報道発表資料

平成10年6月5日 この記事を印刷

平成10年版環境白書について

平成10年版環境白書(「平成9年度環境の状況に関する年次報告」及び「平成 10年度において講じようとする環境の保全に関する施策」)が、6月5日(金) に閣議決定され、国会提出及び公表される予定である。
 昨年12月の京都会議を経験し、この地球温暖化の問題でも明らかになったよ うに、現在の大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会は、有限な地球の資源や環 境に大きな影響を及ぼしており、21世紀に向けて環境への負荷を最小化していく 循環型の経済社会システムを構築していく必要がある。
 以上を踏まえ、今回の白書では、循環型社会を目指し芽吹きつつある全国の様 々な事例を紹介しつつ、廃棄物リサイクルをはじめとした産業、国土利用と地域 づくり、ライフスタイルの見直しという各面から、経済社会を持続的発展が可能 なものに変えていくための取組の方向性を明らかにする内容となっている。

 全 体 構 成 

○平成9年度環境の状況に関する年次報告

第1部
総 説
 序 章
京都会議から見据えた21世紀の地球
 第1章
循環型経済社会への動き
 第2章
国土空間からみた循環と共生の地域づくり
 第3章
ライフスタイルを変えていくために
 第4章
環境の現状
 むすび
 
第2部
環境の状況及び環境の保全に関して講じた施策
○平成10年度において講じようとする環境の保全に関する施策
 序章
京都会議から見据えた21世紀の地球
  第1節
地球温暖化防止京都会議の成果とこれからの対応

 昨年12月に開催された地球温暖化防止京都会議では、各国の激論の末無事京都議定書が 採択され、我が国においても、内閣に地球温暖化対策推進本部を設置し、省エネルギー法 の一部改正法案や地球温暖化対策推進法案の国会提出など対策を進めつつある。

  1. 地球温暖化防止京都会議開催までの経緯
  2. 京都会議の開催
  3. 京都議定書の概要
  4. 京都会議後の署名状況と国内対策の課題
  5. 京都会議から見えてきた21世紀への課題
     従来型の延長の限界、経済社会システムの根本の問い直しの必要
  第2節
大量生産・大量消費・大量廃棄からの脱却

 地球温暖化問題でも明らかになったように、現在の大量生産・大量消費・大量廃棄型の 社会は、有限な地球の資源や環境に大きな影響を及ぼしていることから、我が国は環境へ の負荷を最小化していく循環型の経済社会システムを目指して変革を進めるとともに、途 上国においてもこのような変革に進んでいくよう国際的に貢献する必要がある。

  1. 巨大な環境負荷を招く先進国社会の限界
  2. 変革の方向
  3. 変革の具体化に向けて
     循環型の産業システム、国土利用と地域づくり及びライフスタイルの3側面
 第1章
循環型経済社会への動き
  第1節
廃棄物・リサイクルにおける循環型への取組

 廃棄物・リサイクルをめぐっては、焼却処理に伴うダイオキシン問題、排出事業者のコ スト負担の弱さに起因する不法投棄や不適正処理の問題、適正な最終処分の確保の問題な どが全国的に顕在化している。これらに対し規制等の強化が図られるとともに、新たな技 術を活用した高度処理・リサイクルを組み込み循環の輪をつくり・つなげる動きが出てき ており、これらを総合し循環型社会の形成に向けて国民的議論を進めていく必要がある。

  1. 廃棄物処理をめぐる今日の問題状況
     一方通行社会の問題 住民の不安感・不信感と自治体等の役割
     廃棄物処理へのコスト負担の弱さ−静脈部分の外部性
  2. 廃棄物処理に関する規制強化の動き
     技術開発の促進、処理システムの変化及びコスト内部化への動き
  3. 循環の輪をつくり・つなぐ動き −循環型経済社会へ向けた取組−
     鉄鋼、セメント産業等動脈産業による静脈の取り込み
     自治体等による新技術の導入、広域連携、官民連携の動き
 第2節
循環型経済社会を目指した産業システムの試み

 事業活動等に伴い生じる廃棄物による環境負荷ゼロを目指すゼロエミッションの推進のため、廃棄物等の収集、処理、再生を担う「静脈産業」を確立させ健全に発展させるとと もに、複数の企業や産業等が連携し廃棄物の高度処理・リサイクル技術やそれを担う産業 を適切に組み込むことによって動脈産業と静脈産業が密接に連携し結合していくような循 環型産業システム構築の試みが始まっている。

  1. 循環型産業システムに向けての実践
     国保工業団地の取り組み
     環境事業団による環境共生型企業団地事業
     埼玉県生産設備活用事業「彩の国倍プラント化計画」
  2. 循環型産業システムのモデル提示 −北九州市の取組−
      環境産業都市づくりと響灘地区のエコタウンプラン
      総合環境コンビナートと実証研究センターの構築へ
  3. 生産、流通、消費段階での新たな動き
 第3節
環境効率性の高い経済社会システムの実現への手段

 循環型経済社会への動きを現実に推し進めるとともに、社会の環境効率性を高める有効 な手段として、ライフサイクルアセスメント手法の開発、環境マネジメントシステムの構 築等が必要である。また、企業活動に伴う環境リスクを認識し、低減するためには、環境汚染物質排出・移動登録(PRTR)の活用などが有効である。

  1. 環境効率性の考え方
  2. 環境効率性の実現に向けて −ライフサイクルアセスメント−
  3. 環境配慮を事業活動に織り込んでいくために    
     環境マネジメントシステムの構築
     環境報告書 環境会計 環境ラベル グリーン購入
  4. 環境リスクの認識と企業行動 −PRTR制度−
  5. 環境効率性の高い経済社会システムに向かって
 第2章
国土空間からみた循環と共生の地域づくり
  第1節
自然のメカニズムと人間活動

 生態系や水の循環などの自然のメカニズムと人間活動が乖離し、自然環境の劣化や過密や過疎による環境悪化などが顕在化している現在の我が国の国土構造の中で、両者の接点を模索し調和を追求していくためには、自然のメカニズムを全体として把握し、これに配慮しつつ活動する必要がある。

  1. 我が国の国土を構成する自然環境
  2. 今日の国土構造
  3. 国土を構成する自然的要素と人間的要素
  4. 環境保全の観点からみた地域の捉え方
     自然のメカニズムがある程度完結している空間的な「まとまり」=圏域
     圏域の中で交錯する自然のメカニズムと人間活動の関係を事例を通し分析
  第2節
国土を構成する自然的要素を基礎とした圏域における取組

  生態圏や流域圏といった自然的要素等の地理的・空間的なまとまりの中で、自然のメカニズムに沿って人間活動が行われるような取組が見られはじめている。

  1. 生態圏を意識した取組
     ビオトープ、渡り鳥の生息域=湿地、干潟等の保全
     インドネシアの森林火災、シベリア・極東地域の森林の状況
  2. 流域圏を意識した取組
     海の生態系や海洋資源の保全のため上流の森林を守ろうとしている事例
     桂川・相模川の流域協議会によるアジェンダ策定の取組
  第3節
人間活動を基礎とした圏域における取組

 固有の生活文化歴史をもつ地域社会などの生活経済圏において模索されている自然のメカニズムを活かした地域づくりの中に新たな人間活動のあり方を探る。

  1. 人間の活動領域の拡大
  2. 自然のメカニズムを活用した物質循環を実現させる試み
     自然循環農業の実現への取組
     有機廃棄物の堆肥化等により台所と農業をつなぐ取組
  3. 循環と共生を目指す様々な地域づくり
     日野市のまちづくりマスタープラン−農の息づく地域づくり
     自立・循環型の都市代謝基盤システムの実現を目指す荏原製作所の取組
  4. 都市の成長管理と広域行政の試み
     米国ポートランド市の自動車依存を減らしたコンパクトシティー化へ
  5. 生活経済圏を構成する要素
     地域内資源循環の適切な組み込み
     多様な連携と自立 身の丈にあった地域づくり
  第4節
自然のメカニズムと人間活動を調和させる方法

 前節までの圏域を意識した取組を踏まえて、自然のメカニズムと人間活動を調和させる具体的な手法を考察するとともに、環境アセスメントをはじめとした社会経済活動を自然のメカニズムに配慮したものにするための制度的な仕組みづくりの動きや方向性などを整理する。

  1. 自然のメカニズムの把握等
  2. 自然のメカニズムの機能の適切な評価
  3. 自然のメカニズムに合わせて人間が活動する仕組みづくり
  4. 里地への期待    
     地域の活性化と環境保全の両立−里地ネットワークの設立
  5. 人間の活動と自然のメカニズムとの調整
     環境アセスメントの適切な活用
  6. 自然のメカニズムの回復
  7. 「循環」と「共生」を目指す地域づくり
 第3章
ライフスタイルを変えていくために
  第1節
生活関連の環境負荷の低減

 生活に関連した環境負荷の低減を図るためには、その負荷による影響の大きさ・実態を踏まえるとともに、生活者の行動はもとより、事業者や行政など各主体の行動が織りなす経済社会システム全体を視野に入れることが必要である。さらに、ライフスタイルを具体的に変えていくには、環境教育・環境学習や経済的手法などの活用が重要となる。

  1. 生活関連の環境負荷
     地球温暖化関係、水質汚濁・水資源利用、廃棄物の環境負荷の実例
  2. 生活関連の環境負荷低減方策
     生活者、事業者及び行政の各主体の関わりと役割
     情報提供、環境教育・環境生涯学習
     経済的手法の活用
  3. 生活者の取り組みによる大きな力
     琵琶湖の富栄養化対策、牛乳パックの回収の例
  第2節
自然とのふれあいを取り込む生活へ

 自然とのふれあいを進めることは、自然と人間との共生を確保するとともに、自然への愛情を育み環境保全の重要性を学ぶことにより、環境負荷の少ない、環境と共生するライフスタイルを築く契機となる。

  1. 変化した人間と自然との関係
     自然との関係の希薄化 中学生の虫取り体験等の変化の例
  2. 自然とのふれあいを生活に取り込む意識
     自然とのふれあいへの欲求や身近な自然環境への関心の高まり
  3. 自然とのふれあいを生活の中へ
     自然公園等を利用した自然とのふれあいの推進
  第3節
循環と共生を実現するライフスタイル

 循環を基調に環境負荷の低減及び自然との共生を実現するライフスタイルの一つのイメ ージを提示する。

  1. 今後のライフスタイルの方向性
  2. 「循環」と「共生」のライフスタイルとは
  3. 「循環」と「共生」のライフスタイルの一つのかたち
 第4章
環境の現状

 最近注目されている環境ホルモンの問題等、環境の現状について報告する。

  第1節
大気環境の現状
  1. 大気の組成の変化による地球規模の大気環境の変化の現状
  2. 移流・反応等により生ずる広域的な問題
  3. 大都市圏等における集積による問題
  4. 多様な有害物質による健康影響の防止
  5. 地域における生活環境に係る問題
  第2節
水環境の現状
  1. 健全な水循環の確保
  2. 水利用における負荷の低減
  3. 閉鎖性水域における水環境の保全
  4. 海洋環境の保全
  5. 化学物質の水環境中の残留状況
  第3節
土壌環境・地盤環境の現状
  1. 土壌環境の現状
  2. 地盤環境の現状
  第4節
廃棄物等の現状
  1. 容器包装等のリサイクル
  2. 有害物質の越境移動
  第5節
自然環境の現状
  1. 陸域に関する調査
  2. 陸水域に関する調査
  3. 海域に関する調査
  4. 国内自然環境の保護
  5. 海外自然環境の現
  第6節
野生生物種の多様性等の現状
  1. 野生生物種の現状
  2. 野生生物資源の現状
  3. 生物の汚染  「環境ホルモン(内分泌攪乱物質)について」
  4. 生物多様性の保全
  第7節
自然とのふれあいの現状
  むすび
 
連絡先
環境庁企画調整局企画調整課調査企画室
室 長 :柴垣 泰介(6250)
 補 佐 :廣木 雅史(6251)
 主 査 :西村 治彦(6252)

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