本年1月2日に発生したロシア船籍タンカー・ナホトカ号による重油流出事故への対応を踏まえ、平成7年12月15日に閣議決定された「油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画」の見直しが検討されてきたところであるが、今般、関係省庁間でその改正案が取りまとめられ、12月19日の閣議において決定されることとなった。
本計画は、1990年11月30日に採択され、1995年5月31日に国際的に発効した「1990年の油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約」(通称OPRC条約)第6条に規定される、締約国に策定が義務づけられる国家的な計画である。
我が国は、1996年10月17日に上記条約に加盟し、当該条約は、1996年1月17日に我が国で発効したが、これに伴い、1995年(平成7年)12月15日、本計画が閣議決定されている。
本計画は、油汚染事件に関する防災対策と海洋環境保全対策を一体的に位置づけた総合的な計画として、以下の内容を規定している。
{1} |
油汚染事件に対する準備に関する事項 |
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関係情報の整備、対応体制の整備、通報・連絡体制の整備、訓練等の実施 等 |
{2} |
油汚染事件発生時の対応に関する事項 |
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対応体制の確立、情報の連絡、油汚染事件の評価、油防除対策、野生生物の救護、事後の監視 等 |
{3} |
関係行政機関の連携等 |
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関係行政機関相互の連携強化、関係行政機関と地方公共団体相互の連携強化、調査研究・技術開発の推進 等 |
本年1月2日に発生したナホトカ号による重油流出事故に伴い発足した「ナホトカ号流出油災害対策関係閣僚会議」において設置された「大規模油流出事故への即応体制プロジェクトチーム」により、本計画の点検が行われ、この結果を受け、「油汚染事件に対する準備及び対応に関する関係省庁連絡会議」において改正案の検討が進められてきた。
今般、この改正案が取りまとめられ、関係省庁における調整が了したことから閣議決定を行うものである。
本改正の主な内容は以下のとおり。
{1} |
油汚染事件に対する準備に関する事項 |
・ |
環境への影響を迅速に把握・評価するための情報の収集・共有化等について記述 |
・ |
関係行政機関、地方公共団体等の夜間及び休日を含めた連絡体制の整備について記述 |
・ |
近隣諸国等との協力体制の強化について記述 |
{2} |
対応に関する事項 |
・ |
海上保安庁長官等による自衛隊の災害派遣要請及び要請を受けた場合の自衛隊の措置について記述 |
・ |
警戒本部及び非常災害対策本部の設置について記述 |
・ |
漂着油及び回収油に係る措置について記述 |
・ |
防除作業者の健康安全管理について記述 |
{3} |
関係行政機関等の連携等 |
・ |
地方公共団体、関係業界団体等の油防除及び海洋環境の保全等に関する専門家との連携について記述 |
環境庁としては、今後とも海洋環境保全の観点から、本計画等に基づき、油汚染事件に対しより一層適切な対応を実施するため、次の措置を推進することとしている。
{1} |
環境への影響を迅速に把握・評価するための情報を収集・整理し、これらの情報を共有化 |
{2} |
地方公共団体、環境団体等に対する油汚染事件の対応に関する研修内容の拡充 |
{3} |
効果的な防除作業等の実施のため、状況の把握、環境影響の評価等を行い、これらの情報の官邸等関係機関への迅速な提供 |
{4} |
油汚染事件による防除作業における健康上の配慮事項について、防除作業関係機関への情報提供 |
{5} |
段階的・継続的な環境影響調査の実施 |
事務次官等会議 12月18日(木)
閣 議 12月19日(金)
- 連絡先
- 環境庁水質保全局企画課海洋環境・廃棄物対策室
室 長 :太田 進 (6620)
室長補佐 :志々目友博(6622)
審査係長 :村松 一昭 (6622)