報道発表資料

この記事を印刷
1997年12月22日

平成9年度臭気判定士試験の結果等について

平成9年度臭気判定士試験の結果が、試験事務の指定機関である(社)臭気対策研究協会から本日発表された。
 本試験は、臭気指数規制の導入に伴い新たに創設された資格である臭気判定士について実施された2回目の試験であり、11月29日(土)に東京都、名古屋市及び大阪市の3カ所で一斉に行われた。結果は、受験者587名に対し合格者数は237名(合格率40.4%)であった。
1 試験の概要
(1)臭気判定士

 臭気判定士資格は、改正悪臭防止法(平成8年4月1日施行)による臭気指数規制の導入に伴い新たに創設された資格。臭気判定士は、悪臭防止法の施行に当たって必要となる臭気指数の測定を、市区町村長からの委託を受け行う。
 この資格は、臭気判定士試験に合格し、かつ、正常な嗅覚を有することについての検査に合格した者に与えられる。

(2)臭気判定士の業務

 臭気判定士は、「臭気指数の算定の方法」(平成7年9月環境庁告示第63号)に基づく臭気指数の算定を行う。
 臭気指数の算定は、嗅覚測定法(パネルと呼ばれる判定員に、においのある空気をにおいのない空気で薄めたものを嗅いでもらい、臭気の感じられなくなるまで希釈した希釈倍数を求める方法)により行うこととなっており、臭気判定士は、この測定について、パネルの選定、試料臭気の採取・希釈操作、パネルへの判定の指示、判定結果からの臭気指数の算出という一連の作業を行う。

(3)平成9年度臭気判定士試験の概要
    試験期日     平成9年11月29日(土)
    試験実施地    東京都、名古屋市及び大阪市
    試験の内容    嗅覚概論、悪臭防止行政、悪臭測定概論、分析統計概論、臭気指数の測定実務
    受験申請者数   610名 (うち587名が受験)

 なお、免状の交付申請に際しては、あらかじめ(社)臭気対策研究協会が指定した検査機関(全国30か所)で嗅覚検査を受ける必要がある。

2 合格者の状況
(1)合格者数
  東京会場 名古屋会場 大阪会場 合 計
男 性 97  27  77  201 
女 性 22  6  8  36 
合 計 119  33  85  237 
(単位:人)
(2)合格率  40.7% (受験者587名に対する割合)
(3)合格者年齢     最年長者 63歳(昭和 9年生、男性)
最年少者 22歳(昭和51年生、男性)
3 臭気判定士免状交付の申請

 試験の合格者は、申請前1年以内に実施した嗅覚検査の合格証書を添付すれば、試験の合格証書を受領した日以後、いつでも臭気判定士免状の交付を申請することができる。
 また、平成9年12月15日付け悪臭防止法施行規則の改正により、臭気判定士免状の有効期間が5年に延長されており、この日以降交付される免状は、延長された有効期間が適用される。
 なお、平成9年12月16日現在、臭気判定士免状交付者は、1,029名となっている。

4 平成8年度臭気判定士試験結果の概要(参考)
    受験申請者数   717名(うち688名が受験)
    合格者数     244名(受験者688名に対し35.5%)

(参考)
臭気判定士制度の概要

 平成8年4月の改正悪臭防止法の施行により、嗅覚測定法を用いた臭気指数規制が導入され、新たに「臭気判定士」の資格が創設された。

1.臭気指数規制の導入

 臭気指数規制は、都道府県知事または政令市長による区域の指定により導入されることとなっており、指定された区域内の工場・事業場への立入検査や監視測定は市区町村長が行うこととされている。

 臭気指数による規制区域内においては、「臭気指数の算定方法」(平成7年9月環境庁告示第63号)に基づき、人の嗅覚を用いて悪臭を測定する方法である「嗅覚測定法」によって悪臭の測定を行うこととなっている。(別紙図 参照→省略)
 この測定法は、においがするかしないかを判断し、においをその検知閾値まで希釈する希釈倍数をもって数量化する方法で、簡単な訓練を施したパネルの嗅覚により測定できるもので、「嗅覚を用いる臭気の判定試験の方法」(平成4年12月環境庁告示第92号)により定められ、従来から多くの地方自治体で条例や指導要綱などの測定法として使われていたが、今回の悪臭防止法の改正により、法律に基づく規制手法として新たに導入された。

2.臭気判定士について

 臭気判定士は、悪臭防止法の施行に当たって必要となるこの臭気指数の測定について、市町村等からの委託により測定業務を担当する者で、測定の的確かつ公正な実施を確保するため、資格が付与されるものである。
 これは、嗅覚測定法の精度の確保には、試験統括実施者であるオペレータの資質が最も重要な要素であるためで、「臭気判定士」は嗅覚測定法のオペレータに与えられる資格であるといえる。

 オペレータは、試料の採取、パネルの選定、試料の調整と試験の実施、結果のまとめ等、判定試験全体についての責任者で、試料採取時期の決定や当初希釈倍数の決定など自らも正常な嗅覚の持ち主でなければならない。また、人間の嗅覚や生理に関する知識、結果のまとめに必要な統計学に関する知識、においに関する測定法全般に関する知識、パネルの心理状況が試験結果にどのような影響を与えるか、臭気に関する行政的な立場と基本的な臭気対策等の幅広い知識が要求され、これらを十分理解していなければならない。
 このため、臭気判定士の資格は、悪臭防止行政や臭気指数の測定等に関する臭気判定士試験に合格し、かつ、正常な嗅覚を有することについての嗅覚検査に合格した者に与えられるものとなっている。なお、臭気判定士免状は5年を期限に更新することとなっており、更新に当たっては嗅覚検査を再度受験する必要がある。

3.臭気判定士試験について

 臭気判定士試験は、臭気指数の測定に関し必要な知識について行うもので、試験科目とその内容は次のとおりである。
 なお、本試験を受験するには、試験日において18歳以上の者でなければならない。

表 臭気判定士試験の試験科目とその内容
嗅覚概論
{1} 人の嗅覚とにおいの役割等に関する事項
{2} 嗅覚の順応等、嗅覚の基本的な特性に関する事項     
{3} 嗅覚閾値等、におい物質の特性に関する事項
悪臭防止行政
{1} 悪臭防止法、施行規則、告示等の内容とその運用に関する事項
{2} 地方自治体の条例による規制及び指導と法令との関係に関する事項
{3} 悪臭防止対策の基礎的な知識等に関する事項
悪臭測定概論
{1} 機器測定法、官能試験法等の臭気測定法の全般に関する事項
{2} 特定悪臭物質や臭気指数、臭気強度等に関する事項
{3} 嗅覚測定法に関する基本的な考え方と具体的な方法に関する事項
分析統計概論
{1} 統計の基本的考え方、統計的推定、統計的仮説検定等に関する事項
{2} 度数分布、代表値、散布度、単回帰、相関等のデータの基本構造に関する事項
{3} 2点試験法、3点試験法その他の試験法における精度管理に関する事項
臭気指数の
測定実務
{1} 臭気発生源の特徴に関する事項
{2} パネルの選定とその管理に関する事項 
{3} 測定に使用する器材とその取り扱いに関する事項       
{4} 試料採取方法に関する事項
{5} 判定試験の実施に関する事項
{6} 結果の求め方に関する事項
4.嗅覚検査について

 嗅覚検査は、臭気指数の測定に係る嗅覚の適格性について行うもので、本検査に合格することが、臭気判定士試験に合格することと並んで、免状交付の要件となっている。
 これは、試料の採取時や、パネルににおいを嗅がせる試験に際しての当初希釈倍数の決定時などに、自らの嗅覚による判断が要求されるため、臭気判定士自身も「正常な嗅覚」を持っていることが必要であることによるものである。
 なお、「正常な嗅覚」とは普通の人が持っている嗅覚で、特に他の人より敏感な嗅覚が要求されているわけではなく、鼻の病気でもない限り、大多数の人(統計的には95%の人)が持っているとされている。

 検査内容としては、嗅覚測定におけるパネルの選定方法と同様に、5種類の基準臭液により嗅覚の検査を行う。
 これは、1から5までの番号の付いた5本の紙(におい紙)のうち、2本だけに基準臭が付けてあり、基準臭の付いたにおい紙の番号を嗅ぎ当てるもので、5種類の基準臭ごとに判定を繰り返して嗅覚検査は終了する。

5.臭気判定士に関する指定機関について

 悪臭防止法施行規則(昭和47年総理府令第39号)第22条第1項に規定される、臭気判定士に関する指定事務(臭気判定士試験、嗅覚検査の実施および臭気判定士免状の交付等)を行う機関として、平成8年4月環境庁告示第19号をもって(社)臭気対策研究協会が指定されている。なお、嗅覚検査の実施に関する事務の一部は、委託検査機関が行う。
 なお、臭気判定士試験及び嗅覚検査の実施は、毎年、環境庁長官の公示による試験等の実施計画に基づき行われる。

指定機関名称  
所在地
電話番号
社団法人 臭気対策研究協会
東京都文京区本郷2丁目25番5号
03-3811-9854
連絡先
環境庁大気保全局企画課大気生活環境室
室 長 :竹内 恒夫(内線6540)
 補 佐 :小柳 勝彦(内線6542)
 担 当 :倉谷 英和(内線6545)