報道発表資料

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1998年06月09日

気候変動枠組条約補助機関の第8回会合の模様(第2週第1日目まで)

6月2日(火)から、ドイツ・ボンにおいて「科学上及び技術上の助言に関する 補助機関(SBSTA)」及び「実施に関する補助機関(SBI)」のそれぞれ第 8回目の会合等が開かれている。排出量取引等協力的実施のメカニズム、吸収源の 扱い、先進国の約束の見直し、資金問題等についてコンタクトグループが作られ議 論が行われているが、6月8日(現地時間)までのところ具体的な取りまとめ等は 行われていない。

1.第6日目(現地6月8日(月))夜までの議論の模様
  SBI、SBSTA等の全体会合及びその下で論点ごと(協力的実施のメカニズム、 資金問題、条約4条2(a)、(b)(先進国のコミットメント)の見直し、吸収源等)に設けられたコンタクトグループにおいて引き続き議論が進められている。

2.各国の意見の概要

 A

協力的実施のメカニズム(排出量取引、共同実施、CDM等の国際的仕組み

  • EUグループ 排出削減はまず国内措置で進めるべきとの立場から排出量取引の上限設定、真に検証可能な排出削減等を主張。
  • 米国、JUSSCANNZ 排出量取引については、早期のルール作りを主張。この観点から、カナダが、 米、豪、NZ、アイスランド、日、ノルウェー、ロシアを代表して排出量取引の 透明性確保等のルールの考え方についてのノンペーパーを作成、SBSTA/SBIに提出した。米国は費用対効果の点から排出量取引の上限の設定に反対、CDMについては2000年からのクレジット創出をにらんだ早急な検討と民間の参加促進を主張。
  • 途上国排出量取引、CDM等については、慎重な議論を求め、拙速な結論に反対。CDMについては、持続可能な開発への支援を重視したものにすべきで、先進国の安易な目標達成の手段とされるべきではないと主張。
  • 日本のスタンス CDM等国際的仕組みについて、意見の分かれる点よりも合意し得る点について議論を深めることを主張。排出量取引については、上記カナダ提出ノンペーパ ーに参加。
 B 吸収源
  我が国、米国等より吸収源の範囲は早期に検討すべき課題の一つと指摘。森林、土壌等の扱いにつき各国より意見が相次いだ。その中で、SBSTAによる明確な指示に基づきIPCCで科学的検討を進めるべきことにつき合意ができ、IPCCに検討を委ねるべき事項につきコンタクトグループでの検討が始まった。
 C 途上国の参加
 アルゼンチンから、非附属書[1]締約国の自発的コミットメントをCOP4の議題 とするとの自国提案につき非公式に協議を行っている旨の紹介あり。 条約4条2(a)、(b)(附属書[1]国の約束)の適切性の見直しの議題の中で、米国 、EU等先進国は、条約4条2項(a)、(b)の検討には全締約国の約束の見直しが必要とし、一方、途上国はまず附属書[1]国に限定すべしと強く反発。コンタクトグルー プで議論することとなっている。
 D 資金問題
  途上国側は、条件緩和などGEFをより使い易くすることを求めているが、一方 GEFを恒久的資金メカニズムとすることには慎重。先進国側は、GEFを恒久的 資金メカニズムにすべきと主張。COP4での決定案を準備するコンタクトグループ が設立された(COP1の決定により、現在、GEFが気候変動枠組条約の暫定的資金メカニズムとされているが、条約上COP4までに資金供与の制度について検討、 適切な措置をとるとされている。)。
 E 温暖化及び温暖化対策の途上国への悪影響
  産油国を中心に、条約4条8、9(温暖化及び温暖化対策の途上国への悪影響) につき、アドホック作業部会を作り、より具体的な検討を行いCOP4で成果を得 るべきと主張。先進国側は、温暖化防止により精力を注ぐべきとこれに慎重、コンタクトグループを設立して検討中。

3.COP4等のアレンジ

  • COP4は11月2~13日にブエノスアイレスで開催され、最後にハイレベルセ グメントを開催する見込み。
  • 事務局、アルゼンチンよりCOP4の準備状況の報告があり、UNEPのハイレベ ル会合もあわせて開催される見込みとの紹介があった。
  • 事務局より、ヨルダンからCOP5をホストしたいとの申し入れがあった旨紹介。

4.今後の予定

  • SBI、SBSTA、コンタクトグループで引き続き議論が進められる予定。
  • COP4に向けた非公式会合の日程等については、引き続き締約国会議ビューローで議論。

(参考)

1.会場及び会期 ドイツ・ボン、マリティムホテル
  平成10年6月2日(火)~12日(金)

2.主な議題

(1) SBSTA コー・キー・チョー氏(マレーシア)が議長
 {1}通報、{2}条約6条:教育、訓練及び啓発、{3}方法論的論点(排出目録、吸収 源の扱い等)、{4}開発及び技術移転、{5}協力的実施のメカニズム(共同実施活動( AIJ)、排出量取引、クリーン開発メカニズム(CDM)、共同実施)等を議論。
(2) SBI ベーカリー・カンテ氏(セネガル)が議長
 {1}通報、{2}資金メカニズム、{3}条約4条2(a)、(b)(先進国の約束)の第2回 見直し、{4}条約4条8、9(温暖化及び温暖化対策の途上国への悪影響への考慮) の実施、{5}協力的実施のメカニズム(AIJ、排出量取引、CDM、共同実施)、{ 6}COP4等の会議のアレンジ等を議論。
連絡先
環境庁企画調整局地球環境部企画課
調査官  :竹本 和彦(内線6748)

環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課
課長補佐 :瀧口 直樹(内線6286)
 担   当 :岩佐 健史(内線6763)