報道発表資料

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1998年06月15日

一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める命令の一部改正について

6月16日(火)に「一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る 技術上の基準を定める命令の一部を改正する命令」(総理府、厚生省の共同命令)が 公布され、6月17日(水)から施行される。
 この共同命令の改正は、昨年11月に行われた中央環境審議会答申「廃棄物に係る 環境負荷低減対策の在り方について」(第一次答申)の中の最終処分場の基準の見直 しに係る提言及び昨年10月に行われた生活環境審議会廃棄物処理部会廃棄物処理基 準等専門委員会報告を受けて、 {1}廃棄物処理法に基づく最終処分場の構造・維持管 理基準の強化・明確化、 {2}昨年6月の廃棄物処理法改正により必要となった最終処 分場の廃止の確認を行うための基準の設定を行うものである。

[1] 命令改正の背景

 近年、廃棄物の量の増大に伴い最終処分場の残余容量が逼迫するとともに、廃棄物の質 の多様化等に伴い安定型最終処分場の浸出水から有害物質が検出されるなど、各地で最終 処分場を巡るトラブルが頻発し、国民の間で廃棄物処理に対する根強い不信感が生じてい る。
 このため、昨年6月の廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)の一部改正 により廃棄物処理施設の設置手続の明確化や最終処分場の廃止の際の確認の制度化等がな され、また、昨年12月の廃棄物処理法施行令の一部改正により最終処分基準の強化等が なされたところである。
 今回の共同命令の改正は、中央環境審議会「廃棄物に係る環境負荷低減対策の在り方に ついて」の第1次答申における提言、生活環境審議会廃棄物処理部会廃棄物処理基準等専 門委員会における検討結果を受けたものであり、{1}廃棄物処理法に基づく廃棄物最終処 分場の構造・維持管理基準を強化・明確化するとともに、{2}昨年6月の廃棄物処理法の 改正により、最終処分場の廃止の際の都道府県知事の確認制度(当該最終処分場の状況が 一定の基準(廃止基準)を満たしていることについて都道府県知事の確認を受けねばなら ない)が盛り込まれたことを受け、この共同命令において、併せて廃止基準の設定を行う 。

[2] 命令改正の概要

1.構造基準及び維持管理基準の強化

 (1)一般廃棄物最終処分場、管理型最終処分場

  1. 遮水工の要件の強化・明確化
    1. 遮水層の二重化(粘土等の層と遮水シートの組み合わせ、二重シート)
    2. 基礎地盤の整備(遮水層の損傷を防止できる強度を有し、平らであること)
    3. 遮光性のある不織布等による遮水層の保護
    4. 不透水性地層を用いる遮水工の要件の明確化(不透水性地層の要件、鉛直遮水工)
  2. 遮水工の損傷を防止するため、砂等で覆うことにより遮水工を保護
  3. 地下水により遮水工が損傷するおそれのある場合の地下水集排水設備の設置
  4. 埋立地からの保有水等の排水機能の強化(調整池の設置等)
  5. 放流水の水質検査について、検査項目、検査方法及び検査頻度を明確化
  6. 放流水に係る排水基準を強化
  7. }最終処分場周縁の地下水の水質検査について、検査項目、検査方法及び検査頻度を明確化。水質が悪化した場合には、その原因の調査その他の生活環境保全上必要な措置を講 ずることを義務付け。
  8. 埋め立てられた廃棄物の種類、数量及び点検、検査その他の措置の記録を作成し、廃止までの間保存

 (2)遮断型最終処分場

  1. 外周仕切設備を水密性を有する鉄筋コンクリート製とし、遮断の効力を強化
  2. コンクリート内壁を遮水、腐食防止の効力をもつ材料で被覆
  3. 目視等により点検できる構造とすること
  4. 最終処分場周縁の地下水の水質検査について、検査項目、検査方法及び検査頻度を明 確化。水質が悪化した場合には、その原因の調査その他の生活環境保全上必要な措置を講 ずることを義務付け。
  5. 埋め立てられた廃棄物の種類、数量及び点検、検査その他の措置の記録を作成し、廃 止までの間保存

 (3)安定型最終処分場

  1. 擁壁等の安定を保持するため必要と認められる場合における埋立地内部の雨水等を排 出する設備の設置
  2. 搬入された廃棄物を埋め立てる前に搬入車両から降ろして拡げ、安定型産業廃棄物以 外の廃棄物の混入がないことを確認する展開検査の義務付け
  3. 安定型産業廃棄物以外の廃棄物の混入がないことを確認するため、浸透水の水質検査 を義務付け。基準を超えた場合には、産業廃棄物の搬入及び埋立処分の中止その他生活環 境保全上必要な措置を講ずることを義務付け。
  4. 最終処分場周縁の地下水の水質検査の義務付け。水質が悪化した場合には、その原因 の調査その他の生活環境保全上必要な措置を講ずることを義務付け。

2.廃止基準の設定

 (1)共通事項

  1. 構造基準に適合していること
  2. 維持管理基準において義務付けられている一定の措置(悪臭や火災、害虫の発生を防 止するための措置)が講じられていること
  3. 最終処分場周縁の地下水を汚染していないこと
  4. 現に生活環境保全上の支障が生じていないこと

 (2)一般廃棄物最終処分場、管理型最終処分場

  1. 埋立地の内部が十分に安定化していると認められること(保有水等の水質検査、ガス の測定、埋立地内部の温度の測定)
  2. 土砂等により開口部が閉鎖されていること

 (3)遮断型最終処分場

  1. 鉄筋コンクリートにより閉鎖されていること
  2. 環境庁長官及び厚生大臣が定める措置が講じられていること

 (4)安定型最終処分場

  1. 浸透水の水質、ガスの発生、埋立地内部の温度について、異状がないこと
  2. 土砂等により開口部が閉鎖されていること

[3] その他

 (1)既存の最終処分場に対する経過措置について

 原則として、改正後の新基準を適用することとするが、直ちに新基準に適合させること が困難な場合には一定期間適用を猶予するとともに、新基準に適合させることが実態上困難な場合には適用しないこととする。

 (2)今後の予定

公布:平成10年6月16日 施行:平成10年6月17日


添付資料

連絡先
環境庁水質保全局企画課海洋環境・廃棄物対策室
室 長 :太田  進(6620)
 補 佐 :高橋 康夫(6621)
 担 当 :高柳 美弥(6625)

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