車線 | 15,300~ 19,600 |
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鬼怒テクノ通り 栃木県真岡市長田 ~宇都宮市氷室町 | 一般国道の新設 約11km・4車線 | 39,000 |
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2.環境大臣意見
○北見バイパス
本事業の環境影響評価書について、以下の意見を述べるものである。
1.自然関係 | |
(1) | 希少な植物の移植や希少な動物の巣箱設置等の保全措置を行う場合には、その方法、効果の不確実性を考慮し、専門家の意見を踏まえて事後調査を適切に実施するとともに、影響が確認された場合には、保全のために必要な対策を講じること。また、その旨を評価書に記載すること。 |
(2) | 河川周辺には自然性が高い植生、希少な魚類・両生類等の生息が確認されていることから、橋梁等の詳細設計に当たっては、植生の改変を極力避けるとともに、やむを得ず低水路内へ橋脚を設置する場合には、水生生物の生息環境に著しい影響を与えないよう、水流、水質の維持に配慮した橋脚の形状、設置方向等を検討するとともに、工事の実施に際しては汚濁処理等の対策を確実に講じること。また、その旨を評価書に記載すること。 |
2.その他 | |
本事業に係る道路の構造について、土工部における盛土又は切土の区分、さらに全ての橋梁の位置の概要を評価書に記載すること。 |
○旭川十勝道路
本事業の環境影響評価書について、以下の意見を述べるものである。
1.自然関係 | |
(1) | 希少な動植物の移植や移動等の保全措置を行う場合には、その方法、効果の不確実性を考慮し、専門家の意見を踏まえて事後調査を適切に実施するとともに、影響が確認された場合には、保全のために必要な対策を講じること。また、その旨を評価書に記載すること。 |
(2) | 河川周辺には自然性が高い植生、希少な魚類・両生類等の生息が確認されていることから、橋梁等の詳細設計に当たっては、植生の改変を極力避けるとともに、やむを得ず低水路内へ橋脚を設置する場合には、水生生物の生息環境に著しい影響を与えないよう、水流、水質の維持に配慮した橋脚の形状、設置方向等を検討するとともに、工事の実施に際しては汚濁処理等の対策を確実に講じること。また、その旨を評価書に記載すること。 |
2.その他 | |
本事業に係る道路の構造について、土工部における盛土又は切土の区分、さらに全ての橋梁の位置の概要を評価書に記載すること。 |
○鬼怒テクノ通り
本事業の環境影響評価書について、以下の意見を述べるものである。
1.大気・騒音関係 | ||
(1) | 計画路線の周辺の一部では、近年、浮遊粒子状物質濃度が環境基準を超過又は環境基準値に近い水準で推移していることから、以下の措置を講じること。また、その旨を評価書に記載すること。 | |
1 | 浮遊粒子状物質濃度低減のために必要な対策を検討し、沿道大気負荷を可能な限り低減する上で適切な措置を講ずること。 | |
2 | 着工前に建設作業及び工事用車両走行による粉じん等の大気環境への影響についても予測・評価を行い、必要な対策を検討するとともに、その検討結果を公表すること。 | |
(2) | 工事中、供用時を通じて、関係機関と協力しつつ、関連交通量、大気環境、道路交通騒音に係る監視を適切に実施し、その結果を踏まえ適切な措置を講じること。また、以上の措置を講じる旨を評価書に記載すること。 | |
2.自然関係 | ||
(1) | 希少な植物の移植の検討に当たっては、生育環境の一つである現存植生を把握することが重要であるため、植物の現地調査結果に基づいた植生図を作成し、評価書に掲載すること。また、当該植生図をもとに、特に希少な植物の生育状況と現存植生との関係について評価書に記載すること。 | |
(2) | 事業区域近傍において複数のオオタカの営巣が確認され、その行動圏の一部が当該事業区域に重なっていることから、事業の実施に当たっては、オオタカの営巣期だけでなく、非繁殖期についても、工事による生息への支障が生じないよう工事の方法を検討すること。 また、オオタカの高利用域の一部を通過することとなる地区については、事業実施にあたって以下に掲げる対策を講じ、特にその生息環境の保全に配慮すること。 | |
1 | 重点的に事後調査を実施し、その結果、繁殖活動に影響を及ぼすおそれが生じた場合は、猛禽類に詳しい専門家等の指導・助言を得ながら、工事の一時中断も含めた保全措置を講じること。 | |
2 | 当該地区が主要な餌場となっている可能性が高いことから、猛禽類に詳しい専門家等の指導・助言を得ながら、必要に応じて、餌となる動物の生息環境の維持に配慮した保全措置及び工事の方法について検討を行うなど、周辺環境の保全に十分配慮すること。 | |
以上について、評価書に記載すること。 | ||
(3) | オオムラサキの幼虫の食樹であるエノキを含むオオムラサキの好適な生息環境について、今後行われる詳細設計や仮設工作物等の設置位置の検討等において、その改変を極力避けるように努めるとともに、移植を行う場合には、オオムラサキの生息環境についても十分配慮すること。また、その旨を評価書に記載すること。 | |
(4) | 特に多くの希少な動植物が生息・生育する計画路線の南部の地区における環境保全措置については、今後行われる詳細設計や仮設工作物等の設置位置の検討等において、その改変を極力避けるように努めるとともに、希少な動植物の移植や移動等の環境保全措置を実施する場合には、その方法、効果の不確実性を考慮し、専門家の指導・助言を得ながら、事後調査を実施すること。また、その旨を評価書に記載すること。 | |
3.その他 | ||
本事業に係る道路の構造について、土工部における盛土又は切土の区分、さらに全ての橋梁の位置の概要を評価書に記載すること。 |
添付資料
- 連絡先
- 環境省総合環境政策局環境影響評価課環境影響審査室
室長:森谷 賢(6231)
審査官:福本 幸造(6232)